創価教育

〈聖教取材班が見た! 創価大学駅伝部〉第1回 最後の箱根路、4年の意地――1次合宿・菅平 2026年8月12日

〈SOKA SPORTS――創価スポーツ〉

 連載「聖教取材班が見た! 創価大学駅伝部」では、記者目線で同部の魅力と情報を伝えます。今シーズンの第1回は、7月30日から8月8日にかけて行われた長野・菅平高原での1次合宿の模様をお届けします。

 8月3日午前5時30分。朝練習の集合場所である「アンダーアーマー菅平サニアパーク」に到着した。周辺にはジョグを行う選手たちの姿が。早い選手は、30分ほど前からウオーミングアップを始めていたという。
 
 気温は19度。猛暑の続く東京から来た取材班は、半袖から出た両腕をさすった。

 5時45分、全員が集合し、榎木和貴監督が練習メニューについて説明する。この日は6・7キロのコースを周回。選手たちは班ごとに集まり、目標やポイントを共有する。朝日が少しずつ顔を出し始める中、菅平の自然を全身に浴びて、選手たちは走り出した。

 創価大学駅伝部は、7月末から9月上旬にかけて計4カ所で合宿を実施する。第1次となる菅平合宿は、大学三大駅伝に向け、長い距離を走るための“足づくり”に重点を置く。
 
 今回、菅平に赴いた記者は、今春からペンを握ったばかり。駅伝部の取材はこれが初めてで、陸上競技の経験もほとんどない。
 
 そんな記者が注目したのは、学生最後の駅伝シーズンを迎える4年生の姿。彼らは今、何に、どのような思いで取り組んでいるのか。憧れの箱根駅伝を目指す最高学年の「意地」に迫った。

箱根の悔しさは、箱根で返す

 「チームの雰囲気はめちゃくちゃ良いです」と、池邊康太郎主将は胸を張る。例年に比べ、けがで離脱している選手が少ないことも、その背景にあるようだ。
 
 とはいえ、自身は故障からの復帰途上。それでも、焦らず、たゆまず、腐らずに、虎視眈々と一日一日の練習を積み重ねている。
 
 一昨年に1万メートルのタイムを28分台に乗せ、昨年は箱根直前のメンバー選考を兼ねた静岡・島田合宿に参加。だが、けがを負い、エントリーメンバーに名を連ねることができなかった。
 
 悔しさを味わったまま、終わらせる気はない。池邊主将が狙うのは、レースの勝負を決める箱根の10区だ。
 
 「当初は、同期の中でも記録が下の方でした。だからこそ諦めない気持ちを、後輩をはじめチーム全体に見せていきたいです」――その言葉に、主将としての自覚と責任がにじんでいた。

 一方で、出走した箱根で不完全燃焼に終わり、リベンジに燃える4年生もいる。齊藤大空選手だ。2年の時は1区を任され、集団に食らい付いたものの区間17位。前回は10区で区間17位だった。
 
 「特に、10区は走り切っただけ。100点満点で10点です」。悔しさが言葉の端々から伝わってくる。「今は、故障をせず100%の練習を積んで、箱根で実力を出し切ることしか考えていません」
 
 齊藤選手が「自分の走りを見せたい人」として挙げたのは、幼い頃から一人で育ててくれた母だ。出身の北海道から、中学卒業後には宮城・利府高校へ。大学は東京に送り出してくれた。この恩に報いたいという気持ちが、何よりも強い。
 
 1万メートルの自己ベスト(28分27秒44)は、留学生を除けばチームで2番手。間違いなく主力の一人である。箱根の厳しさを知る齊藤選手。努力と経験に、感謝の心が混ざり合い、“3度目の正直”の実現を期す。

上り、下りに闘志を燃やす2人

 大岩準選手は寮長を担う。寮内の備品や設備の管理、掃除当番表の作成など、走るだけでなく、皆の生活環境を整える。「きれいな寮を保つことが、チームを強くすることにつながります」
 
 そんな大岩選手が、「何が何でも実現したい」ことがある。3歳上の兄は一昨年、神奈川大学の主将として箱根の6区を走った。さらに、同大学に所属する双子の兄も今年、同じく山下りに挑み、区間5位と好走。今は同大学の主将を務めている。
 
 大岩選手の目標は、もちろん「箱根6区を走ること」であり「2人の兄を超える」ことだ。「“山下り三兄弟”として、名を残したいですね」と笑顔で意気込む。

 対して、5区の山上りに強い思いを持っているのが、細田峰生選手だ。
 
 上りのタイムトライアルでは、細田選手はチームでトップクラスの記録をマークする。前回の箱根では5区の候補に入ったものの、平地での記録が伸び悩み、エントリー外となった。
 
 そこから、ハーフマラソンの強化を目指して月間走行距離を増やし、フルマラソンにも挑戦。その結果、ハーフは63分台までタイムを伸ばした。
 
 「5区を走ることができれば、スピードのある選手に1区から4区などの平地を任せられる。これが自分にできる最大のチーム貢献です」

幼なじみで目指す最後の舞台

 「地道にコツコツ努力する姿勢」が自身の持ち味と語る、根上和樹選手。月間で1000キロ以上、走り込むこともあるという。
 
 一方で「ただ走っているだけでは速くならない」とも。踏んだ距離を結果に結び付けるためには、スピード強化やラストスパートへの対応力なども欠かせない。
 
 昨年は、11月にハーフで63分19秒の自己記録を出し、箱根のエントリーメンバーに選出。出走こそかなわなかったが、自身の取り組みに確かな自信を持った。
 
〝努力の人〟が今年こそ、箱根のチャンスをつかみ取りにいく。

 根上選手と同じく、静岡県出身の篠原一希選手。二人は小学生の時に地元の陸上教室で出会い、同じ中学校に通った幼なじみだ。別々の高校に進学したが、くしくも大学で再会した。
 
 篠原選手は、距離が長ければ長いほど力を発揮するタイプ。入学時の持ちタイムは、同期の中で下位だったが、体の頑丈さを生かして着実に練習を重ねた。一昨年には1万メートルで28分台をマーク。今年の箱根ではエントリーの16人に入った。
 
 今季は、持ち味のスタミナをさらに磨く。フルマラソンをすでに2回走り、6月には函館マラソンを制した。狙うのは、箱根の9区、10区。長い距離であれば強力な後輩たちにも負けない――その自負は、4年間の意地の表れでもある。
 
 そして、同じ陸上教室から始まった2人の物語は、いよいよ最終章に突入している。

支える人と創力戦(総力戦)で

 朝の練習が終わる頃には冷え込みが和らぎ、高原に真夏の太陽が顔を出していた。
 
 選手をインタビューした場所は、創価大学の「菅平セミナーハウス」。これまで、管理者の三浦潤一さん・敏江さん夫妻が、合宿に臨む創大生の生活や食事などを支え続けてきた。
 
 本年3月、潤一さんは73年の生涯を閉じた。先輩記者に聞くと、いつも選手たちに優しい言葉をかける人だったという。

 合宿の継続も危ぶまれたが、娘の由美子さんをはじめ、有志で集った地元の方々が、敏江さんを全力でサポート。食事の準備や掃除、さらには草むしりにも汗を流してくれた。多くの人に見守られながら、選手たちは無事に10日間の日程を終えることができた。
 
 「創大生の活躍が何よりもうれしい」と敏江さん。気丈な笑顔に見送られながら、取材班はセミナーハウスを後にした。
 
 走る人がいる。それを支える人がいる。「創力戦(総力戦)」という今季のチームテーマには、創大駅伝部に関わる人々の思いを知り、それを力に変えようという意志を感じる。誰一人欠けても、箱根の頂は目指せない。
 
 ◇
 
 初の取材。帰りの新幹線でメモを見返した。「足づくり」「地道にコツコツ」……。記者になりたての自分も、選手たちの姿勢を自身の行動に落とし込み、書く鍛錬を重ねていこうと決意した。
 
 聖教取材班は、2次合宿の地である新潟・妙高高原へとたすきをつなぐ。(働)

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