聖教ニュース(紙面)

浮世絵スピリット 東京富士美術館で好評開催中 6月21日まで 2026年4月30日

作品の寄贈者・神邊氏に聞く
版画はチームワークの結晶

 東京富士美術館(八王子市)で開催中の特別展「よみがえる浮世絵スピリット――明治の開化絵から新版画まで」(6月21日まで)が好評を博している。本展では、江戸時代の浮世絵をはじめ、明治・大正・昭和の近代木版画など約220点が並ぶ。同美術館にコレクションの一部を寄贈し、本展でもその作品が展示されているコレクター・神邊一善氏に話を聞いた。

 ――浮世絵に関心を持ったきっかけをお聞かせください。

 若い時から絵が好きで、美術部で水彩画を描いていました。
 ある時、海外の雑誌で紹介されていた木版画の浮世絵を見て、“これだ!”と思い、集め始めました。
 明治から昭和にかけて発刊された『文芸倶楽部』などの雑誌に口絵として木版画が付いており、その古本などを地道に集め続け、かれこれ60年ほどになります。

 ――浮世絵の魅力は何でしょうか。

 絵画は普通、“一点もの”です。版画はそれとは異なり、同じ絵を複製することができますが、その制作過程がおもしろいのです。
 木版画には、元の絵を描く「絵師」、その絵の微細な点を再現するように版木を彫る「彫師」、そして和紙に摺る「摺師」がいます。それぞれの職人が互いに力を発揮し、1枚の絵が完成します。
 いわば、版画は“チームワーク”の結晶なのです。職人の匠の技と思いを感じながら鑑賞すると、より版画の魅力を感じられると思います。

 ――東京富士美術館にコレクションを寄贈されたのはなぜですか。

 版画で制作された浮世絵は、複製が可能である故に流通しやすく、広く大衆に愛されたジャンルです。また、当時の日本人の身近な生活を描いた、貴重な記録でもあります。
 しかし、印刷技術の向上や時代の変化により、木版印刷などの技術が淘汰されてきた歴史を知り、“日本の伝統文化を後世に残したい!”と強く思うようになりました。
 東京富士美術館は私の住む八王子にあり、素晴らしい展覧会も多く、これまで何度も足を運んできました。関係者の方とも交流を重ねる中、“この人たちなら私の思いを受け止め、大好きな浮世絵を大切にしてくれるに違いない”と思い、コレクションの一部を寄贈させていただきました。
 今後とも末永く、日本の芸術の素晴らしさを人々に伝え、感動を広げてほしいと願っています。

案内

 ▽会期=6月21日(日)まで。月曜休館(5月4日〈月・祝〉、5日〈火・祝〉、6日〈水・休〉は開館。7日〈木〉は休館)。会期中、一部展示替えあり。
 ▽開館時間=午前10時~午後5時(入館は同4時30分まで)。
 今後の東京富士美術館での関連イベントは次の通り。
 【記念講演会】渡邊木版美術画舗・代表取締役の渡邊章一郎氏による講演会。新版画誕生の時代背景や作品の魅力などについて語る。5月6日(水・休)午後2時から。申し込み不要、先着順。参加費は無料(展覧会の入場料が必要)。