くらし・教育

〈教育〉 子どもと歩む――“育自”日記 ポエム編 2025年11月14日

 子どもと家族をテーマにした読者からの詩を「子どもと歩む――“育自”日記 ポエム編」として紹介します。併せて、詩人・エッセイストの浜文子さんのコメントも掲載します。

◆「背中の重み」

 小四の孫のランドセル
 背負ってみた
 六時間分の重さだ
 これを背負い 歩道を十分
 地下道の階段下りて また上り
 そして坂道登って十分
 そりゃ大変だ
 帰ってから少々機嫌が悪くても
 笑顔でかわそう
  
 暑い日は
 帰る三十分前にはエアコンを
 そしてアイスも用意しよう
 見守る事しかできないけれど
 身長も体重も抜かされる日が来ても
 行って来ますから ただいままで
 どうぞ楽しく過ごせますように
  
 作・牟田由喜子
 (岐阜県各務原市 パート・65歳)

◆「ごみばこ」

 孫娘かおりちゃん(小三)が
 お泊まりに
 妹と弟がいるお姉ちゃん
 祖父母を一人占めして
 いっぱい甘えてきた
 翌朝二人で公園へ遊びに
 そこはごみがいっぱい
 拾い集めると
 大きな袋がいっぱいに
 帰ると何かを書いている
  
   〈小さなごみばこ〉
  公園に小さなごみばこ
  ごみがぱんぱんになっても
  だれも気にしない
  かわいそうな小さなごみばこ
  ずーっと小さなごみばこ
  
 モラルの低さを嘆きながら
 拾った私
 ごみ箱に思いを寄せながら
 拾った孫
 孫のやさしい心と感性に感動
 次はどんな言葉を
 紡いでくれるのだろう
 今から楽しみ
  
 作・太細政代
 (名古屋市守山区 主婦・74歳)
 

◆「子から学ぶ弟子の姿」

 長男が「書道を習いたい」
 と輝く顔
 少し離れた教室へ申し込む
  
 後日「先生がとても厳しいよ」
 との噂
 行く前から親は冷や冷や
  
 当日「任せてください!」
 と先生
 預けて一時間で沢山の赤が入る
  
 帰路「どうだった?」
 と尋ねる
 見守る親は不安でいっぱい
  
 元気に「沢山教えてくれた!」
 と返事
 長男は決意でいっぱい
  
 受け身の者には鬼にうつり
 求める者には師にうつる
  
 一年後「佳作とったよ!」
 と喜ぶ顔に
 弟子のあるべき姿を垣間見る
  
 作・近藤嘉人
 (東京都江戸川区 会社員・40歳)

◆「ランドセル」

 あわただしい いつもと同じ朝
 私はキッチンにいて
 娘は朝ごはんを食べる
 娘 ランドセルを背負う
 「バイバイ!」
 「気をつけてね。」
  
 あれ? 何だかおかしい…?
 ランドセル 小さくなった?
 娘の背中に
 ちょこっと付いてるかんじ
 あれ?
 あれあれ? どうなってるの?
  
 あっ いつの間にか
 背が伸びてた娘
 入学式のとき
 背中から はみ出るくらい
 大きかったランドセル
 主役からわき役になったみたいに
 娘の背中にひっついてる
 いつもと同じ朝の 楽しい発見!
  
 作・林まの
 (東京都新宿区 主婦・55歳)

〈私の感想〉 詩人・エッセイスト 浜文子さん
子どもの伸びしろにエール

 「背中の重み」。作者は作品の中で、「見守る事しかできないけれど」と自身について書いていますが、私は「いいえ、とんでもない」と思います。まず、孫のランドセルを背負ってみようと動く心が素晴らしい。作者は、かなりスリムなのですね(これは余計な感想ですけれど)。この「ちょっと背負ってみよう」とする、それこそが詩心の発露です。ふと、興味、関心を覚えたものへの探究心を先へ進めるのが、詩を書く人に欠かせないもの。作者はだからこそ、小四の孫のことを色々思い、この一編を綴れたのですね。行為すれば必ず見えてくるものがありますから。良い詩です。
 「ごみばこ」。モチーフは、公園に設置された「ごみばこ」そのもの。作者と孫の“かおりちゃん”が、二人して公園に散らかったごみを、大きな袋に拾い集めたひとときを描いた作品。共に作業した時間に、それぞれ心に去来したものがしっかり一つの詩へと定着しました。作者と孫、それぞれの視線が生きている考えさせる一作の誕生ですね。
 「子から学ぶ弟子の姿」。書道を習いたいと自分から申し出た息子さん。指導が厳しいと噂の先生に託したものの、作者は何かと子どもが心配。子どもは親の心配をよそに、自分の能力磨きに一所懸命。自ら求め励む身には、先生の注意も全ては進歩、前進の糧となり、その結果が一年後の「佳作受賞」の報告。この先も伸びしろが楽しみですね。作者は詩を通し、親の子を受け入れ、見守ることの大切さをも伝えます。書き出しの一行目からの構成も整った一編。
 「ランドセル」。毎日眺め、見慣れた物に、ある日ハッとする気づきを抱くことがあります。作者はある朝、娘の成長の勢いを背にしたランドセルのサイズ感から、それに気づき驚くのです。この日の娘の後ろ姿は、一心に育児に励んできた人への天からの賜物。視線が光る詩。
 今月はランドセルを見つめ、生まれた詩が並びました。読者の方々も、あらためて身の周りを眺め、色々な思いを掘り起こしてみるのも、秋の深まるこの時期に相応しいかも知れません。

★読者の詩を募集

 子どもや孫との関わりのなかで気付いたことなど、家族の日常を詩にして投稿ください。募集要項は次の通り。
 ▼氏名、郵便番号、住所、年齢、職業、電話(ファクス)番号(※任意で携帯電話番号)を、明記してください。 
 ▼字数の目安は500字以内。短くても構いません。タイトルも記入してください。採用分には図書カードを進呈します。
 ▼原稿が当社のウェブサイトに掲載されることもご了承ください。
 ▼作品は返却しません。同内容のものを他紙誌へ送ることは、ご遠慮ください。
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