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電子版連載〈WITH あなたと〉総集編 読者と考えるZ世代 2024年3月30日

  • ラベルでくくらず、ありのままで

 現代の多様な関心事や悩みを考える連載「WITH」では、昨年からZ世代の記者が「#Z世代」をテーマに特集してきました。価値観が多様化し、世代間ギャップはますます開いているように感じます。
 今回は総集編として、3人の識者インタビューに寄せられた感想を紹介。それらや取材の内容を通して、世代間のコミュニケーションにおける問題について考えます。

 【連載まとめはこちら】
※バックナンバーが無料で読めます

NPO法人しごとのみらい理事長 竹内義晴さんへの感想
NPO法人しごとのみらい理事長・竹内義晴さんは、「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマに、ビジネスパーソンが楽しく働けるよう、組織づくりやコミュニケーションの研修、講演などに従事している(2023年10月14日付)
NPO法人しごとのみらい理事長・竹内義晴さんは、「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマに、ビジネスパーソンが楽しく働けるよう、組織づくりやコミュニケーションの研修、講演などに従事している(2023年10月14日付)
(読者の声)

 私は60代前半です。バブルの右肩上がりの時代に青年期を過ごす半面、“こうあらねばならない”という大人からの価値観の押し付けの中で育ったと思います。
 息子夫婦はZ世代。世の中をしっかり見ていて、合理的でも心は柔らかく、友人ともしっかり関係を築きながら充実した生活を送っているのを見て、うらやましくさえ感じます。若い世代に相談しながらアドバイスをもらい、そこに自分の価値観をかみ合わせていくと、なんかいい感じになるのを実感しています。
 「1on1」――どんなに時代が変化しても、目の前の一人を大事にすることは変わってはいけないことですね。

認定NPO法人あなたのいばしょ・理事長 大空幸星さんへの感想
認定NPO法人あなたのいばしょ理事長・大空幸星さんは25歳のZ世代当事者。自殺対策や孤立対策のため、日本初の24時間365日チャット相談窓口を運営する(2023年12月2日付)
認定NPO法人あなたのいばしょ理事長・大空幸星さんは25歳のZ世代当事者。自殺対策や孤立対策のため、日本初の24時間365日チャット相談窓口を運営する(2023年12月2日付)
(読者の声)

 私は、特別支援学級の担任をしています。教育の現場では、本当にいろいろな課題を抱えている子どもがいます。不登校の子どもや、学校に登校してきているけれど、家庭の悩みを抱えている子ども、さまざまな悩みをもつ子どもたちに、どのように対応したらいいのか。
 教師としてベテランといわれる域になってもなお、悩みながら、最善と思う行動で対応しています。子どもたちに、なんとか、自分自身の可能性を信じて生きていってほしいと思っています。
 目の前の現実に、支援者として、自信をなくしかけてましたが、「薄い線を引く」とのお話に感動し、少し気持ちが軽くなりました。

金沢大学教授 金間大介さんへの感想
金沢大学教授・金間大介さんはイノベーション論を研究。著書に『先生、どうか皆の前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)、『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)など(3月14日付)
金沢大学教授・金間大介さんはイノベーション論を研究。著書に『先生、どうか皆の前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)、『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)など(3月14日付)
(読者の声)

 私はいわゆる「新人類世代」でアラカンです(笑)。新人類、と言われたことが象徴するように、上の世代から理解不能とされていたのです。「シラケ世代」とも言われ、何かに一生懸命になると「おー熱いねー」「必死だねー」などとちゃかされ、それが恥ずかしいからクールなふりをしていました。
 上の立場に立つ人が厳しく接してきて、効果がないと見ると寄り添うような態度に変わる。誰でも“作戦を変えてきただけだな”と思いますよね。
 そこに「先ほどの態度は自分が間違っていた、すまない」の一言があれば違いますが、大体は「この世代は」「この人物は」と相手の受け取り方のせいにしますから、問題が解決しないのではと思います。世代論って難しいです。

世代は違っても人間としては対等

 近頃、“Z世代のトリセツ”といった論説をよく見かけるようになりました。大企業でZ世代のマネジメントに関わる管理職100人を対象にした実態調査によると、約8割が「Z世代社員のマネジメント」に悩んだことがあるといいます。同調査によると「心が折れやすく落ち込みやすい」「上下関係の意識が薄い」「ハラスメントの基準がわからず、接しづらい」等々――社会で働く管理職世代の中高年にとって、Z世代との「コミュニケーション」が一つの大きな問題になっていることがうかがえます。

 本連載「WITH あなたと#Z世代」は、世代間のギャップを越え、分かり合う一助になればと企画。インタビューを重ねる中、有識者が口をそろえたのは「そもそもZ世代というくくりに違和感がある」ということでした。Z世代とコミュニケーションが取れている人は、相手を理解するために、特徴や時代背景を学びこそすれ、相手を「Z世代」というラベルでひとくくりにはしていなかったのです。

 NPO法人しごとのみらい理事長の竹内義晴さんは「1on1ミーティング」によって、若者一人一人の背景を知る重要性を述べました。また、認定NPO法人あなたのいばしょ理事長の大空幸星さんは、誰もが頼り合える社会のために、まずは大人から積極的に「誰かに頼ること」が必要だと訴えました。金沢大学教授の金間大介さんは、上司が“武装解除”して「素の自分」で接することで、互いに分かり合えると語りました。

 記者自身は、23歳になったばかりのZ世代ど真ん中。私の場合、“目上の大人”と関わることに緊張します。特に苦手と感じるのは、“立場”が先行しているように見える“大人”です。その人自身の“人間らしさ”が見えてこない時、“私のことは何も分かってもらえないだろう”と、自然と身構えてしまいます。

 掲載後、読者の方々から多数の反響の声をいただきました。そこには、インタビュー記事への感想とともに、それぞれのいる場所で、Z世代とどう接していくかを模索する様子が。それらを拝見する中で、ふと、“自分が何か、歩み寄ることができるだろうか”と考えました。先輩世代も自分も、立場は違うけれど、人としては対等――だとしたら、分かり合うために、自分にも行動が必要だと思うのです。

 例えば、職場で上司から意見を求められても、“自分はまだ若手だから”“きっと言っても反対されてしまうだろう”と、自分を表現することを諦めてしまっていないだろうか。そう思っていたならば、相手からも立場や役割に沿った反応しか出てこないのも道理かもしれません。自分が後輩と関わる時も同じです。極力、対等に接していこうと意識していたつもりが、気が付けば先輩として「しっかりしなくては」と“武装”して、想像以上に怖がられていたという経験もありました。

 本連載を重ねる中で、そんなふうに、今の自分を俯瞰してみることができました。明日からは、自分のためにも、年齢に関係なく一人一人を見て、リスペクトをもって接したい。そして、「はたらかさず、つくろわず、もとのまま」(新1058・全759)と日蓮大聖人がおっしゃっていた通り、ありのままの自分でコミュニケーションをとっていきたいと思いました。

 ●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想をお寄せください。
 メール youth@seikyo-np.jp
 ファクス 03-5360-9470

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