創価教育
〈SOKA SPORTS――創価スポーツ〉 創価高校・硬式野球部 2026年7月2日
今回の「SOKA SPORTS」は、東京・創価高校硬式野球部を取り上げる(関西創価高校は6月28日付2面に掲載)。19年ぶり6度目の夏の甲子園を目指し、創価は西東京大会1回戦(5日)で都立千歳丘高校と対戦する。勝ち進めば、2回戦(13日)で春の都準優勝校で第1シードの国士舘高校とぶつかる。集大成の夏に臨む創価ナインの成長物語を追った。
8月の大舞台を前に、全国各地で球児たちの熱い戦いが始まっている。
“今年こそ甲子園へ”と、はやる気持ちを抑えながら、6月下旬、創価高校(東京・小平市)の東大和グラウンドと誓球寮を訪ねた。
出迎えてくれたのは、就任3年目の堀内尊法監督。「うちの施設を片っ端から紹介しますよ」と、部の魅力が丸分かりのパンフレットを手に、笑顔で語り始めた。
まずは東大和グラウンド。両翼100メートル、中堅120メートルと、明治神宮野球場とほぼ同規模の広さを誇り、人工芝は昨年、プロでも使われる最新仕様へと全面改修された。LED照明も新しくなり、午後10時まで練習可能だという。
グラウンドに隣接する誓球寮には、全員が集まれる食堂をはじめ、ジェットバス付きの浴室、雨でぬれたグラブやスパイクを乾かすための乾燥室などを完備する。
取材当日は、あいにくの雨だったが、寮に直結する室内練習場からは打球音や選手たちのかけ声が聞こえてきた。ここにはトレーニングルームもある。
「このグラウンドでプレーしたいと、他県から練習試合に来る有力校も多いんです」と堀内監督が言うように、恵まれた野球環境は“高校球界随一”と評価されている。施設の見学を通して入学を決めた部員も少なくない。
選手たちは、この抜群の設備を生かし、野球に打ち込む日々を過ごしている。
だが監督が重視するのは、技術の向上だけではない。
「人間野球」である。
野球だけができる“野球人間”を育てるつもりはない。野球を通して人格を磨き、社会に出ても勝利する人間を育成することが目的だ。
その原点は、創価大学硬式野球部での30年に及ぶ指導者経験にある。
リーグ優勝46回。創大を全国屈指の強豪校へと導いた岸雅司元監督の下で主将として活躍し、卒業後はコーチとして指導力を蓄えた。
「岸さんからは、野球を通じて創立者・池田先生の人生哲学を学び、人間として成長する大切さを教わりました。目標は日本一であり、高校野球でいえば甲子園で勝つことです。目的は競技生活の先の『人生の勝利』を目指すことです」
もっとも、それは指導者が一方的に呼びかければ成り立つというものではない。
創大の監督を経て創価高校の監督に就いて以来、続けているのが、部員全員との「交換日記」だ。
一人一人とノートを介し、双方向の語らいを重ねる。彼らが記す内容は、その日の練習の振り返りだけにとどまらない。学校生活での出来事、家族や友人への思いなどがつづられる日も。多感な年代ゆえ、表には出しにくい心の声を知る場合もある。
「これは単なる野球日記ではありません。一人一人の成長の記録であり、自分の歴史を刻むノートです」
監督は毎日、目を通し、それぞれにコメントを添える。時には創立者の言葉を贈り、葛藤や不安を抱える選手の背中を押すこともある。
人間野球の土台は感謝の心であり、人を思う感受性である。白球を追いかける中で培った哲学が、人生の勝利につながるとの確信を、監督はノートに込めて伝えている。
昨秋の都大会1回戦で、創価は強豪・日大鶴ケ丘に快勝するも、2回戦では成立学園に3対4で惜敗した。
雪辱を期して臨んだ春季大会は、初戦で甲子園常連の東海大菅生と対戦。雨で継続試合となった激闘を延長10回タイブレークで制した。しかし、続く佼成学園には5対6で敗れてしまう。
秋・春ともに、山場を勝ち越えた次戦で、終盤に逆転され、1点差で力尽きた。
「甲子園に行くために、足りないものは何か」――春の大会後、選手たちは皆で話し合い、自らにも問いかけた。
川久保頼太主将(3年)を中心に出した答えは「積み上げてきた練習に対する自信を揺るぎないものにすること」。
試合終盤の気の緩みを戒め合いながら、改めて創立者の指針「心で勝て」の意味をかみ締めた。
日々の野球との向き合い方を見直した。準備運動の段階から気を抜かない。打撃も守備も、練習では一球一球を大切にする。勝利への妥協を許さない姿勢を、チーム全体で徹底した。
グラウンドだけではない。寮生活も「野球の一部」として捉え直した。
寮長の稲田英則選手(同)は語る。
「“誰が見ても気持ちの良い寮にしよう”と皆で確認し合っています。整理整頓や水回りの清掃を欠かさず、気付いたことがあればすぐに行動するよう心がけています。そうした習慣が、必ず野球につながると信じています」
意識改革の成果は、夏に向けた強化試合で徐々に表れ始める。
プロ注目投手を擁する強豪校との一戦では、五回までに6点差をつけられながらも、最後まで諦めずに追い上げ、僅差まで詰め寄った。
他の有力校との練習試合でも、終盤の粘りで接戦を制したり、逆転勝ちを収めたりする場面が増えた。
敗戦から学び、自身の弱さに打ち勝つことを追い求めてきた創価ナイン。まず心で勝ち、次に技で勝つ人間野球の真価を発揮し始めている。
堀内監督に西東京大会の組み合わせについて聞くと、「最高の結果です」と自信をのぞかせた。
国士舘、早稲田実業、八王子と同じブロック。実力校がひしめく“戦国・西東京”を勝ち上がる道のりは、平坦ではない。
初戦の開始時間は午前9時。勝ち進めば、その後も早い時間帯の試合が続く。常に最高のコンディションで臨めるよう、選手たちは今、毎朝5時に起床し、登校前の約1時間、グラウンドで汗を流す。
寮で寝食を共にする堀内監督は、「朝5時前に、選手たちが動き出す音で起きることもあります」と目を細める。
一人一人が自分にできることは何かを考え、行動に落とし込んでいるのだ。
いざ決戦へ。チーム一丸の挑戦が幕を開ける。
川久保主将は意気込みを語る。
「全国で応援してくださる皆さんの期待に応えたいです。野球部に関わる全ての方々、そして創立者のために、一戦一戦に全力で挑み、甲子園の切符をつかみ取ります」
取材後、寮に掲げられた横断幕が目に入った。
「人生の三カン王(三冠王)! 感謝と歓喜で感動を与える人材に!」
19年ぶりの夢舞台へ――創価の熱闘に期待が高まる。
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