名字の言

名字の言 自分にしか出せない“希望の妙音”を 2025年5月20日

 沖縄が本土復帰した1972年5月、復帰記念式典で演奏された祝典序曲「飛翔」。日本レコード大賞などを受賞した作曲家の金井喜久子さんが手がけたものである▼沖縄で生まれ育った彼女は、女性の地位が軽視された時代に東京で音楽を学んだ。戦時中には交響作品発表会を開催。前日に指揮者が徴兵されたが自ら代わりにタクトを振り、成功に導いた。そして演奏後の喝采に触れ、苦境にこそ輝く音楽の可能性を確信する▼戦禍を乗り越えた彼女は、“文化こそ沖縄再生の力”と、琉球の旋律を入れた数々の楽曲を発表。晩年には「ひめゆり平和祈念資料館」の設立にも尽力した。沖縄に足を運び、愛する故郷のために生きた彼女の思いは、今も沖縄の人の心を鼓舞し続ける▼法華経には、苦悩多き社会に舞い降り、無数の音楽を奏で、衆生に生きる希望を送った妙音菩薩が登場する。池田先生は、この妙音菩薩の話を信心の実践で捉え、友を励ます真心の声が「妙音」であり、その根底には“悩める人の最大の味方になっていこう!”という炎が燃えていなければならないと語った▼私たちもまた、今いる場所で逆境を力に変え、友に寄り添いながら、自分にしか出せない“希望の妙音”を奏でていきたい。(壹)