仏法の教え

〈華陽*GOSHO TIME〉 ~池田華陽会 御書30編を学ぶ~ 2024年12月17日

今回の研さん御書「妙一尼御前御消息(冬は必ず春となるの事)」

 「華陽*GOSHO TIME」では、「池田華陽会 御書30編」から御書の一節と池田先生の指導を学びます。今回は「妙一尼御前御消息(冬は必ず春となるの事)」の一節を拝し、苦難を乗り越える信心について学びます。華陽カレッジや日々の研さんなどでご活用ください。(隔月程度で掲載予定)

拝読のポイント
★確信の祈りが“勝利の春”を呼ぶ
★悩みを乗り越えた分だけ、人生はより深く豊かに
本抄について

 本抄は、建治元年(1275年)5月、日蓮大聖人が身延で著され、鎌倉の妙一尼に送られたお手紙です。
 本抄御執筆の4年前、大聖人は竜の口の法難佐渡流罪という大難に遭われ、さらには鎌倉の大聖人門下にも迫害が及んでいました。妙一尼とその夫も、所領を没収されるなどの難に遭いましたが、純粋な信心で師弟の道を貫きました。
 その後、大聖人は佐渡流罪を勝ち越えられましたが、妙一尼の夫は、その知らせを聞く前に亡くなってしまいます。妙一尼は、自身も体調が優れない中、幼い病気の子らを一人で抱えることに。それでも、苦難に負けない強き信心で、自身の従者を佐渡や身延へ送り、大聖人にお仕えさせるなど、師匠を全力でお守りしました。
 当時の妙一尼が置かれていた状況は、まさに“試練の冬”のようであったといえます。本抄は、妙一尼の心を覆う悲しみや不安を吹き飛ばし、“絶対に不幸にさせてなるものか”との思いで、大聖人が徹底して励ましを送られている一書なのです。さらに、最後まで信心を貫いた妙一尼の夫が、必ず成仏していることを教えられるなど、弟子の幸福を願う大聖人の深い真心が込められています。

御文

 法華経を信ずる人は冬のごとし。冬は必ず春となる。いまだ昔よりきかずみず、冬の秋とかえれることを。いまだきかず、法華経を信ずる人の凡夫となることを。(新1696・全1253)

現代語訳

 法華経を信ずる人は冬のようなものです。冬は必ず春となります。昔より今まで、聞いたことも見たこともありません。冬が秋に戻るということを。(同じように)今まで聞いたことがありません。法華経を信ずる人が仏になれず、凡夫のままでいることを。

解説

 「冬は必ず春となる」――この御書の一節に触れるたび、凍てついた心にも、春の暖かな希望の光が差し込んでくるようです。
 “冬は必ず春となり、秋に逆戻りすることはない”――これは、いつの時代も変わることのない自然の法則です。それと同じように“法華経を信じる人が仏になれず、凡夫のままでいることはない”と、日蓮大聖人が信心の絶対勝利の法則を教えてくださっています。
 この大聖人の言葉に、苦難と戦う妙一尼は、どれほど勇気づけられ、希望を持って進めたことでしょうか。大聖人御自身が、命にも及ぶ数々の大難を、悠然と乗り越えられたからこそ生まれた、勝利への大確信が、妙一尼の心を揺さぶったに違いありません。
 人は深い悩みの中にいる時、その悩みがずっと続くような思いに駆られることもあるでしょう。そんな時、悩みと向き合うのは、勇気のいることです。
 しかし、桜の花が、厳しい冬の寒さを耐え抜き、春に美しい花を咲かせるように、人間も、厳しい“試練の冬”を経験するからこそ、大きく成長し、“勝利の春”を迎えることができます。大事なのは、自分にも“勝利の春”は来るのだと信じ、「乗り越えてみせる」と粘り強く祈り抜くことです。この信心を疑わず、自分らしく踏み出す一歩から、勝利への道は必ず切り開かれます。
 さらに言えば、自分が悩みに真剣に向き合ってこそ、同じように悩む人の気持ちが分かり、心から励ましていけるようになるのです。いくつもの“試練の冬”を乗り越えた分だけ、自身の生命に花々が色鮮やかに咲き薫り、人生をより深く豊かなものにします。
 また、妙一尼には励ましを送ってくださる大聖人がいたように、私たちにとって、師匠・池田先生そして学会の同志の存在が、信心で立ち上がるための大きな力となります。自分一人では、なかなか前へ進めない時も、共に語り、励まし合う仲間がいれば、心が軽くなり、“自分も頑張ろう”と元気をもらえるものです。
 「世界青年学会 飛翔の年」へ! 華陽姉妹の励ましの輪をさらに大きく広げ、勝利の花を満開に咲かせていきましょう!

池田先生の指導から

 現実は、経済苦や病気、家庭内のけんかなど、悩みは尽きないものである。しかし、表面上は不幸の格好に見えたとしても、南無妙法蓮華経と唱えていくならば、全部、変毒為薬できる。すべてを乗り切っていける。成長のバネとしていける。根本的には、もう、すでに勝っているといってよい。それは「劇」のようなものである。悩んでいる姿を演じているけれども、このドラマの結びは、絶対に幸福であり、勝利である。不幸で終わるわけがない。生々世々、必ず幸福になれる。永遠に勝ち抜いていける。ゆえに、何の心配もいらないのだ。(『華陽の誓い』)
 ◆ ◆ ◆ 
 人生も仏道修行も、その原理は同じといってよい。“冬”は、すばらしい“春”のための充電と鍛えの時である。(中略)“冬”の間にこそ、どう戦い、どれほど充実した時を過ごすか。必ず来る“春”を確信し、どう深く生きるかである。時いたれば、自然界には花咲く春が間違いなく訪れる。それが生命と宇宙のリズムである。しかし、現実の社会にあっては、“冬”のままで人生を終える人があまりに多い。そうならないために、“春”を呼ぶ宇宙のリズムに生命が合致しなければならない。そのための妙法の仏道修行なのである。(池田大作先生の指導選集〈上〉『幸福への指針』)

池田華陽会 励ましカード

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Q.悩みをなかなか乗り越えられません……。