いつもなら食う・食われる関係にあるオオカミとヤギ。暗闇の中で出会った2匹が友情を育んでいく絵本『あらしのよるに』(講談社)は、シリーズ累計380万部が発行され、世界中で読まれています。同作を手がけた絵本作家・きむらゆういちさんは、異なる価値観がぶつかり合う現代において、「共に生きるヒント」を優しく問いかけてきました。新作『なかよしねこの ノンピとダンテ』(実業之日本社)にも、タイプの異なる2匹の猫が登場します。この物語が生まれた背景と、作品に込めた思いを聞きました
2匹はどんな話をしてる?
――新作は、きむらさんの愛猫がモデルだそうですね。
はい。ノンピはもともと僕の愛猫で、ダンテは妻の愛猫です。ノンピは元は野良猫で、毎日、外を駆け回るやんちゃな猫。一方のダンテはマンション育ちで、一度も外に出たことがありません。そんな全く違う環境で育った2匹が、私たち夫婦の結婚を機に、一緒に暮らすことになりました。
外では番長のように威張っているノンピが、なぜか家にずっといるダンテには弱い。逆にダンテは、外の世界を知らない分、自分が弱いことを知らずに堂々としている。その関係がとても面白くてね。性格も、見ている世界も正反対の2匹ですが、それでも寄り添って暮らしているんです。その姿を見て、「この子たちは、どんな話をしているんだろう」と疑問に思ったことから、この絵本が生まれました。
――『あらしのよるに』でもオオカミとヤギという本来は相いれない関係の2匹の友情が描かれていますね。
そうですね。オオカミとヤギなんて、出会えば命のやり取りになる関係です。でも友情が結ばれていれば、ヤギだろうがオオカミだろうが関係ない――そんなメッセージを込めました。人間だって同じだと思うんです。戦争している国同士の人であっても、軍服を脱げば、違いはありません。個人個人は、みんな優しい人たちなのに、立場や肩書が違うだけで争いが起きてしまう。だからこそ、作品では「違い」を否定しない関係を描き続けてきました。
初対面の人と出会った時、共通の知り合いや好きなものなどの共通点を見つけると、親近感が湧きますよね。それなのに、関係が深くなるほど、お互いの違いが目につくようになる。それを否定し始めたら、誰ともうまくいかない。反対に、違うことを“面白い”と思えたら、人生はぐっと豊かになると思うんです。