企画・連載

〈SDGs×SEIKYO〉 解説編「電気のない生活をしている人はどれくらいいるの?」 2022年9月21日

 「SDGs×SEIKYO」の解説編「ちーちゃんと考える 未来のカタチ」。今月のテーマは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。今回は特別に、ちーちゃんの「母さん」と兄「ユウキ」が登場します。

未電化が生む格差の是正へ
クリーンエネルギーに高まる期待

 ユウキ! 冷蔵庫の扉が開けっぱなしよ。ちゃんと閉めてね。

 ごめん、母さん。スマホを見ながらだったから、つい……。

 勉強机の電灯もつけっぱなしだったわよ。発展途上国では電気がない家の中で、ろうそくの火で一生懸命に勉強している子どももいるんだから。電気を使えることに感謝して、ちゃんと節約してほしいな。

 うん、分かった! でも、本当に電気が使えない家ってあるの?

 最近、本で読んだんだけど、全世界で7・9億人もの人が電気を使えない生活をしているらしいのよ。

 え! 全人口が78億人って学校で教わったから、それって10人に1人が電気を使えないってことだよね?

 そうね。そうした人も含め、28億人が、料理をしたり、部屋を暖めたりするのに、まきや炭などを燃やさないといけない状況にあるんだって。

 電気を使えない生活なんて、考えられないなー。スマホも使えないし、ゲームもできないじゃん。でも、柔道の練習に専念できるからいいか!

 そういう問題じゃないわよ……。電気が使えないってことは、命に関わる深刻な問題なの。部屋の中でまきや炭を燃やして出る煙が原因で、大勢の人が命を落としているのよ。マラリアや結核による死亡率より高いっていわれているんだから。
 まきを集めて火をおこすのだって、何時間もかかる。子どもがその重労働をさせられて、健康被害を受けるケースもあるらしいよ。

 知らなかった。勉強どころじゃないね……。

 夜に勉強する時も、ランプやろうそくの小さな明かりしか使えない。電気がないことは、健康や福祉、教育の格差につながるの。
 電気が使えない病院では、ワクチンも適切な温度で保存できない。世界では1年で150万人もの子どもが、5歳になる前に予防可能な病気で亡くなっているのよ。
 大人だって電気が使えれば夜も働ける。農業に従事している人も、副収入を得ることも考えられるわ。電気がないことが、経済的な格差にもつながっているの。

 そうなんだ……。電気がないって、大変なことなんだね。

 SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は、貧困、健康と福祉、教育、そして気候変動といった、他の目標に密接に関わる大切な目標なのよ。

 でも、どうして途上国では電力が普及していないの?

 自然環境の過酷さや、その国の経済状態の問題が大きいけど、紛争や内戦など、さまざまな理由があるらしいわ。送電網を整備するのが、とても難しい状況に置かれているのよ。
 そこで今期待されているのが、送電線を使わないで分散的に利用することもできる再生可能エネルギー。例えば、太陽光発電ね。地球にも優しいクリーンなエネルギーで、途上国の電力普及率が高まれば、たくさんの問題が解決できるのよ。  

〈プロフィル〉

 ちーちゃんの母・竹林陽子 ヤング白ゆり世代。ヘルパーとして働いている。

 ちーちゃんの兄・ユウキ(勇気) 竹林家の長男。中学1年生。柔道部に所属する。

  
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