RELATIONSHIP

若者と祈り vol.1

【電子版連載】社会学者・富永京子さんとイドバタ会議

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 池田華陽会・ヤング白ゆり世代の読者と共につくりあげる連載「社会学者・とみながさんとイドバタ会議」。今回のテーマは「若者と祈り」。信仰活動の軸となる「祈り」は、私たちに何をもたらしているのか。今回も、20代・30代の女性読者の中から3人に協力してもらい、社会学者で立命館大学准教授の富永京子さんとイドバタ会議を行いました。

自由唱題会のタイムパフォーマンス

 富永氏に、創価学会の会館を見学してもらってから開始した今回のイドバタ会議。

 早速、富永氏から読者3人に、こんな質問が飛んだ。

 「玄関のホワイトボードに、自由唱題会と記載してありました。会場使用時間は1時間。若者の中には、タイパやコスパを重視する風潮がある中で、1時間も唱題をするということに対して、タイパが悪いなと感じることはありませんでしたか」

 3人の回答はNO。では、3人にとって「祈る」とはどういう時間なのだろうか。

 内田さんは、「メーク落としや入浴の時間に近い感覚です」と。1日の疲れや汚れを洗い流すように、祈る時間を通して自分の考えを整理したり、新たなアイデアを得たりする。いわば、心を“浄化する”のに似ているという。他の2人も、同様に、「自分と向き合う時間」であることを意識していた。

 7年前に入会した志岐さんは、初めて信心の話を聞いた当初は、祈ることに抵抗があった。しかし、現在は「結果が出るとくせになります」と。22歳の時、難病と診断を受けた志岐さん。出会った創価学会員から「病気を治そう」との励ましを受け、最初は半信半疑で唱題を実践してみた。“長年苦しんできた病気が治るわけないだろう”と疑心暗鬼のまま祈っていたものの、次第に“治してみたい”と思うように。さらに祈りを重ねる中で、治療も奏功し病状は好転した。医者からは「細胞レベルで生まれ変わった」と言われるほど健康な体になり、功徳を実感したという。

 増田さんは、「私は、時間じゃなくて中身を重視しています。大切にしているのは、『自分が満足するまで祈る』こと。それが、日によっては、30分になったり、時間がなくて15分になることもあるし。とにかく思い切り祈りたいという日は、10時間唱題に挑戦したりもします」と語る。

 さらに内田さんも、「私の場合、何もせず一人で考え込むと、どうしても余計なことばかり浮かんでマイナス思考になるんです。でも、こうして誰かと話したり、祈ったりしていると、頭の中がより整理されます。すると、自分がどうしていきたいのかがクリアになり、具体的な行動に移せるんですよね」と語った。

祈りによって得られる時間軸

 祈る時間や、祈りがかなうまでの時間。語らいの中で、たびたび特徴として浮かびあがったのは、その“時間軸”の幅だ。

 富永氏が「祈ってもあまり成功体験が得られない人もいるのか」と投げかけると3人は、「正直、祈っていても、いまだにかなっていないこともある。でもそれは、一見かなわなかったように見えて、そこにも意味があると捉えています」と回答した。

 この言葉を受けて富永氏は、普段、接する学生が行っている“SNS断ちチャレンジ”を例にあげた。ネットやSNSなど情報の渦の中で、他人に流されたり、他人をうらやましく感じたりすることもある。しかし、それらから距離をとることで、外部的な雑音を排して、自分と向き合う時間を確保している。「自分と向き合える時間と環境を自らつくる」という点において、祈る時間と共通する点もあるのではないかと述べた。

 さらに、そうした時間は、未来の“明るい側面”に目を向け、現実に起きた事象に対して何らかの意味付けができることにつながるのではないかと感じたという。志岐さんは、「(祈りがかなっていない時間は)成長するための時間だったと思います」と。続いて内田さんも、「あの時かなっていたら、今ほど満足できる自分にはなれていなかっただろうなと思うこともあります」と話す。

 こうした“意味付け”は、物事に対する多角的視点があってこそのものだと富永氏は述べる。

 また同時に、長い時間軸で捉える視点を与えてくれるともいえよう。

 3人と話す中で富永氏は、現代人は、物事に対して早急に何らかの結果を出そうとする“短期的コスパ志向”に陥りがちであるとした上で、「結果が出なかったから終わりではなく、その結果も、未来の成功の糧と位置づけられるのは重要なことではないか」と語った。

 この点について、祈る時間を通して思索することで、長期的な視点が得られ、結果的に豊かな人生観が育まれるのではないかとの議論になった。

 富永氏は、「今の人って、とにかく密度高く何かしら行動することが重要だと思いすぎているんじゃないでしょうか。でも、失恋したからって性急に彼氏をつくらなきゃいけないものでもないじゃないですか(笑)。5時間祈ったって全然いいですよね。『むしろその方が豊かだよ』って思えることなのかな」と述べた。

 悩みに対する具体的な行動はもちろん必要だ。しかし、富永氏は“傷”に対してすぐに手当するのではなく、一度立ち止まり、思索を重ねる時間がむしろ必要なのではないかと語った。

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SEIKYO SHIMBUN