RELATIONSHIP

〈Colorful〉 評価されたけれど、自信が持てない…それ、インポスター症候群かも

公認心理師 小高千枝さん

目の前の仕事を懸命にやってきた。難しい業務にも挑戦してきた。周囲は評価してくれるけれど、自信が持てない……。こうした心理状態をインポスター症候群といいます。どういった時に陥りやすくなるのか、また対処法について、メンタルヘルスケア&マネジメントサロン代表で公認心理師の小高千枝さんに聞きました。

責任や期待によって

インポスターとは、英語で詐欺師や偽物を意味します。インポスター症候群とは、「周囲から高く評価されているけれど、実際の自分にはそれほどの実力はなく、人をだましているんじゃないか」と感じてしまう心理状態のことです。

 自己評価と他者評価にギャップがあるため、評価されたり褒められたりしても「過大評価されている」「本当の自分は違う……」と否定的に捉え、罪悪感を抱いてしまうのが特徴です。

 期待されるのが重荷で苦しい、偽りの自分を演じているようで疲れてしまう、たいしたことのない自分をいつ悟られるのだろうと不安になる……こうした心苦しさや葛藤から、やる気が起きなくなったり、好きだったことに意欲的に取り組めなくなったりすることもあります。病気ではなく、心理傾向や心のクセと考えられています。

インポスター症候群に陥りやすくなるのは、プロジェクトリーダーに抜てきされる、チームの責任者になるなどステップアップした時、企画書やプレゼンテーションの内容を高く評価される、重要なプロジェクトを任されるなどした時です。自分としては分不相応と感じる評価や期待を受けた時でもあります。その意味では、働き盛りで責任や期待が増える時期は、インポスター症候群に陥りやすいといえるでしょう。

 また、経験を積み、広い視野で物事を考えられるようになることで、「まだまだだな」と自分の未熟さを感じるようになることも、陥りやすくなる背景の一つです。

性差に関係なく

インポスター症候群は、社会的に成功している女性を対象にした研究から生まれた概念ということもあり、女性の方が陥りやすいといわれてきました。実際、結婚や妊娠・出産による生活環境やキャリア形成の変化は、多くの女性に心理的影響を及ぼしてきたと思います。

 また、男性の場合、成功は自分の能力や才能、努力などの個人的な要素に結び付け、失敗は外部のせいにする傾向があるのに対して、女性の場合、成功はタイミングや運のおかげ、失敗は個人的な欠点と思いやすい、という考えもありました。

 しかし、何をどう感じるかは、性別によって決められるものではありません。本人の性格や育った環境、社会・文化的な背景など、さまざまな影響を受けます。

 ひと昔前と違い、男性に求められる役割も変わってきました。職場でも家庭でも責任が重くのしかかり、プレッシャーを抱えながら必死に踏ん張っている男性は少なくありません。そうした中で「強くあらねばならない」という無意識の思い込みから、自信を失っているのに気付いていないことがあります。

 別掲でインポスター症候群に陥っている時に見られがちな思考や行動を紹介します。自分の心の状態を把握する一つの目安として、チェックしてみてください。

 インポスター症候群は、懸命に頑張ってきたからこそ陥る心の状態です。努力してきた証しであり、自分の人生と真摯に向き合っているがゆえの不安や違和感でもあります。一人で抱え込まず、信頼できる人に自己開示し、焦らず、自分を取り戻していただけたらと思います。

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