CAREER

Z世代は「越冬世代」 世代・トレンド評論家 牛窪恵さん

電子版連載「著者に聞いてみよう」

 「おひとりさま」「草食系」「年の差婚」などの流行語を世に広めた、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん。新著『Z世代の頭の中』(日経BP・日本経済新聞出版)で牛窪さんは、Z世代を「越冬世代」と名づけました。今回の「著者に聞いてみよう」では、コロナ禍で始まった学生・社会人生活に適応しながら、慎重に関係と未来を築いている若者像に迫ります。

一刀流ではなく「二、三刀流」で

 ――今回、大規模調査とインタビューを実施されたそうですね。

 昨年2024年の夏から冬にかけて、Z世代約1600人の定量調査(CCCマーケティング総合研究所と共同)と、55人への個別インタビューを行いました。そこで特に感じたのが、Z世代は「コロナで始まりを奪われた世代」であるという点です。

 多くが、大学入学や就職の"初期体験"がオンライン中心だったため、彼らから「本来なら、もっと仲良くなれた」「輪に入る助走がなかった」という、後悔の言葉が多く挙がりました。

 同時に、将来が読めない中で、一つの道に賭けるのではなく、複数のスキルや役割を持つ「二刀流・三刀流」的な姿勢が見えました。「会社員×副業クリエイター」「学生×地域活動」など、キャリアを一つに固定しない。これは迷いではなく、変化を先取りする合理的な備えです。

 私はこれらの特徴を、Z(ゼット)と「越冬(えっとう)」の響きを重ねて、「越冬世代」と呼んでいます。渡り鳥が気候に合わせて飛ぶ場所を変えるように、冬眠前の動物たちが栄養を蓄えるように、環境に合わせて動き、未来に備えるのです。

※写真は本人提供

「アジャイル型」を志向

 ――慎重に見えても、立ち止まるわけではないのですね。

 この世代にとっては、"最初から完璧"を目指すより、まずは試してみる姿勢が自然のようです。アプリを更新するように、動きながら改善していく「アジャイル型」といえるでしょう。

 コロナ禍で人間関係の機会を逃したという後悔を抱えながらも、「じゃあ今から」「少しずつやればいい」と、遅れを恐れず前に進む力が見られます。止まっているのではなく、状況に合わせて調整しながら進むのです。

 一方で、人とのつながり方にも特徴があります。SNSとリアルを使い分け、複数の居場所を持つ――。こうした姿勢は「本音が見えない」と映ることもありますが、実際は一つの関係に過剰に依存せず、自分を守りながらつながりを持ち続けていくためのリスク分散です。

 「ここが揺らいでも、別のつながりがある」。その安心を先に用意することは、逃げ道をつくることではありません。傷ついても、心を支える「お守り」を自ら確保する力です。だからこそ、それは弱さではなく、しなやかに生きるための強さといえます。

牛窪恵さんの新著『Z世代の頭の中』
続きを読む。

RECOMMEND

SEIKYO SHIMBUN