名字の言

名字の言 「沖縄戦の絵」に込められた平和への願い 2025年6月23日

 年頭から「沖縄戦の絵」を500枚ほど手に取って見返した。沖縄青年部が戦争体験者に呼びかけて収集したもの。大半の絵の余白や裏面に、戦地での様子や当時の心情が記されていた▼ある女性の絵の裏面には次のような情景が。家族で戦場をさまよう中、夫が負傷して歩けなくなった。「後で必ず迎えに来るから」と告げてその場を去るが、戦火は激しさを増し、約束は果たせなかった。“ありったけの地獄を集めた”地上戦は、生存者の心にも一生消えない傷を負わせた▼絵に添えられた言葉に、生き延びることができた喜びはない。恐怖や悲しみ、怒りがつづられ、最も多かったのは「戦争は二度と起こしてはいけません」。体験者の悲痛な叫びであり、次世代へ託す願いだ▼この「沖縄戦の絵」は今月、戦後80年の企画として、琉球新報本社で展示中である。県内45の小・中学校でも平和学習で活用され、戦争体験の継承が進んでいる▼きょうは沖縄の「慰霊の日」。池田先生は沖縄初訪問の折、悲惨な戦場となったこの地を「最も幸福な社会へと転じていくのが私たちの戦いだ」と語り、平和建設を深く心に期した。師の大誓願に連なり、わが人間革命から新たな立正安国の潮流を起こしたい。(結)