創価教育

【電子版先行】〈ルポ 札幌創価幼稚園の今、これから〉 必ず幸せにと願い――「心の根っこ」を育む 2026年9月9日

開園50年の実り 新たな50年へ

 「幸せな一生」を“実り豊かな大樹”に例えるなら、その根は、いつ張られるのでしょう。かけがえのない幼児期に、「心の根っこ」を育む居場所があります。札幌創価幼稚園です。同園が北海道札幌市の豊平区に開園したのは1976年。今年で50周年を迎えました。時代が変わっても、愛するわが子の幸せを願う親の心は変わりません。では今を、そしてこれからを幸せに生きるために、幼児期をどんな場所で、どんな先生たちと、どのように過ごすことが大切なのでしょうか。2学期がスタートした8月20、21の両日、同園の日常を取材しました。(記事=大宮将之、写真=笠松光一)

■「遊び」は「学び」

 楽しい夏休みが終わることを、「現実に戻る」と表現する人は多いかもしれません。でも、ここでは“夢いっぱいの毎日”がまた始まります。
  
 約1カ月ぶりの登園日。午前8時50分、通園バスから降りるや、園舎へ駆け出していく園児たち。その表情や足取りは、まるで“遊園地”にやって来たかのよう。「おはようございます!」。玄関では坂本充康園長が、ハイタッチを交わしながら迎えました。

 園舎のコンセプトは「“心の根っこ”を育む おとぎのお城」です。
  
 保育室で支度を済ませ、扉を開ければ、そこは2階まで吹き抜けの「なかよし広場」。ぐるぐる回るコーヒーカップの遊具、ブロックやパズル、コマ、けん玉、縄跳びで遊べるスペースや、“○○ごっこ”遊びを楽しめる「ゆめのおうち」もあります。
  
 周囲には、工作やお絵描きができる「わくわくルーム」、うんていやミニクライミングに挑戦する「がんばるゾーン」、さらに約5000冊の蔵書から季節に合わせた絵本が並ぶ「たいようのこライブラリー」も。

 「さあ、何して遊ぼうか」。教諭たちが声をかけるか、かけないかのうちに、子どもたちは“お目当ての場所”を巡って、次から次へ。
  
 同園はこの10年、一斉保育から「遊び中心の保育」へと転換を図ってきました。まず「おもしろそう!」「やってみたい!」と心が動き、「もっとできるようになりたい」と体が動く。「なぜだろう?」「どうすれば?」と頭も回転を始める。失敗しても、また試す。友達と力を合わせ、時にぶつかりながら、助け合う知恵や優しさも身に付けていく――遊びには、発見と学びが詰まっているのです。

 教諭たちは園児たちと共に過ごす中で、一人一人の興味や関心の“芽”が出る瞬間を見逃しません。発見や挑戦に寄り添い、共感し、励まします。「幸せであってほしい」「幸せをつくれる人になってほしい」と願いながら――。

■学会員でなくても

 「なんでさっぽろに ようちえんができたんだろう?」――園舎2階の展示室に、そんなクイズが並んでいます。問いが書かれた小さな扉を開けると、答えが現れます。

 札幌は「子どもの幸福」を最大の目的に掲げた創価教育の父、初代会長・牧口常三郎先生が教員生活の第一歩をしるした地。その志を継いだ第2代会長・戸田城聖先生も、幼少・青年期を北海道で過ごしました。だからこそ札幌に「日本一、世界一の幼児教育の城」を――そう願ったのが、園創立者である第3代会長・池田大作先生です。
  
 開園前日の1976年4月15日、池田先生は教職員に語りました。「この幼稚園からは、一人も不幸な人間を出さない」。その誓いを託した園のモットーが「つよく ただしく のびのびと」でした。

 とはいえ「創価」と聞くと、「宗教教育をしているのではないか」「学会員でなければ入れないんでしょう」と考える人もいるかもしれません。
  
 取材初日、年長組に長男を通わせるお母さんに会いました。「まさに、そう思っていました。実際は全く違ったけれど」と笑います。
  
 一家全員、学会員ではありません。自身も10年間、保育士として働いてきました。長男の幼稚園選びでは、豊平区内の園のホームページを見比べ、保育環境の充実度から候補を三つに絞ったそうです。
  
 一園ずつ見学。決め手になったのは「札幌創価幼稚園の先生がとても楽しそうだったこと。園児も生き生きしていたこと」。長く保育現場に身を置いてきただけに、その姿に目が行きました。

 新しい環境が苦手な長男でしたが、通い始めるとすぐに「幼稚園、楽しい!」。その言葉に驚いたそうです。今は3歳の長女もプレ保育を利用しています。来年度、この園に入れようと決めました。

■最大の教育環境

 識者は、どう見ているのでしょう。
  
 研修をきっかけに、5年ほど同園に携わる公認心理師の坂井翔一さんは「今の時代に最も必要な『子ども一人一人に寄り添うまなざし』が、ここにはある」と語っています。「『先生が自分を分かってくれている』という事実は、安心感となる。さらに、新しいことにチャレンジする勇気にもなります」と。
  
 取材中、そんな場面が何度も。なかよし広場での遊び時間。始業式を前に園児たちは一度、保育室に戻ります。ところがブロック遊びに夢中の男の子が一人。「暗号をつくりたい」と。そばの教諭は急かしません。暗号の答えを考えます。「スイカ?」「違う!」「……トミカ!」「ピンポン!」――満足したのか、男の子は自分から立ち上がりました。この間、3分。
  
 ある保育室では、涙を流す女の子を抱きしめ、頭をなでて、ゆっくり体を揺らす女性教諭がいました。1学期は母と離れるのが寂しく、門前で泣いていたそうです。この日は初めて、泣かずに保育室まで来られました。涙には、安堵やうれしさも交じっていたのかもしれません。しばらくすると、女の子は笑顔いっぱいに遊び始めました。
  
 「待つこと」も「抱きしめること」も、その子をよく見ているからこそできること。「子どもにとって最大の教育環境は、教師自身」――この創立者の指針を、全教職員が胸に刻んでいます。

育む三つの「心の根っこ」
①つよく――自分の弱い心に負けない
②ただしく――お友達との違いを認め合い、大切にする
③のびのびと――明るく朗らかに、生き抜く

 教諭の中には卒園生も多くいます。在園時の思い出を聞くと「いたずらをしても、先生から『やめなさい!』と頭ごなしに叱られた記憶がない」と異口同音に振り返ります。同じ目線までしゃがみ、手を握って「どうして、こういうことをしちゃったのかな?」と聞いてくれた、と。
  
 「子どもの人格を尊重する」――今では広く語られるようになったこうした関わりを、同園では50年前から積み重ねてきたのです。

■何があっても大丈夫

 8月21日の朝。園舎2階の「王子王女ホール」で、一人の女性がモップをかけていました。園の清掃員です。ホールの壁には、50年間の入園生の銘板が並んでいます。
  
 女性は時折、その銘板を見上げていました。聞けば、長男が6期生、長女が7期生だといいます。「この園で過ごせたことが、どれだけ幸せなことだったか。今の園児の皆さんも、大人になったら、きっと実感するでしょう」

 その幸せを、わが子にも――そんな願いを抱いていた卒園生がいます。12期の飛澤あやさん。胃がんの再発と闘い、2024年3月、42歳で亡くなりました。
  
 あやさんが交際中から、夫の友和さんによくしていた話があります。「私の思い出の中で、札幌創価幼稚園が一番楽しかったんだ」。さらに、「自分に子どもができたら、入ってほしいな」とも。
  
 当時、友和さんは学会員ではなく、「彼女が学会員だから、そう思うのかな」「幼稚園は、どこもそれほど変わらないのでは」と思っていたそうです。それでも、長男の律希さん(小学4年)を入園させると「見方が一変しました」。こんなにも一人一人を大切にし、保護者にも寄り添い続けてくれるのか――と。
  
 そのことを、より強く感じたのが、あやさんの闘病中でした。教職員はいつも相談に乗り、園生活の面でもさまざまに心を砕き、祈ってくれました。園を通してつながった保護者や地域の方々も、支えてくれました。飛澤さん夫妻は「一人じゃない」と何度も感じたそうです。
  
 友和さんには、あやさん自身の生き方も、この園が大切にしてきたものと重なって見えました。どんな時も自分の弱い心に負けない人でした。闘病中でも、人のことを思って涙を流す人でした。友和さんが「妻の一番惚れたところ」と語るのも、人の痛みを自分のことのように受け止めるところです。苦しい時にも明るさを失わず、家族や周囲の人たちを励まし続けました。
  
 「つよく ただしく のびのびと」――園のモットーを「生き抜いた妻でした」と、友和さんは振り返ります。
  
 長男に続き、長女・泉希さん(年長)の入園が決まると、あやさんは安心したようにほほ笑んで、こう言ったそうです。「子どもたちは、何があっても大丈夫」

 こんな場面があったと、教諭が友和さんに教えてくれました。年長組のある男の子が延長保育になり、寂しくて泣いていた時のこと。「泉希ちゃんがぬいぐるみを三つ持って、その子に優しく渡し、励ましていたんです」
  
 8月21日午後、園は9月入園の園児と保護者を迎えました。中には千葉県から札幌に引っ越してきた一家も。園の夏のイベント「太陽の子まつり」にも参加していた新園児は、待ちきれないとばかりに言いました。「楽しみ!」

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<園の1年 フォトアルバム>

 札幌創価幼稚園の春夏秋冬――1年間の行事を写真でまとめたフォトアルバムを、こちらからご覧いただけます。

<9月26日(土)に入園説明会>

 札幌創価幼稚園では9月26日(土)に、2027年度の入園説明会を開催します。詳細は、こちらから。