エンターテインメント
安田章大&のん W主演映画「平行と垂直」で原案・脚本を担当 山野海さん〈インタビュー〉 2026年8月27日
発達障害の一つである自閉スペクトラム症(ASD)の兄と、幼い頃から兄を支えてきた妹の“温かな兄妹の絆”を描いた映画「平行と垂直」が、8月28日(金)から全国公開される。原案・脚本を担当した山野海さんに、同作の見どころなどを聞いた。(記事=木村英治、写真=伊野光)
――映画化に向けての経緯を教えてください。
友人の息子さんが自閉スペクトラム症(ASD)で、そういったご縁や、日常生活で出会った障がいのある方もいらっしゃいました。そんな中、10年ほど前に、発語が苦手なASDの男性と、定型発達の妹の物語を思い付きました。
今回、企画・主演を務められた(SUPER EIGHTの)安田章大さんと、3年前、あるバラエティー番組でご一緒しました。収録中、今回の物語の構想を話す機会があったんですが、番組が終わった直後に安田さんが「ぜひ、やりましょう!」と言ってくださって、後日、プロデューサーを紹介していただきました。
――本作では、ASDの方だけでなく、「きょうだい児」(病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹)にもスポットを当て、二人の幼少期と成人期の暮らしを鮮明に描いています。
そうなんです。発達障害に関する知識がないと接し方に戸惑ってしまうこともあるかもしれませんが、彼ら二人を描くことで伝わることがあるんじゃないかなと。当事者たちは、互いを思いやる気持ちや、時には「何でだよ!」って叫ぶような本音とかを当然、ぶつけ合うので、そういう“感情の交換”を、ちゃんと描きたかった。
きょうだい(児)が、障がいのある兄弟姉妹のケアをしている現実があっても、どちらか片方が“全てを背負う”ということではないと思うんです。彼らにも、当たり前の日常があって、日々、「エネルギーの交換」をしながら、たくましく生きている。そんな実感を持ってほしいです。
――「エネルギーの交換」とは、すてきな言葉ですね。
私、昔からそうなんですけど、俳優として演じているときも、小説を執筆するときも、作品に向き合うことって、エネルギーの交換の作業だと思っているんです。それは、相手役や監督とのコミュニケーションの場合もありますし、あるいは書き終わった小説が店頭に並び、それを手に取って読んでくださる読者の方々とも思いの交換ができると思っています。
言葉というすごく分かりやすいコミュニケーションツールがありますが、今作では、発語が難しいお兄さんと、伝え方に悩む妹さんがいて、向き合い方は定型発達の人たち同士とはちょっと違うかもしれない。それでも、感情だったり、無意識の範疇のしぐさだったり、何かを発信して何かを受け止めているものだと思います。
――今作の注目ポイント、メッセージをお願いします。
安田さんはアイドルでスターですけど、最初のカットから役に“埋もれている”んですよ。大スター・安田章大がそこにはいなくて、(役柄の)大貴が息吹いていた。すごいなと思いました。のんさんも、そうです。お二人の演技には注目してほしいですね。
メッセージは「まず、知ってほしい」ということです。新しい方と人間関係を築くときでも、新しい仕事を始めるときでも、人は知らないことを意識すると“怖い”という感情が芽生えますよね。でも、知ることで不安は消えるし、知るから分かることがあって、理解していく一歩にもなる。
ASD監修を担当された専門家の先生方の学校にも取材に行きましたが、先生が導いてあげるというより、“僕も分からないことがあるけど、一緒に前に進もうよ”という距離感だったんです。
この作品がきっかけとなって、皆さんの日々の交流に何かしらプラスになればと願っています。
◆プロフィル
やまの・うみ 1965年9月16日生まれ、東京都出身。幼少期に劇団若草に入団し、子役として活動。99年から「ふくふくや」を主宰し、全ての作品の脚本を担うとともに、看板俳優として全公演に出演する。主な出演作品は、NHK大河ドラマ「八重の桜」(2013年)、ドラマ「リボーン」(26年)など。竹田新名義で小説『最高のおもてなし!』などを上梓する。
清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送る大貴(安田)。そんな兄を支えることが当たり前の日々の中、カウンセラーとして働く妹・希(のん)。変わらないと思っていた日常は、希の結婚話をきっかけに静かに揺れ始める……。
公式ホームページはこちら
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