文化・解説
〈読書〉 いちおしミステリー 『難問の多い料理店』 2024年8月27日
結城真一郎著
東京・六本木。雑居ビルの3階にあるその店は、30以上の店名を使い分け、客席を持たずにデリバリーのみで料理を提供する“ゴーストレストラン”だ。
しかも特定の商品を組み合わせてオーダーすると人捜しや浮気調査なども依頼できる。高額にもかかわらず「謎解き」の注文が後を絶たないという。依頼が入ると、オーナーのシェフは、やってきた配達員に情報収集をさせ、店から一歩も出ることなく謎を解き明かしてしまう……。
容姿端麗、冷静沈着。感情の読めない二つの瞳――そんなミステリアスなシェフが配達員たちを動かし、真相に“ひと味加えて”謎を解決していく“フードデリバリー×安楽椅子探偵もの”の連作短編集。
●集英社・1870円