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命を守る最前線の消防士 連載〈Color My Days〉 2023年1月22日

 自分らしく生きる若者を紹介する電子版連載「Color My Days」。第6回は、消防士として奮闘する、山田駿音さん=熊本総県、男子部ニュー・リーダー=です。

■背中を押してくれるもの

 熊本県内で消防士として、災害や救助・救急の現場に駆けつける山田駿音さん。幼い頃、実家の近くにあった親族の家が火事で全焼した。当時、現場近くに消火栓が少なく、消火活動に時間がかかる中、精いっぱい消火に当たってくれた消防士の姿が目に焼き付いて離れず、いつしか消防士になることが夢となった。

 高校卒業後、専門学校に進学し、消防士採用試験に挑んだ。しかし、結果は不合格。1年間の浪人期間を経て、合格を果たし、2020年4月、消防学校に入学する。訓練が始まった直後の同年7月、熊本を想定外の豪雨が襲った。

 “今すぐ現場に行って、一人でも多くの人を助けたい”

 ただ当時、訓練生だった駿音さんは現場に行くことを認められていなかった。もどかしさをこらえながら、訓練に打ち込んだ。

 同年9月、生まれ育った地元の消防署に配属される。間もなく、高速道路で起こった車の玉突き事故の現場に出動した。目の当たりにしたのは、想像以上に悲惨な現場の様子。その後も、数々の現場と向き合った。

 「日々どんなに訓練を重ねていても、目をそらしたくなる現場に遭遇することは避けられません。けれど、幼い頃に見た、消防士の姿が自分の背中を押してくれるんです」

■仕事の捉え方が深まる

 駿音さんが20歳を迎えた2021年1月、コロナの感染拡大を考慮し、成人式が中止になった。

 「式典で代表抱負を述べる予定だったので、とにかく悔しさでいっぱいでした。なんだか大人になった実感もなく、社会人生活が始まった感じで」

 その頃、地域の男子部の先輩が何度も家を訪ねてくれた。学会3世の駿音さんは、それまで活動に積極的ではなかったが、先輩は玄関先で、仕事のことから、たわいもない話まで、たくさん話を聞いてくれた。先輩の人柄に触れて、“もっと周囲を励ませる自分になりたい”と、男子部大学校に5期生として入校した。
 男子部の活動に参加していくうち、駿音さんは、仕事への捉え方が、さらに深まっていくことを感じた。

 消防士の仕事は、火災、交通事故、災害の救助をはじめ、地域の見回りや、建物の防災検査など、多岐にわたる。

 「一見、“地味”に見える仕事にも全て意味があることを、信心を頑張るほど、強く感じました」と駿音さんは語る。

 それに気付けたのも、人知れず、自分を励まし続けてくれる学会の仲間の存在を知ったから。

 「男子部のみんなとの出会いを経て、少しだけ大人になれた気がしています」

■恩返しのためにも挑戦を!

 ある日、祖母が救急搬送されたと家族から知らせを受けた。大好きな祖母は、搬送されたその日のうちに息を引き取った。事実を受け止めるのには時間がかかった。

 “もしも自分が出動していて、祖母の元に駆けつけられていたら……”

 理屈では分かっていても、そんな感情が頭を駆け巡る。火災現場に駆けつけるイメージが大きい消防士だが、働いてみると、救急要請の割合の方が多いことを知った。
 祖母のことを通して、「命を救うための力をつけたい」と救急救命士の資格を取るという目標ができた。

 昨秋、教学部任用試験(仏法入門)の勉強をしていると、知っている言葉を見つけた。「冬は必ず春となる」(新1696・全1253)。それは、未来部の時に会合で聞いて、なぜか、ずっと覚えていた言葉だった。

 (※上記の画像をダウンロードしたい場合はこちら

 「当時は意味を分かっていなかったけれど、良い言葉だけん(だから)、ずっと覚えていたんです」

 消防士の試験に不合格になった時、そして祖母を失い、悲しみに暮れた時はまさに“冬”だったが、今、夢をかなえ、消防士になることができた。この先も、どんなに苦しいことがあろうと“春”が来ると確信して、駿音さんは今日も訓練に励む。

 今、創価学会員であることをどう思っているのか、駿音さんに聞いてみた。

 「池田大作先生が南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領(アパルトヘイト〈人種隔離〉の撤廃に生涯をささげた人権の闘士)と平和のために語り合っていることを知って、池田先生って、すごい人なんだなと感動しました。僕がいる、創価学会は世界平和のために活動している団体なんだと誇りに思ったし、池田先生というリーダーに学んでいるから、学会の先輩も魅力ある人がいっぱいいるんだと分かりました!」

 信心の確信をつかんだ今、駿音さんはSNSも大いに活用しながら、堂々と友人に創価学会のことを語っている。

 「恥ずかしいんで、日頃、人には言わないですけど、お世話になった地元の方々へ、消防士としても、男子部としても、恩返ししていきたい。実は、そう思っているんです(照れ笑い)」 

 【編集後記】救助はもちろん真剣だが、救助された人に安心してもらえるような笑顔と声かけを心がけているという。取材が終わった後、雪が降り始めた。寒さが増す中、記者に温かい飲み物を渡してくれた。その真心に皆が「ほっ」とするのかな。

 ●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください→ youth@seikyo-np.jp

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