スポーツの枠を超え、エンターテインメントとして新たなファンを獲得し、再び盛り上がりを見せているプロレス。今回は、プロレスマスクを専門に制作するPUKUPUKU工房の代表、神谷淳さんの登場です。モノづくりへの思いと、勝つための思考について聞きました。
小学6年で、1人東京へ
■プロレスとの出合いは、小学4年生の時だそうですね。
テレビでたまたま初代タイガーマスクの試合を見て、もう次の日からプロレス一色に(笑)。コーナーから飛び跳ねたり、アクロバティックな技が衝撃でした。
同時に、僕はおもちゃなど自分で作るのが好きだったので“マスクかっこいいな”と、そこにも興味を持ちました。最初は紙袋にティッシュでひげを付けて。次は似た生地で試行錯誤し、プロレス雑誌を見本に、ミシンで作るようになりました。
ある時、初代タイガーマスクのマスクを作ってる工房の記事を見て。当然、行きたくなるじゃないですか(笑)。
■浜松から1人で訪問する行動力がすごいです。
実は記事を見てすぐ手紙を出したら、小学生の僕に丁寧な返事をくださり、2年くらい文通してたんです。
実際に工房を訪ねたのは、6年生の時。不安より好奇心が勝ちましたね。師匠も快く迎えてくださり、ミシンが並ぶ中でいろんな話を聞けて、生地や型紙もくださって、感動しました。そんな師匠の姿に憧れて、卒業文集に「プロレスのマスク屋さんになりたい」と書きました。
その後、中高大と趣味でマスク制作は続けましたが、大学卒業時には、マスク職人で食べていくのは厳しいと考え、地元企業に就職しました。社会人になってからも、友人へのプレゼントなどで作ったりはしてましたね。
スロースターターが勝つ戦略
■起業のきっかけは?
20代はレジャー関連企業のマーケティング部門で企画やプロモーションを学び、30歳を前に、東京の人材派遣会社に転職しました。
人のキャリアアップを応援するうち“自分のキャリアは?”と……。自分の裁量でやれる経営者になろうと決め、37歳から起業に関する本を読みあさり、39歳から夜は起業スクールに通い、浜松のビジネスコンテストで入賞できたんです。
それで、僕の強みである「アイデアとモノづくり」のかけ算で挑戦しようと起業しました。3年でダメなら会社員に戻ればいいやと思って。長男はまだ1歳だったので「いいよ」と言ってくれた妻はすごいと思います(笑)。