企画・連載

〈SDGs×SEIKYO〉 解説編「なんで森林の減少が世界で進んでいるの?」 2022年11月23日

 「SDGs×SEIKYO」の解説編「ちーちゃんと考える 未来のカタチ」。今回は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標15「陸の豊かさも守ろう」がテーマです。

1990年から2020年までの間に
日本の5倍の面積の森林が消滅

 ちーちゃん、楽しそうにしてるけれど、どこかにお出かけかい?

 うん! みんなで山にキャンプに行くんだ!

 それはいいねー! でも、ちゃんと後片付けして、ゴミは残さずに持ち帰ってくるんだよ。あと、たき火もするだろうから、山火事には十分注意してね。

 山火事!? 木がたくさん燃えちゃうってこと?

 その通り。日本では毎日平均して3件も起きているんだ。乾燥した国と比べると日本は定期的に雨が降るから、大規模な焼失にはつながっていないけれど、最近5年間で、約3200ヘクタールが焼損したんだよ。

 そうなんだね。海外では、もっとひどいの?

 気候変動などの影響で、世界各地で森林火災が増えているんだ。オーストラリアでは2019年から20年にかけて、大規模な森林火災が起きて、1800万ヘクタール以上も焼失したといわれている。アメリカのカリフォルニア州でも20年に、過去最悪の森林火災が起きて、東京都の約8倍の面積が焼失したんだ。

 え、そんなに!

 ああ。昨年には、記録的な熱波に見舞われたヨーロッパで、過去最悪の山火事が起きている。
  
 森林が燃えることで、気候変動の原因である温室効果ガスの二酸化炭素が大量に排出される。森林には二酸化炭素を吸収する力があるから、問題はさらに深刻だ。

 でも、どうしてそんなことになっちゃったの?

 これまで人類は、自分たちの住む場所や農地の確保、資源の開発など、豊かな生活を求めて、たくさんの森林を伐採してきた。その結果、森林の二酸化炭素を吸収する力が弱まったことで地球温暖化が進んでいる。そして今度は、それらが原因で山火事が起きて、また森林が減ってしまうという、悪循環に陥っているんだよ。

 そうなんだ……。どれぐらい、森林がなくなったの?

 1990年から2020年までに、約1億7800万ヘクタールも減少したんだ。日本の面積が約3779万ヘクタールだから、だいたい5倍だね。

 日本が五つも入っちゃうぐらいの広さの森林が、なくなったの!?

 ああ。でも植林も増えているおかげで、90年から2000年までは年平均780万ヘクタールの減少だったのが、10年から20年は、年平均470万ヘクタールにまで抑えられたらしいよ。
  
 SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」のターゲット2には、「森林の持続可能な経営」「新規植林と再植林を大幅に増やす」とある。伐採し過ぎず、植林を増やして、持続可能な状態にしていかないと、取り返しのつかないことになるよ。

 私が大人になった頃でも、森林はちゃんと残っているかなあ……。

 人間たちの努力次第だと思うよ。目先の利益や豊かさを追いかけて、自然を破壊する生き方自体を変えていかないと、未来は暗いんじゃないかな? 地球の資源には限りがあるんだからさ。

  
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