名字の言

名字の言 逆境の時こそ試される人間の真価 2025年7月4日

 新紙幣が発行されて今月で1年。1万円札の肖像となった埼玉出身の実業家・渋沢栄一は記した。逆境とは「立派な人間が真価を試される機会に外ならない」(守屋淳訳『現代語訳 論語と算盤』ちくま新書)。幕末から明治、大正、昭和の激動期を生き抜いた渋沢の確信である▼埼玉のある男子部員は、妻の入会を願い、仏法対話を誠実に重ねてきた。だが反応はいつも、けんもほろろ。くじけずに祈り、信心の歓喜を語り続けていた昨年7月、関節に激痛が走り、息苦しさも感じた。自己免疫機能の異常で炎症を引き起こす膠原病だった▼薬による副作用に苦しむ日々。そんな時、地域の学会員から手紙など真心の励ましが届いた。妻は創価家族の温かさと、真正面から試練に立ち向かう夫の姿に胸を打たれ、本年2月に入会。その後、病状が安定した彼は職場復帰を果たし、夫婦で広布の道を歩み始めている▼苦難がないから幸福なのではない。苦難があるから何ものにも負けない自分になれる。その生き方を示してくれる胸中の師匠がいる。支えてくれる同志がいる。だから私たちは前に進むことができる▼逆境の時こそ“いよいよ、ここから!”との心で立ち上がる。そこに仏法者の真価が現れる。(剛)