聖教ニュース

〈出雲駅伝〉 創価大学が3位――「全員がエース」 総合力で表彰台 2025年10月14日

攻めの走りで“5強の壁”破る

 第37回「出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)」が13日、島根・出雲市内で行われ、出雲大社正面鳥居前から出雲ドーム前までの6区間45・1キロのコースに22チームが参加した。5年連続5度目の出場となった創価大学は、2時間10分5秒の3位でゴール。大学三大駅伝の初戦で表彰台に立った。

 “エース不在”から“全員がエース”へ――今季の創価大学のチーム目標は「大学三大駅伝で3位以上」。“5強”と呼ばれる強豪校の壁を破り、表彰台に立つためのチームづくりに取り組んできた。
 
 レース前日、榎木和貴監督は「走らせたいと思える6人を並べることができた」と自信の表情を浮かべた。昨季の三大駅伝で活躍した吉田響選手(現・サンベルクス)が抜け、次のエースの座を争い、チームをけん引してきた6人。その全員が大きなけがもなく、万全の準備を重ねて初戦を迎えた。
 
 午後1時5分、22人がスタートラインへ。気温は26度。夏の暑さが残る中、号砲が鳴った。

 出雲駅伝は三大駅伝のうち、最も距離が短い“スピード駅伝”。前半でレースの主導権を握れるかどうかが、結果を大きく左右する。
 
 1区の織橋巧選手(3年)は初めての出雲路。「目指したのは先頭から10秒以内でつなぐこと。最後の1キロでレースが動くと考えていました」。レースは序盤から、けん制し合うスローペースの展開に。残り1キロで中央大学が仕掛けると、先頭集団が一気にペースアップ。織橋選手は遅れかけたものの必死に食らいつき、先頭と13秒差の4位で中継所に飛び込んだ。

 同級生からタスキを受けたのは2区・小池莉希選手。「自分の走りができれば、必ず上位に入れると信じていました」。3キロ付近で先行する選手に追いつき、順位を一つ上げて中継所へ。昨年の出雲駅伝はけがで出られず、悔しさをばねに勝負強さを磨いたこの1年。夏合宿で「エースは自分です」と語った通り、区間4位の好走でチームの勢いを加速させた。

 3区には、スティーブン・ムチーニ選手(同)が出走した。昨年の同駅伝はけがで走れなかったが、今季は関東インカレの男子2部5000メートルと1万メートルで2冠に輝くなど好調を維持。レースは暑さによるスタミナ切れで終盤に失速したが、それでも、エースがそろう3区で区間5位に。首位から30秒以内に6チームがなだれ込む混戦の中でタスキを手渡した。

 12日の記者会見で、「チームで今、一番好調であり、注目の選手」と指揮官が挙げた4区・石丸惇那選手(4年)。序盤をハイペースで入り、前の走者を一気に抜いていく。区間3位の会心の走りでチームを5位に押し上げた。
 これまで、三大駅伝では思うような走りができなかった石丸選手。前日は「重圧で眠れなかった」と言うが、同じ4区を走った1年時のタイムを1分以上も上回る成長の姿で、榎木監督の期待に応えた。

 5区・山口翔輝選手(2年)は「石丸さんまでの良い流れを受け継ごうと、気持ちで押していきました」と振り返る。
 ルーキーだった昨季、三大駅伝の全レースに出場するなど、安定した結果を残してきた。単独走が続く中でも攻めの姿勢を貫き、残り1キロで4位に浮上。区間4位の力走で、「楽しく走れました」と笑顔を見せた。
 最終区を残し、3位との差は4秒に縮まった。最長区間である6区には、絶対的な走力を持つ選手が集まる。

 アンカーの野沢悠真選手(4年)は、タスキを受けた瞬間「絶対に3位になる」と目の色を変えた。5キロ手前で前を走るチームに並ぶと、そのまま緊張感のある並走が続いた。
 最後の1キロに差しかかったところで、野沢選手がロングスパート。追いすがるライバルを振り切り、目標の3位でタスキをゴールに運んだ。

 手に汗握る熱戦を制したのは国学院大学。史上7校目となる出雲駅伝2連覇を成し遂げた。
 
 ◇ 
 
 レース後、選手たちは肩を抱き合い、喜びをかみ締めた。
 
 榎木監督は選手たちについて「攻めの走りができた」と繰り返した。まさに、チームスローガンである“闘創心”を発揮した成果であろう。
 
 昨年の出雲駅伝は“留学生抜き”で4位。今年は“スーパーエース抜き”で3位に入り、全員が区間上位で駆け抜けた。
 
 監督は「誰かに頼るのではなく、一人一人に“自分がエースになるんだ”という自覚が生まれたことが大きい」と、チームの意識改革を強調した。そして「全日本大学駅伝、箱根駅伝でも目標を達成するためには、今日走らなかった選手たちを含めた全体のレベルアップが必要不可欠」と言葉を継いだ。
 
 “全員駅伝”でさらなる高みへ――。一戦ごとに強くなる創価の若武者たちが、初陣を笑顔で飾った。