SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」には、先進国による開発途上国への政府開発援助(ODA)の強化が掲げられています。日本のODAの中核を担う機関が、独立行政法人「国際協力機構」(JICA)です。JICAのこれまでの歩みと、SDGs達成に向けた取り組みについて、田中明彦JICA理事長に聞きました。(取材=樹下智、玉川直美)
SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」には、先進国による開発途上国への政府開発援助(ODA)の強化が掲げられています。日本のODAの中核を担う機関が、独立行政法人「国際協力機構」(JICA)です。JICAのこれまでの歩みと、SDGs達成に向けた取り組みについて、田中明彦JICA理事長に聞きました。(取材=樹下智、玉川直美)
――日本が途上国への開発援助を始めたのは、第2次世界大戦の終結から9年後の1954年でした。
連合国による占領が終わり、日本が主権を回復してから、わずか2年後です。昨年で日本のODAは70周年の節目を迎えました。
当時はまだ、経済的にようやく戦前の水準に戻った程度です。むしろ海外から多くの資金援助を受けていました。64年に開業した東海道新幹線は、世界銀行から多額の融資を受けて実現したものです。
それなのになぜ、日本はこれほど早くODAを始めたのか――。動機の一つに、責任ある国家として国際社会にいち早く受け入れてもらいたい、という思いがありました。日本は敗戦国として、4カ国に戦後賠償を行いましたが、もっと多くの国に、計り知れない損害と苦痛を与えました。ODAを通して、そうした国々に協力し、信頼を回復することは、極めて重要な課題だったのです。
――実際にODAは、その役割を果たしたのでしょうか。
日本の高度経済成長が象徴するように、戦後、東アジア諸国は急速な発展を遂げました。それは「東アジアの奇跡」と呼ばれています。日本が最もODAで経済協力をしたのは、アジア、特に東南アジア諸国です。こうした国々の経済成長の基盤構築に、日本のODAは寄与し、日本企業の直接投資、海外進出にもつながっていきました。
74年、田中角栄首相がタイとインドネシアを訪問した際、反日暴動が起こりました。当時は、日本の急速な経済進出に伴い、日本企業が現地の経済を支配しているといった反発や不信感が強かった。ですが今となっては、東南アジアで反日暴動が起こることは、ほとんど考えられません。
日本のODAの特長は、資金協力をしてインフラを整備する場合でも、技術協力と結び付けて、現地の方々の人材開発につなげてきた点です。円借款や無償の資金協力といったハードな側面だけではなく、人と人のつながりを重視し、技術を伝え、人材を育てていくソフトな側面にも力を入れてきました。「信頼で世界をつなぐ」というのが、JICAの一貫したビジョンです。
――田中理事長は約30年前に出版した著書『新しい「中世」』でも、開発途上国への経済協力、人的協力の重要性を指摘していました。「青年海外協力隊の活躍は、特筆大書されるべき」とも記されていますね。
青年海外協力隊は現在、「JICA海外協力隊」となって、69歳の方までご参加いただけます。発足から今年で60周年です。
これまでの派遣隊員数は累計で5万7000人に達します。これだけ多くの日本人が、途上国の人たちと膝を突き合わせて、一緒に汗を流して協力してきた。私はこれまで、さまざまな国を訪れてきましたが、ほぼ全ての国の指導者から、“日本のボランティアは素晴らしい。ぜひもっと来ていただきたい”と要請されてきました。
――日本が途上国への開発援助を始めたのは、第2次世界大戦の終結から9年後の1954年でした。
連合国による占領が終わり、日本が主権を回復してから、わずか2年後です。昨年で日本のODAは70周年の節目を迎えました。
当時はまだ、経済的にようやく戦前の水準に戻った程度です。むしろ海外から多くの資金援助を受けていました。64年に開業した東海道新幹線は、世界銀行から多額の融資を受けて実現したものです。
それなのになぜ、日本はこれほど早くODAを始めたのか――。動機の一つに、責任ある国家として国際社会にいち早く受け入れてもらいたい、という思いがありました。日本は敗戦国として、4カ国に戦後賠償を行いましたが、もっと多くの国に、計り知れない損害と苦痛を与えました。ODAを通して、そうした国々に協力し、信頼を回復することは、極めて重要な課題だったのです。
――実際にODAは、その役割を果たしたのでしょうか。
日本の高度経済成長が象徴するように、戦後、東アジア諸国は急速な発展を遂げました。それは「東アジアの奇跡」と呼ばれています。日本が最もODAで経済協力をしたのは、アジア、特に東南アジア諸国です。こうした国々の経済成長の基盤構築に、日本のODAは寄与し、日本企業の直接投資、海外進出にもつながっていきました。
74年、田中角栄首相がタイとインドネシアを訪問した際、反日暴動が起こりました。当時は、日本の急速な経済進出に伴い、日本企業が現地の経済を支配しているといった反発や不信感が強かった。ですが今となっては、東南アジアで反日暴動が起こることは、ほとんど考えられません。
日本のODAの特長は、資金協力をしてインフラを整備する場合でも、技術協力と結び付けて、現地の方々の人材開発につなげてきた点です。円借款や無償の資金協力といったハードな側面だけではなく、人と人のつながりを重視し、技術を伝え、人材を育てていくソフトな側面にも力を入れてきました。「信頼で世界をつなぐ」というのが、JICAの一貫したビジョンです。
――田中理事長は約30年前に出版した著書『新しい「中世」』でも、開発途上国への経済協力、人的協力の重要性を指摘していました。「青年海外協力隊の活躍は、特筆大書されるべき」とも記されていますね。
青年海外協力隊は現在、「JICA海外協力隊」となって、69歳の方までご参加いただけます。発足から今年で60周年です。
これまでの派遣隊員数は累計で5万7000人に達します。これだけ多くの日本人が、途上国の人たちと膝を突き合わせて、一緒に汗を流して協力してきた。私はこれまで、さまざまな国を訪れてきましたが、ほぼ全ての国の指導者から、“日本のボランティアは素晴らしい。ぜひもっと来ていただきたい”と要請されてきました。
世界の中の日本
世界の中の日本
――そうした評価の声がある一方、少子高齢化や社会保障費の増大などの問題がある中で、日本は海外への援助ではなく、国内課題の解決を優先すべきだとの見方もあります。
世界が不安定になれば、日本も影響を受けます。それによって経済が低迷したり、安全が脅かされたりすることになれば、国内課題も解決できなくなってしまう。日本と世界が別々に存在するわけではありません。「世界の中の日本」という現状認識を持つことが非常に大事であると考えます。
例えば、現在、日本の多くの企業が海外事業を展開しています。日本の貿易収支が赤字でも、(貿易以外のサービスや投資などを含めた)経常収支が30兆円も黒字なのは、日系企業が海外で稼いでいるからです。日本人が海外で働いたり、旅行したりする際にも、日本への信頼が高いということは、安心・安全につながります。
また、「日本の中の世界」も加速度的に大きくなっています。この10年間で、日本で暮らす外国人は急増しました。多くの企業が、外国人材に頼らなければ存続できない状況にまでなりつつある。日本がそうした人材の出身国と良い関係を維持するのは、国内の安定にも欠かせないことです。
外国人観光客も相当増えて、日本経済を力強く支えています(昨年の訪日外国人の旅行消費額は8兆1257億円)。円安の影響もありますが、日本が諸外国と友好的な関係を築けている側面も大きい。「日本の中の世界」を保っていくためにも、パートナーの国々との関係を強固にしていく必要があります。
日本のODA予算は年間5000億円台で推移しています。日本人が世界中で安全に活動でき、国内においても外国人と安心して共生していく――。そのための“投資”と考えれば、決して高過ぎるとは言えないのではないでしょうか。
〈2023年、ODA実績の国民1人当たりの負担額は、日本は先進国の中で米国に次いで17位〉
――そうした評価の声がある一方、少子高齢化や社会保障費の増大などの問題がある中で、日本は海外への援助ではなく、国内課題の解決を優先すべきだとの見方もあります。
世界が不安定になれば、日本も影響を受けます。それによって経済が低迷したり、安全が脅かされたりすることになれば、国内課題も解決できなくなってしまう。日本と世界が別々に存在するわけではありません。「世界の中の日本」という現状認識を持つことが非常に大事であると考えます。
例えば、現在、日本の多くの企業が海外事業を展開しています。日本の貿易収支が赤字でも、(貿易以外のサービスや投資などを含めた)経常収支が30兆円も黒字なのは、日系企業が海外で稼いでいるからです。日本人が海外で働いたり、旅行したりする際にも、日本への信頼が高いということは、安心・安全につながります。
また、「日本の中の世界」も加速度的に大きくなっています。この10年間で、日本で暮らす外国人は急増しました。多くの企業が、外国人材に頼らなければ存続できない状況にまでなりつつある。日本がそうした人材の出身国と良い関係を維持するのは、国内の安定にも欠かせないことです。
外国人観光客も相当増えて、日本経済を力強く支えています(昨年の訪日外国人の旅行消費額は8兆1257億円)。円安の影響もありますが、日本が諸外国と友好的な関係を築けている側面も大きい。「日本の中の世界」を保っていくためにも、パートナーの国々との関係を強固にしていく必要があります。
日本のODA予算は年間5000億円台で推移しています。日本人が世界中で安全に活動でき、国内においても外国人と安心して共生していく――。そのための“投資”と考えれば、決して高過ぎるとは言えないのではないでしょうか。
〈2023年、ODA実績の国民1人当たりの負担額は、日本は先進国の中で米国に次いで17位〉
――田中理事長は、緒方貞子JICA初代理事長(第8代国連難民高等弁務官)の後を受け、12年から3年間、理事長を務め、22年に再任されています。特に力を入れてきたことは何でしょうか。
15年に政府のODA大綱が「開発協力大綱」へと改定され、23年に再度、改定版が閣議決定されました。その両方で、人々の生存、生活、尊厳を守る「人間の安全保障」の推進がうたわれていますが、23年度版は、より明確に、全てのODA事業の指導理念として、「人間の安全保障」が掲げられています。
災害時など、「人間の安全保障」が根本的に脅かされた場合は、まず緊急人道支援が求められます。今年3月のミャンマー地震の際も、国際緊急援助隊の医療チームを派遣しました。
「人間の安全保障」を推進するには、社会や人々の生活をより強靱で健全なものにする必要があります。
JICAが注力してきた事業の一つに、長年、政府と反政府勢力の間で武力衝突が続いたフィリピン・ミンダナオでの平和構築支援があります。停戦後の社会を、より安定させるため、監視チームを派遣し、政府側と反政府側の双方に社会・経済支援を行いました。農業協力やインフラの整備、元戦闘員への技能訓練支援など、自治政府の土台をつくることに貢献しました。
都市交通システムの整備も、「人間の安全保障」を推進するための重要な課題です。公共交通機関がないと、貧しい人々の移動手段がなくなり、経済格差がさらに広がります。車ばかり走って大渋滞になり、大気汚染、温室効果ガスの排出にもつながります。
JICAが支援してきたインドの「デリーメトロ」は、今や東京メトロよりも路線の総延長が長くなりました。ほかにも、タイやインドネシア、ベトナムやバングラデシュでも、都市交通システムへの協力を行ってきました。
――田中理事長は、緒方貞子JICA初代理事長(第8代国連難民高等弁務官)の後を受け、12年から3年間、理事長を務め、22年に再任されています。特に力を入れてきたことは何でしょうか。
15年に政府のODA大綱が「開発協力大綱」へと改定され、23年に再度、改定版が閣議決定されました。その両方で、人々の生存、生活、尊厳を守る「人間の安全保障」の推進がうたわれていますが、23年度版は、より明確に、全てのODA事業の指導理念として、「人間の安全保障」が掲げられています。
災害時など、「人間の安全保障」が根本的に脅かされた場合は、まず緊急人道支援が求められます。今年3月のミャンマー地震の際も、国際緊急援助隊の医療チームを派遣しました。
「人間の安全保障」を推進するには、社会や人々の生活をより強靱で健全なものにする必要があります。
JICAが注力してきた事業の一つに、長年、政府と反政府勢力の間で武力衝突が続いたフィリピン・ミンダナオでの平和構築支援があります。停戦後の社会を、より安定させるため、監視チームを派遣し、政府側と反政府側の双方に社会・経済支援を行いました。農業協力やインフラの整備、元戦闘員への技能訓練支援など、自治政府の土台をつくることに貢献しました。
都市交通システムの整備も、「人間の安全保障」を推進するための重要な課題です。公共交通機関がないと、貧しい人々の移動手段がなくなり、経済格差がさらに広がります。車ばかり走って大渋滞になり、大気汚染、温室効果ガスの排出にもつながります。
JICAが支援してきたインドの「デリーメトロ」は、今や東京メトロよりも路線の総延長が長くなりました。ほかにも、タイやインドネシア、ベトナムやバングラデシュでも、都市交通システムへの協力を行ってきました。
複合的な危機
複合的な危機
――まさにJICAのプロジェクトは、平和構築や貧困の解消、住み続けられる街づくりなど、SDGsの17の目標を横断的に達成していく取り組みになっているんですね。
15年に採択されたSDGsは、現在、達成が非常に難しい状況に置かれています。コロナ禍による世界経済の低迷に始まり、気候変動による災害、紛争や内戦など、複合的な危機が続いているからです。海外で人道支援などを行ってきた米国国際開発庁も、事実上、解体されました。SDGs達成に欠かせないODAを通じた協力は、相当縮小するのではないかと危惧されています。
だからこそ、限られた資源で、より大きなインパクト(効果)を与えられる開発協力が求められています。世界的に財政状況が厳しくても、有志国を募って、一生懸命に知恵を絞って、一緒に成果を積み上げていけば、SDGsの達成に少しでも近づけるのではないでしょうか。
「人間の安全保障」を促進するため、達成されるインパクトを最重視してきた日本には、その国際的な努力をリードする知見があると信じています。
――限られた資源で、より高い効果を生んできた事業とは、例えばどのようなものでしょうか。
日本が各国で推進してきた「母子手帳」は、その最たる例ではないでしょうか。これまでJICAが支援し、40カ国近くで母子手帳が使用されてきました。紙の印刷代はかかりますが、長期的に影響力のあるプロジェクトです。JICA以外にも、多くの国際機関が協力してくれています。
JICAが開発した、小規模農家の所得向上を支援するプロジェクト「SHEP(市場志向型農業振興)アプローチ」も効果を発揮しています。
開発途上国の小規模農家は、“自分たちが生きるために作物を育て、余ったものを売る”という考えの方が大半を占めます。これを、一緒に市場調査を行うなどの研修を通して、「作ってから売る」のではなく「売るために作る」というマインドセット(考え方)に変えていくのです。
ケニアでは、このアプローチによって、わずか2年間で2500もの小規模農家の収入が倍増しました。最初はJICAから専門家を派遣して研修を行うのですが、現地政府の正式プログラムとして引き継がれていったケースもあります。これまで世界60カ国で、「SHEPアプローチ」が実践されてきました。
――まさにJICAのプロジェクトは、平和構築や貧困の解消、住み続けられる街づくりなど、SDGsの17の目標を横断的に達成していく取り組みになっているんですね。
15年に採択されたSDGsは、現在、達成が非常に難しい状況に置かれています。コロナ禍による世界経済の低迷に始まり、気候変動による災害、紛争や内戦など、複合的な危機が続いているからです。海外で人道支援などを行ってきた米国国際開発庁も、事実上、解体されました。SDGs達成に欠かせないODAを通じた協力は、相当縮小するのではないかと危惧されています。
だからこそ、限られた資源で、より大きなインパクト(効果)を与えられる開発協力が求められています。世界的に財政状況が厳しくても、有志国を募って、一生懸命に知恵を絞って、一緒に成果を積み上げていけば、SDGsの達成に少しでも近づけるのではないでしょうか。
「人間の安全保障」を促進するため、達成されるインパクトを最重視してきた日本には、その国際的な努力をリードする知見があると信じています。
――限られた資源で、より高い効果を生んできた事業とは、例えばどのようなものでしょうか。
日本が各国で推進してきた「母子手帳」は、その最たる例ではないでしょうか。これまでJICAが支援し、40カ国近くで母子手帳が使用されてきました。紙の印刷代はかかりますが、長期的に影響力のあるプロジェクトです。JICA以外にも、多くの国際機関が協力してくれています。
JICAが開発した、小規模農家の所得向上を支援するプロジェクト「SHEP(市場志向型農業振興)アプローチ」も効果を発揮しています。
開発途上国の小規模農家は、“自分たちが生きるために作物を育て、余ったものを売る”という考えの方が大半を占めます。これを、一緒に市場調査を行うなどの研修を通して、「作ってから売る」のではなく「売るために作る」というマインドセット(考え方)に変えていくのです。
ケニアでは、このアプローチによって、わずか2年間で2500もの小規模農家の収入が倍増しました。最初はJICAから専門家を派遣して研修を行うのですが、現地政府の正式プログラムとして引き継がれていったケースもあります。これまで世界60カ国で、「SHEPアプローチ」が実践されてきました。
――創価学会青年部も、SGIユースとして国連「未来サミット」に積極的に関与するなど、SDGsの推進に取り組んできました。最後に、若者世代へのメッセージをお願いします。
昨年の「未来サミット」において、SDGsをさらに推進していくための協定が採択されました。複合的な危機に直面する国際社会が、そのための協力を約束通り行えるかは、実際は、かなり難しい状況なのかもしれません。しかし、だからといって諦めるわけにはいきません。最も脆弱な地域の状況がさらに悪化していくことは、世界全体にとって、もっと多くの人々の「人間の安全保障」が脅かされることにつながるからです。
そのためには、同志国と一緒に、一歩ずつ、SDGs達成のために努力していくことが必要です。
若い方々には、「世界の中の日本」、そして「日本の中の世界」の両方を意識してもらいたい。世界に飛び立って、どんどん活躍してほしいですし、日本国内でも、世界につながることができます。
例えば、排外主義や差別・偏見は、「人間の安全保障」にとって脅威です。自身の周りから、そういったものが大きくならないよう努力していくこと自体が、「日本の中の世界」や「人間の安全保障」への貢献につながります。“グローカル(地球規模で考え、地域で行動する)”な視点で、自分に何ができるかを考えていくことが重要なのではないでしょうか。
――創価学会青年部も、SGIユースとして国連「未来サミット」に積極的に関与するなど、SDGsの推進に取り組んできました。最後に、若者世代へのメッセージをお願いします。
昨年の「未来サミット」において、SDGsをさらに推進していくための協定が採択されました。複合的な危機に直面する国際社会が、そのための協力を約束通り行えるかは、実際は、かなり難しい状況なのかもしれません。しかし、だからといって諦めるわけにはいきません。最も脆弱な地域の状況がさらに悪化していくことは、世界全体にとって、もっと多くの人々の「人間の安全保障」が脅かされることにつながるからです。
そのためには、同志国と一緒に、一歩ずつ、SDGs達成のために努力していくことが必要です。
若い方々には、「世界の中の日本」、そして「日本の中の世界」の両方を意識してもらいたい。世界に飛び立って、どんどん活躍してほしいですし、日本国内でも、世界につながることができます。
例えば、排外主義や差別・偏見は、「人間の安全保障」にとって脅威です。自身の周りから、そういったものが大きくならないよう努力していくこと自体が、「日本の中の世界」や「人間の安全保障」への貢献につながります。“グローカル(地球規模で考え、地域で行動する)”な視点で、自分に何ができるかを考えていくことが重要なのではないでしょうか。
たなか・あきひこ 1954年、埼玉県生まれ。東京大学を卒業後、米マサチューセッツ工科大学大学院で博士号(政治学)を取得。東京大学教授、同大学副学長、日本国際政治学会理事長、政策研究大学院大学学長などを歴任。著書に『新しい「中世」』(サントリー学芸賞)、『ワード・ポリティクス』(読売・吉野作造賞)など多数。
たなか・あきひこ 1954年、埼玉県生まれ。東京大学を卒業後、米マサチューセッツ工科大学大学院で博士号(政治学)を取得。東京大学教授、同大学副学長、日本国際政治学会理事長、政策研究大学院大学学長などを歴任。著書に『新しい「中世」』(サントリー学芸賞)、『ワード・ポリティクス』(読売・吉野作造賞)など多数。
●ご感想をお寄せください。
sdgs@seikyo-np.jp
●聖教電子版の「SDGs」特集ページが、以下のリンクから閲覧できます。
https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html
●海外識者のインタビューの英語版が「創価学会グローバルサイト」に掲載されています。
https://www.sokaglobal.org/resources/expert-perspectives.html
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https://www.seikyoonline.com/summarize/sdgs_seikyo.html
●海外識者のインタビューの英語版が「創価学会グローバルサイト」に掲載されています。
https://www.sokaglobal.org/resources/expert-perspectives.html
書籍「ちーちゃんと学ぼう! みんなのSDGs」が好評発売中
書籍「ちーちゃんと学ぼう! みんなのSDGs」が好評発売中
『ちーちゃんと学ぼう! みんなのSDGs』(写真)が好評発売中である。
同書は本紙の企画「ちーちゃんと考える 未来のカタチ」を書籍化したもの。連載中の4こま漫画「ちーちゃん家」のキャラクターたちが、SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標や、世界が直面する諸課題について解説し、地球の未来のカタチを楽しく学ぶことができる。
SDGsに関するクイズやコラム、4こま漫画も収録。親子での学習や、座談会での企画に活用できる一書である。
潮出版社刊。1650円(税込み)。全国の書店で購入・注文可能。聖教ブックストアのウェブサイトでも受け付け中。電話=(0120)983563(午前9時~午後5時、土・日・祝日を除く)。※電話の場合、支払いは代金引換のみ。FAXでの注文はできません。コンビニ通販サイト「セブンネットショッピング」「HMV&BOOKS online」での注文、受け取りも可能です。
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SDGsに関するクイズやコラム、4こま漫画も収録。親子での学習や、座談会での企画に活用できる一書である。
潮出版社刊。1650円(税込み)。全国の書店で購入・注文可能。聖教ブックストアのウェブサイトでも受け付け中。電話=(0120)983563(午前9時~午後5時、土・日・祝日を除く)。※電話の場合、支払いは代金引換のみ。FAXでの注文はできません。コンビニ通販サイト「セブンネットショッピング」「HMV&BOOKS online」での注文、受け取りも可能です。