RELATIONSHIP

“つながる力”の育み方

〈教育〉「Yukuri―te」代表理事 小児神経科医 湯浅正太さん

心の不調の予防

 心に不調を来した子どもたちを診療する中で、実感してきたことがあります。それは、幼少期や思春期に抱えてしまった心の問題を立て直すには、とてつもない時間と労力がかかるということです。

 薬やカウンセリングという治療も万能ではありません。子どもの心の健康は、問題が生じてから対処するよりも、日頃から健全な心を育みながら、維持していく予防的対策が大切なのです。

 “子どもたちの心の病気を予防するために、何かサポートできることはないか”という思いから、一般社団法人「Yukuri―te(ゆくりて)」を設立しました。児童発達支援事業所などと連携しながら、支援に携わっています。

 法人名にある「ゆくり」とは、「縁」や「つながり」を意味する古語です。なぜ、この言葉を使ったかというと、不登校をはじめ、さまざまな課題を抱える子どもたちと関わる中で、「ゆくり」の精神的効果を感じていたからです。

 人間は元来、“人とつながりたい”という欲求をもっています。人とつながることによって安心感が生まれ、不安やストレスが解消されていきます。

 つながることで不安を解消するという「ゆくりのサイクル」は、精神面の健康のために不可欠です。逆に、このサイクルが悪循環に陥ると、子どもは生きづらさを抱えやすくなってしまいます。

 もちろん、心の不調の予防のためには、栄養や睡眠を十分に取るなど、生活習慣を整えることは欠かせません。その上で、家庭や学校での「つながり」を意識していくことがポイントになります。

あいさつの習慣

 子どもの“つながる力”を育む土台は、家庭内の交流です。その交流に役立つ「五感を使おう」 (別掲)を参考に、「目」「耳」「鼻」「口」「肌」を使って、家族同士の触れ合いを意識するようにしてみてください。

 一つ一つの項目が、家族として当たり前のように思われるかもしれませんが、そうとも言えない現実があります。昨今は、共働き世帯が増え、多忙な親御さんが増えています。

 また、ほとんどの親子がスマホを所有し、家に一緒にいながらも、それぞれの画面を見つめているだけという家庭もあるかもしれません。親が、子どもと意識的に触れ合う時間をつくっていく必要があります。

 こうした触れ合いを家庭習慣として定着させる上で意識したいのが、①「あいさつ」②「笑顔」③「視線を合わせる」の3点です。人とつながり、学校や社会で円滑に生活していくための基本スキルとも言えるでしょう。

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