企画・連載

明年は開学50周年――創価大学の魅力を学生が語る 2020年10月25日

〈創大マガジン〉

 創価大学の魅力に迫る「創大マガジン」。明年、開学50周年を迎えるにあたり、学生が実感する“創大の教育力”や、新たな10年の展望について、神立副学長と学生の代表3人に語り合ってもらった。

 〈神立副学長〉 いよいよ明春、創価大学は開学50周年を迎えます。本学の伝統は「学生第一」です。半世紀という大きな節目からさらなる未来を展望して、今回は大学建設の主役である現役学生の皆さんから見た、創大の魅力を語り合っていきたい。
 また現在、コロナ禍の不安の中で、全国の受験生が奮闘しています。そうした受験生に少しでもエールとなり、「大学で学ぶ意義」を考えるうえで参考となる内容になればと思います。
 
 〈学生〉 はい! 何時間でも話せます!

学生の輝き

 〈神立〉 早速ですが、皆さんは、なぜ創価大学を目指そうと思ったんでしょうか。
 
 〈田中ちえりさん〉 私のきっかけはオープンキャンパスです。迎えてくれた学生さんが皆、キラキラ輝いていて、“私もこんな人になりたい”と受験を決めました。
 
 〈神立〉 志望理由で“生き生きとした学生の姿”を挙げる人は結構多いですよね。なぜ輝いて見えるのでしょうか。

 〈白川陽一さん〉 私は創大受験に失敗して、一時期、他の大学に通っていました。サークルやバイト、遊びなど、ある意味で“学生生活”を謳歌していたのですが、自分の大切な時間を浪費していることにむなしさを覚え、退学を決断しました。
 その後、受験し直して入学した創大では、入学式や卒業式といった行事を、学生が実行委員を募り、自分たちの手で運営していることに驚きました。「どんな大学をつくりたいか」「何のために大学で学ぶのか」といったことを日常的に語り合い、大学建設に主体性を持って関わっています。その姿が、輝いて見えるんだと思います。
 
 〈神立〉 「学生主体」は、草創期からの伝統です。創立者・池田先生も、学生たちに“若き創立者たれ”とエールを送り、自分たちの手で理想の大学をつくっていくように期待されています。海外の大学関係者が、創大祭を運営する学生役員の姿に感動し、その後、何度か視察にやって来たこともあります。
 皆さんは、創価大学に入る前と後で変わったと感じるところはありますか。

留学が転機に

 〈小林孝美さん〉 私は創大で学ぶ中、勉強に対する意識がガラッと変わりました。
 国際教養学部の留学プログラムで、私は1年の秋学期から2年次の春にかけて、アメリカの南カリフォルニア大学で学びました。現地では多文化社会の良さとともに、人種差別の現実も目にしました。このことが大きなきっかけとなり、社会の中にある人種・民族的マイノリティー(少数派)やジェンダー(性差)に興味を持つようになったのです。
 帰国後は、“社会的弱者や少数派の人々が、少しでも暮らしやすい世界にしたい”との夢に向かって、社会学を中心に授業を選択しました。
 それまで、「勉強はやらなければいけないもの」といった受け身でしたが、探究するテーマが定まってからは「もっと学びたい!」という主体的な姿勢に変わっていきました。今では、純粋に「新しいことを学ぶ喜び」を、日々、感じながら勉強しています。
 
 〈白川〉 学生が「何のために学ぶのか」を、自身に問い続けることも創大の伝統の一つですよね。1971年4月2日の開学の日に除幕されたブロンズ像には、「英知を磨くは何のため 君よそれを忘るるな」との創立者の指針が刻まれています。

 〈神立〉 留学で、視野が広がったという学生は多いですね。池田先生が、世界五大陸に結び広げてくださった海外交流のネットワークは、創大の大きな魅力です。
 近年は、さらに交流校が増え、学術交流協定を締結する大学は、世界62カ国・地域、225校(本年5月末現在)になりました。外国人留学生の受け入れ数も増え、「キャンパスのグローバル化」が進んでいます。

つながりの中で磨かれる人間力

 〈田中〉 「対話の文化」も“創大ならでは”だと思います。
 私は先輩に誘われ、1年次の創大祭で実行委員をやったことが、転機になりました。部門ごとの打ち合わせでは、多数決ではなく、全員が納得するまで何度も話し合いを重ねました。意見がぶつかり合うこともありましたが、そのたびに「何のため」との根本目的に立ち返り、共通点を探りながら進めました。
 地道に合意形成を積み重ねる作業はとても大変でしたが、創大祭当日を大成功で終えることができ、今まで味わったことのない「心の底からの充実」を感じました。
 高校時代は、大変そうなことを避けてきましたが、創大祭の経験を通して、どんなことにも粘り強く挑戦しようと思えるようになりました。現在、女子学生寮の代表を務めていますが、昔の私を知る人からしたら信じられないと思います(笑い)。
 「対話」は、異なる考え方の素晴らしさや、自分に足りないものを気付かせてくれます。

 〈神立〉 池田先生は、てい談集『人間教育への新しき潮流――デューイと創価教育』の中で「ダイヤモンドは、ダイヤモンドによってしか磨かれないように、人間もまた人間によってしか磨かれないものです」と言われています。
 「創立者と学生」「先輩と後輩」「教職員と学生」など、人間力を育む絆が多いことも、本学の特徴と言えます。
 本年、コロナ禍によって春学期の授業は全てオンラインとなりました。秋学期に入り、感染対策を万全にとりながら、主要科目を中心に対面形式の授業を再開しました。
 中には“オンラインの方が教員に質問しやすい”“効率良く学べる”等の声もあります。今後は、オンラインと対面の良さを組み合わせ、これまで以上に人とのつながりを深め、互いに高め合っていける環境を整備していきます。
 
 〈田中〉 春学期は学生寮も閉鎖になりました。入寮を待つ1年生の不安を少しでも解消するため、学生課の職員とも協力し、希望者とオンライン懇談会を開催しました。秋学期から寮が再開になり、入寮者の数を減らし、2人部屋を1人で利用するなど、感染対策を実施しています。
 創大祭前の約1カ月、寮の2年生が毎日、寮生全員に手紙を書いてくれました。1年生にとって大きな励みになったと思います。こうした心遣いも創大で培われた人間力ではないでしょうか。

新たな10年へ

 〈神立〉 創大は本年、2030年への10年計画を示した新たなグランドデザインを定めました。次の目標となる2030年は、創価教育の創始者である牧口先生が『創価教育学体系』第1巻を発刊してから100周年になります。
 その大きな佳節に向け、これからの10年は、創価教育の原点に立ち返るとともに、創立者・池田先生の思想に基づいた教育・研究活動のモデルケースを、世界に発信していきたいと考えています。
 今回のグランドデザインでは、「価値創造を実践する『世界市民』を育成する大学」と掲げました。
 今、社会は、予測困難といわれるほど変化の激しい時代になっています。大学を出れば、学生たちは「正解のない問題」にも立ち向かわなければなりません。価値創造を実践する「世界市民」とは、そうした問題に対し、多くの人々と力を合わせ、平和や人類の幸福といった普遍的な価値を実現しゆく人です。
 
 〈小林〉 “大学の真価は卒業生で決まる”との創立者の言葉を胸に、卒業後も社会に貢献していきます。

 〈神立〉 先ほど、皆さんが言われていたように、本学には「何のため」を深める校風や、異なる価値観の人と協調していく「対話力」、周囲の出来事を“自分事”として捉える「学生主体の伝統」といった、人間力を育む土壌があります。
 ここで学ぶ全ての人が、自身の中にある可能性〈自分力〉を引き出し、開花させていくことができる大学を目指して、さらなる発展に尽くしてまいります。
  
  

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