名字の言

名字の言 今こそ立ち返るべき「立正安国論」の思想 2025年7月16日

 豪雨による河川氾濫など、自然災害が増加する背景には地球温暖化がある。人類が協力して対応しなければならないが、世界で深まる対立に呼応し、国内でも分断をあおる論調が広がる▼乱世の今こそ、学会員は「『立正安国論』に立ち返り、混迷の時代を打破する視座を身につけるべき」と語るのは作家の佐藤優氏(「潮」7月号)。その安国論を日蓮大聖人が時の権力者に提出されたのは、1260年の7月16日だった▼安国論には先に挙げた自然の猛威に加え、感染症の拡大や山火事、穀物の高騰なども記されている。大聖人が、そうした災難の根本の一凶としたのは、現実逃避の安易な念仏思想であり、特に非難したのは念仏以外を「捨てよ、閉じよ、閣け、抛て」と主張する排他性。いわば開かれた対話を妨げる思考だった▼池田先生は述べた。どうすれば「分断や対立を超え、より人間の幸福・安穏を実現できるのか――眼前の難題に挑み、心ある友と誓いを共有し、対話を重ね、行動の連帯を広げる。これが『立正安国』の出発点」と▼分断からは、時代の難局を乗り越える知恵や対策は生まれない。粘り強く対話し、地道に心を結ぶ。この立正安国の言論戦を現代で展開する使命と誇りを忘れまい。(聖)