近年、資産運用への関心が社会的に高まっています。2022年4月からは高校で金融経済教育が必修化され、お金に関する知識や判断力を身に付ける授業が行われています。
一方でSNSに目を向けると、“一獲千金の必勝法”などといった夢が語られていて、“投資は専門的でリスクが大きい”という先入観を抱いている人もいるかもしれません。
今回は、20年以上にわたって金融経済教育の取り組みを続けているSMBC日興証券の、マネーライフデザイン室・玉置理紗室長にインタビュー。本社所属のスチューデントリポーター「サントス」(ペンネーム)が、金融経済教育が開く「豊かさ」について聞きました。
近年、資産運用への関心が社会的に高まっています。2022年4月からは高校で金融経済教育が必修化され、お金に関する知識や判断力を身に付ける授業が行われています。
一方でSNSに目を向けると、“一獲千金の必勝法”などといった夢が語られていて、“投資は専門的でリスクが大きい”という先入観を抱いている人もいるかもしれません。
今回は、20年以上にわたって金融経済教育の取り組みを続けているSMBC日興証券の、マネーライフデザイン室・玉置理紗室長にインタビュー。本社所属のスチューデントリポーター「サントス」(ペンネーム)が、金融経済教育が開く「豊かさ」について聞きました。
今回のテーマは「質の高い教育をみんなに」「働きがいも経済成長も」
今回のテーマは「質の高い教育をみんなに」「働きがいも経済成長も」
社会貢献の取り組み
社会貢献の取り組み
――今夏、御社が毎年実施している社会学習プログラム「家族でワクワク体験DAY」に参加しました。長年、金融経済教育に力を入れられていますが、その目的を教えてください。
私たちの金融経済教育は2001年に、大学生向けの出張講義から始まりました。そして、全国の支店網を生かし、広く地域の皆さまに貢献したいとの思いから、2006年に開始したのが「家族でワクワク体験DAY」です。
近年、資産運用に対する社会全体の関心が高まっていると感じます。高校で金融経済教育が必修化されたこと。また、資産形成に関する税制優遇制度「新NISA制度」が始まったことも話題になりました。
NISA口座内で得た株や投資信託などは、一定額までの非課税投資枠で生じた利益について非課税になるということで、この制度を機に投資を始めた方も多いと思います。関心の高まりを反映してか、毎年夏に全国の複数の支店で行っている「家族でワクワク体験DAY」にも、変化が見られるようになりました。
以前は、当社と取引のあるお客さまのご家族が中心でしたが、近年は新規のお客さまからの応募が増えており、より多くの方々へ金融経済教育を届ける環境が整ってきたと感じています。
――時代の変化がありつつも、依然として“証券会社の仕事は専門的で難しい”というイメージを抱く人もいるかもしれません。子どもたちに伝える上で、どのような点を重視していますか?
私たちが一方的に講義をしても、子どもたちに楽しく学んでもらうことはできません。イベントでは子どもたちに主役として、主体的に参加してもらっています。
例えば、実際の上場企業の銘柄コードを使った「魚釣りゲーム」や、経済イベントで資産が増えたり減ったりするのを体感できる「アセット(資産)モンスター」というカードゲームなどを制作・活用しています。難しい内容も、ワーク形式で実際に手を動かして考えてもらうことで、楽しみながら学んでもらえると考えています。
――今夏、御社が毎年実施している社会学習プログラム「家族でワクワク体験DAY」に参加しました。長年、金融経済教育に力を入れられていますが、その目的を教えてください。
私たちの金融経済教育は2001年に、大学生向けの出張講義から始まりました。そして、全国の支店網を生かし、広く地域の皆さまに貢献したいとの思いから、2006年に開始したのが「家族でワクワク体験DAY」です。
近年、資産運用に対する社会全体の関心が高まっていると感じます。高校で金融経済教育が必修化されたこと。また、資産形成に関する税制優遇制度「新NISA制度」が始まったことも話題になりました。
NISA口座内で得た株や投資信託などは、一定額までの非課税投資枠で生じた利益について非課税になるということで、この制度を機に投資を始めた方も多いと思います。関心の高まりを反映してか、毎年夏に全国の複数の支店で行っている「家族でワクワク体験DAY」にも、変化が見られるようになりました。
以前は、当社と取引のあるお客さまのご家族が中心でしたが、近年は新規のお客さまからの応募が増えており、より多くの方々へ金融経済教育を届ける環境が整ってきたと感じています。
――時代の変化がありつつも、依然として“証券会社の仕事は専門的で難しい”というイメージを抱く人もいるかもしれません。子どもたちに伝える上で、どのような点を重視していますか?
私たちが一方的に講義をしても、子どもたちに楽しく学んでもらうことはできません。イベントでは子どもたちに主役として、主体的に参加してもらっています。
例えば、実際の上場企業の銘柄コードを使った「魚釣りゲーム」や、経済イベントで資産が増えたり減ったりするのを体感できる「アセット(資産)モンスター」というカードゲームなどを制作・活用しています。難しい内容も、ワーク形式で実際に手を動かして考えてもらうことで、楽しみながら学んでもらえると考えています。
「学び」が開く未来
「学び」が開く未来
――近年、特に若い世代を中心に「豊かさ」の価値観が、資産を増やすことだけでなく、自身の体験や社会貢献によって得るものなど、多様化していると感じます。「豊かさ」の多様化と、金融経済教育や資産形成は、どのように関連していると考えていますか。
私たちも「豊かさ」の定義は一つではないと強く認識しています。弊社の役割は、皆さま一人一人がご自身の「豊かさ」を実現するためのお手伝いをすることです。
例えば、社会貢献を行いたいと思っても、お金の不安があれば一歩を踏み出しにくいかもしれません。将来のお金の不安をできるだけ軽くするための知識や手段を提供することで、皆さまが安心してその活動に注力できる、その土台作りをお手伝いしたいと考えています。
――そうした個人の「豊かさ」の実現は、SDGs(持続可能な開発目標)と、どのようにつながると思われますか。
お金の不安が軽減され、人々が、日々の生活を安定させた上で、やりがいを感じる仕事や諸活動の選択肢が増えていく。これはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の達成に貢献すると考えます。
また年齢や環境を問わず、多くの人にお金の学びを届けること自体が、目標4「質の高い教育をみんなに」の実践だと考えています。
金融経済教育を通じて、誰もが自分らしい豊かさを追求できる社会の実現を目指すこと。それこそが私たちがSDGsに貢献できる道だと考えています。
――近年、特に若い世代を中心に「豊かさ」の価値観が、資産を増やすことだけでなく、自身の体験や社会貢献によって得るものなど、多様化していると感じます。「豊かさ」の多様化と、金融経済教育や資産形成は、どのように関連していると考えていますか。
私たちも「豊かさ」の定義は一つではないと強く認識しています。弊社の役割は、皆さま一人一人がご自身の「豊かさ」を実現するためのお手伝いをすることです。
例えば、社会貢献を行いたいと思っても、お金の不安があれば一歩を踏み出しにくいかもしれません。将来のお金の不安をできるだけ軽くするための知識や手段を提供することで、皆さまが安心してその活動に注力できる、その土台作りをお手伝いしたいと考えています。
――そうした個人の「豊かさ」の実現は、SDGs(持続可能な開発目標)と、どのようにつながると思われますか。
お金の不安が軽減され、人々が、日々の生活を安定させた上で、やりがいを感じる仕事や諸活動の選択肢が増えていく。これはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の達成に貢献すると考えます。
また年齢や環境を問わず、多くの人にお金の学びを届けること自体が、目標4「質の高い教育をみんなに」の実践だと考えています。
金融経済教育を通じて、誰もが自分らしい豊かさを追求できる社会の実現を目指すこと。それこそが私たちがSDGsに貢献できる道だと考えています。
正しい理解の重要性
正しい理解の重要性
――SNSでは“億り人”という言葉が一人歩きし、“一発当てて大もうけする人”が注目されています。記者と同世代の学生の間でも、株や投資というワードが、そうしたイメージと結びついている人が少なくありません。
そのようなイメージと、私たちがお伝えしたいこととの間には、おそらくギャップがありますね。短期的に大きな利益を狙うのは、どちらかといえば「投機」に近いものです。
私たちが金融経済教育でお伝えしたいのは、将来の豊かな人生のために、時間をかけて資産を育てる「資産形成」という考え方です。月に数百円、千円、数千円といった、「ご自身のできる範囲」の金額からで全く問題ありません。大切なのは、まず自身の収入と支出のバランスを把握し、無理のない範囲で一歩を踏み出すこと。そして、“時間”を有効活用することです。
「経済の波」といって、景気の好不況などによって、株価をはじめとする資産の価値が上がったり下がったりすることは発生します。ですが、長期的な視点で資産形成を行うことで、こうした価格変動の影響は和らげることができます。
「投資」の正しい知識の理解とともに、若い時期から、少額でも長期的にコツコツと積み立てることが重要だと思います。
――SNSでは“億り人”という言葉が一人歩きし、“一発当てて大もうけする人”が注目されています。記者と同世代の学生の間でも、株や投資というワードが、そうしたイメージと結びついている人が少なくありません。
そのようなイメージと、私たちがお伝えしたいこととの間には、おそらくギャップがありますね。短期的に大きな利益を狙うのは、どちらかといえば「投機」に近いものです。
私たちが金融経済教育でお伝えしたいのは、将来の豊かな人生のために、時間をかけて資産を育てる「資産形成」という考え方です。月に数百円、千円、数千円といった、「ご自身のできる範囲」の金額からで全く問題ありません。大切なのは、まず自身の収入と支出のバランスを把握し、無理のない範囲で一歩を踏み出すこと。そして、“時間”を有効活用することです。
「経済の波」といって、景気の好不況などによって、株価をはじめとする資産の価値が上がったり下がったりすることは発生します。ですが、長期的な視点で資産形成を行うことで、こうした価格変動の影響は和らげることができます。
「投資」の正しい知識の理解とともに、若い時期から、少額でも長期的にコツコツと積み立てることが重要だと思います。
取材を終えて――学生記者の視点
取材を終えて――学生記者の視点
取材前、私にとって投資とは、“億り人”に代表される、どこか遠い世界の話でした。しかし、話を伺い、その先入観は覆えされました。コツコツと資産を形成していくことが投資の本質であり、将来的な蓄えにつながることは新鮮な発見でした。また証券会社の現場についても、顧客と向き合う営業職、市場を分析するリサーチ部門、企画部門、そして玉置室長のように金融経済教育に携わる部署など、多種多様な部門があり、事務を担う人も含め、いろいろな人が活躍できることを知りました。社会の変化を楽しみながら、視野を広げ、アグレッシブに働ける――とても、すてきなことだと思いました。(サントス)
取材前、私にとって投資とは、“億り人”に代表される、どこか遠い世界の話でした。しかし、話を伺い、その先入観は覆えされました。コツコツと資産を形成していくことが投資の本質であり、将来的な蓄えにつながることは新鮮な発見でした。また証券会社の現場についても、顧客と向き合う営業職、市場を分析するリサーチ部門、企画部門、そして玉置室長のように金融経済教育に携わる部署など、多種多様な部門があり、事務を担う人も含め、いろいろな人が活躍できることを知りました。社会の変化を楽しみながら、視野を広げ、アグレッシブに働ける――とても、すてきなことだと思いました。(サントス)
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