連載「就活、こうやってのりこえました。」の第2回は、創価大学国際教養学部を卒業し、第一志望であるエンターテインメント業界の大手企業で働く、矢野遥菜さんを紹介します。華やかに見える内定の裏には、「自分の仕事は誰かの役に立つのだろうか」という葛藤がありました。
■周囲を頼り、対話で切り開いた就活
――学生時代、第一志望の企業から内定を勝ち取られました。その要因は何だったと思いますか。
一番は、就活を通して大学の職員や先輩など、多くの「縁」に恵まれたことだと思います。私の親戚や身内は公務員が多く、民間企業への就活について身近に相談できる人がいませんでした。また、コロナ禍で大学生活の多くがオンラインになり、先輩との接点も少なくて。誰に頼ればいいのか分からず、最初は本当に手探りでした。
――自ら周囲に働きかけていったのでしょうか。
そうですね。創大就活合宿(※)に参加した際、就活における譲れない部分というか、自分の「軸」が分からずモヤモヤしていました。それをキャリア専門の大学職員の方に率直に相談したところ、「矢野さんのこれまでの話を聞いていると、こういうことじゃないかな」と投げかけてくれて。その言葉が、驚くほど自分の中にストンと落ちたんです。そこから、エントリーシートの書き方や面接対策に詳しいOB・OGを紹介してもらうなど、目の前の道が広がっていきました。
(※)創大就活合宿:外資系・日系グローバル企業、国内優良企業などを志望する学生が、創価大学の建学の精神を学び、社会で活躍するための力を磨く宿泊型プログラム
■「書く」と「祈る」で深めた自己分析
――就活で最も苦労したことは何ですか。
終わりの見えない「自己分析」です。自分の過去を掘り起こす作業は、もちろん時間がかかりますし、時に苦い記憶や嫌な思い出とも向き合わなければならず、精神的にもハードでした。
――その苦しさを、どう乗り越えたのでしょう。
私は「書くこと」と「祈ること」を大切にしていました。人には話しにくいネガティブな感情も、まずは紙に書き出す。そうすることで、少しずつ思考が整理されていきました。
そして、行き詰まった時こそ、御本尊に向かいました。祈る中で、「自分の本当の願い」を再確認できたんです。この二つはいずれも、私にとっては欠かせない「自分との対話」の時間でした。
■「あの企業に入りたい」から「あの企業でこう貢献したい」へ
――面接では「その企業のファンとしてではなく、届ける側を意識した」という話が印象的でした。
ある時、大学のキャリアセンターの方から「ES(エントリーシート)は企業へのラブレターだ」と言われたんです。告白する時、自分の自慢話や相手が関心のない話ばかりをしても相手には響きません。相手のことを理解しようと努め、もしも旅行好きだったら、「一緒にきれいな景色を見よう」と伝える方が良いですよね。
これを企業に置き換えると、「私は英語が話せます」とアピールするのではなく、その企業がアジア進出を狙っているのなら、「私のアジア留学経験と英語力で、現地の新規開拓に貢献します」と伝える。このように、相手(企業)のことを調べた上で、「自分に何ができるか」を具体的に提示することが重要だと気付きました。
それ以来、企業のビジョンや課題を深く掘り下げるようになり、面接で発する言葉の説得力が大きく変わったと実感しています。
――入社のことだけでなく、その先を見据えたのですね。
はい。ただ、エンターテインメントという「華やかな世界」を目指すことに、葛藤もありました。
大学では、貧困などの社会問題の解決を志す友人も多く、キラキラした非日常を提供する仕事は、どこか現実の苦しみから目を背けているのではないかと思ってしまったんです。でも、悩んでいる人や大変な思いをしている人が、エンタメの力で元気づけられている姿を見たときに、それもまた、大切な貢献の形ではないかと思った瞬間がありました。
今思えば、当時の私は、社会問題の現場に直接関わることだけが社会貢献だと考え、そのほかの関わり方が見えていませんでした。
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