くらし・教育

〈ペット大好き〉 犬の飼い主なら知っておきたい これって違法行為⁉ 2024年8月21日

 犬との暮らしは、毎日を癒やしてくれるものです。そんな日々を続けるために、飼い主として守るべきルールがあります。“知らなかった”では済まされない違法行為について、ペット法学会事務局長の弁護士・渋谷寛さんに聞きました。

弁護士 渋谷寛さん
かむ

 故意にかませたりするのは、もってのほかですが、犬が不意に人や他の犬をかんでしまうことがあるかもしれません。特に、人をかんだ場合、過失傷害罪の刑事責任が問われる可能性があります。
 注意したいのが、犬が飼い主から離れてしまうケース。リードが古くなって切れたり、首輪から抜けてしまったり、自宅の飼育スペースから脱走したりしないよう確認するのも、飼い主の務めです。

排せつ物

 排せつ物の放置は、トラブルになりやすい問題。条例で放置の禁止が定められている地域が多くあります。また、廃棄物処理法違反に問われるとの意見もあります。
 排せつ物を自宅の前などに放置されれば、当然、嫌な気持ちになります。注意してもやめない場合は、損害賠償請求の対象になるでしょう。
 絶対にやってはいけない、マナー違反です。

ノーリード

 散歩中や公園などで放し飼いにする「ノーリード」は、禁止されている条例があります。交通事故や他者とのトラブルの原因になるので、必ずリードを着用しましょう。
 最近は10メートルも伸縮できるリードがありますが、車が通る道や他の人が近くにいる場合は、短めに固定しておきたいところです。
 飼い主さんにとって、“かわいいわが子”であっても、犬が苦手で脅威に感じている人もいることを忘れないでください。

ほえる

 ほえの問題は、近隣トラブルになりがちです。
 苦情が出た場合、騒音問題として、時間帯や頻度などが調べられ、民事裁判の結果、慰謝料などの精神的苦痛に対する賠償を命じられることがあります。
 また、散歩中の大型犬がほえて、高齢女性が転倒し骨折。400万円を超える賠償命令が出たケースもあります。

マンション

 分譲マンションなどの区分所有建物には、「管理規約」があり、ここにペットの飼育について記載されているケースが多いと思います。
 「ペットの飼育禁止」「1頭まで」「小型犬のみ」「1代に限る(今飼っている子だけ)」など、それぞれのルールがあり、守らなければなりません。
 注意したいのが、管理規約は変更されることもあるという点です。不動産業者から「ペットを飼えますよ」と言われて住み始めたものの、その後、規約の変更によって飼えなくなるということもあるのです。

予防接種

 狂犬病予防法で、犬の登録と年1回の狂犬病の予防注射が義務付けられています。これを守らなければ、犬は捕獲・抑留の対象となり、飼い主は20万円以下の罰金の対象になります。
 狂犬病とは別に、複数の病気から犬を守るための「混合ワクチン」がありますが、こちらは義務ではありません。飼い主の判断で接種します。
 ただし、犬と一緒に行ける遊び場や宿泊施設などで、混合ワクチンの接種が求められる場所も少なくありません。施設ごとのルールを守るようにしましょう。

運転中

 ドライブをする時、犬が車の窓から顔を出すと、サイドミラーが見えなくなり、危険です。バイクや自転車の巻き込み事故にもなりかねません。これは、道路交通法の安全運転義務違反になります。
 抱っこしながらの運転や、運転手の足元に犬が行ってしまう状況も危険です。
 車で犬を連れていく時は、ケージに入れた上で、シートベルトで固定するなど、人と犬の安全を確保するように心がけましょう。

 ※実際に発生した個々のトラブルについては、解決は当事者に、判決は裁判所に委ねられます。