名字の言

名字の言 心の「根」を信じ育もう 2025年9月2日

 プロ野球選手時代、長嶋茂雄さんは投手の球を確実に打つため、ボールの“芯”を見ていたという。硬球の中心に納まる直径約2センチのコルク芯のことだ(近藤唯之著『逆転の名言』ベストブック社)▼コルク芯は実際には見えないが、それを見抜くほどの集中力で打席に立っていた。成績という“目に見える”結果がそのことを物語っている▼ある壮年は、高校生の息子が信心に反発することに悩んでいた。相談を受けた友が後日、父子と懇談した。壮年は息子を説得してくれると期待していたが、友は別の話題に終始した▼だが話が進む中で息子は、進路の不安、将来の夢、家族への思いなどを口にした。壮年は初めて聞く内容に驚き、そして気付いた。“私は目に見える言動だけにとらわれて、息子の心と向き合っていなかった”と。友は息子の「心根」の善さを信じ、語りかけていた。後に息子は信心にも前向きになった▼池田先生は「多くの人々は、目に見える部分にしか注目しない。しかし、私どもは、何ごとも、どこに『根』があるかに着目し、よき『根』を養い、育てることに全力を尽くさねばならない」と語った。見えない心の「根」に目を凝らし、その力を信じ育みゆく一人一人でありたい。(城)