くらし・教育

〈暮らし〉 MLBが日本で18日開幕! 2025年3月4日

今シーズンも大谷翔平から目が離せない
大リーグ評論家 福島良一さん

 今季のメジャーリーグベースボール(MLB)が日本で開幕します。昨年のワールドシリーズ(WS)王者ロサンゼルス・ドジャースとシカゴ・カブスが18、19の両日、東京ドームで対戦。大谷翔平選手の規格外のプレーや日本人エース対決に注目が集まっています。開幕戦の見どころや大谷選手について、大リーグ評論家の福島良一さんに聞きました。
  

東京に野球ファンが集結

 MLB開幕戦が、6年ぶりに日本の地で行われます。チケットは即完売。東京ドームの収容人数、約4万5千人に対し、ある販売サイトには30万人以上がアクセスし、待機していたといいます。
 開幕戦ではドジャースの山本由伸投手とカブスの今永昇太投手が先発予定で、ドジャースの佐々木朗希投手も東京ドームのマウンドに上がるかもしれません。また、カブスには、日本人最強の右打者といっていい鈴木誠也選手もいます。
 そして、なんといっても最大の注目は大谷翔平選手です。世界最高峰のMLBに活躍の舞台を移してから7年。投打の二刀流で世界を驚かせ続けています。すでに3度のリーグMVP(最優秀選手)に輝いており、誰もが認める世界最高の野球選手です。その大谷選手が母国・日本でどんなパフォーマンスを見せるのか。日本人のみならず、世界中が注目しています。彼のプレーを生で見たいと願うファンが世界中から東京に集まってくるでしょう。
   

世界の一流が集う最高峰の舞台

 大谷選手の最大の特長はMLBで投打の二刀流を成功させたことにあります。世界最高峰のリーグで、投手か野手のどちらかで活躍するだけでも簡単ではない中、投手と打者のそれぞれで歴史的な成績や記録を作っている。
 まさに異次元です。
 そもそも、MLBが世界一のリーグといわれるゆえんは、さまざまな観点から語ることができますが、一つは、人種や国籍、言葉を問わず、世界中から一流選手を獲得している点にあります。世界中の野球選手たちにとっての憧れであり、現在、約20カ国から集まっています。
 MLBはアメリカやカナダに本拠地を置く30球団で構成され、日本のプロ野球の12球団と比べても規模の大きさが際立ちます。
 各球団には、日本でいう1軍に、最大40人のメジャー契約選手が所属し、ベンチ入りできるのは26人まで。その他の選手は、メジャーリーグ球団の傘下であり、4階級に分かれるマイナーリーグの球団に所属。メジャーリーグへの昇格を目指します。
 そのMLBの長い歴史を振り返っても、1918年から19年にかけてベーブ・ルースが活躍して以来、本格的な二刀流選手はおよそ100年間存在しませんでした。
 世界最高峰のレベルだけあって、アメリカの高校・大学の選手がどんなに投打にわたる好成績を収めても、プロに入る時は必ず投手か、野手かどちらかを選択させられてきました。投打両方で活躍するのは不可能だと思われてきたのです。
 ところが、7年前に海を渡った大谷選手は、MLBでも二刀流に挑戦。圧倒的な結果を残し、歴史を動かしました。アメリカでも二刀流の選手を求められる時代になりました。日本からも高校生である森井翔太郎選手がアスレチックスとマイナー契約を結び、二刀流選手としてメジャー昇格を目指します。大谷選手が切り開いた道は、次代の野球選手たちにも大きな影響を与えています。
  

全米を虜にするパワーとスピード

 大谷選手のプレースタイルとしての魅力の一つが、投打にわたるパワーです。投手として160キロ級の剛速球を投げて三振を奪う。打者として特大の本塁打を量産する――これまでの常識を打ち破りました。
 ベーブ・ルースは当時最高の長距離打者でしたが、投手としては速球派ではありませんでした。アメリカでは、投手が剛速球で打者から三振を取る。打者が豪快な本塁打を打つ。こうした力と力の勝負に魅力を感じる国民性があるため、大谷選手は一躍、MLB最高のスターとして、全米を虜にしました。
 昨年は右肘手術の影響で打者に専念する中でMLB約150年の歴史上、初の「50本塁打・50盗塁(フィフティ・フィフティ)」を達成。最終的に54本塁打、59盗塁という記録を打ち立てました。
 一般的に長距離打者は、体が大きく足が遅くなりがちです。一方、足の速い選手は力で劣ってしまう場合があります。パワーとスピードは野球選手の二大要素であり、これらを兼ね備えた選手は当然、ファンを魅了するわけです。
 しかも、その選手がリーグを代表する投手でもあるということは考えられないことです。150年のMLBの歴史で最高のプレーヤーであることは間違いなく、野球界の枠を超え、プロスポーツ界全体の最高の選手といえるでしょう。
  

「投打二刀流」の復活に注目

 ドジャースは連覇に向けて今季、両リーグでサイ・ヤング賞(その年の最高の投手)に輝いたブレイク・スネル投手や、佐々木投手らを補強。本気で連覇を狙うチームの中で、大谷選手の「投打二刀流」がどこまで復活するのか。私は2年ぶりの2桁勝利・2桁本塁打を期待しています。投手としては、故障明けのため、サイ・ヤング賞は難しいかもしれません。
 しかし、打撃面で3冠王の獲得の可能性は十分にあります。また、夢の60本塁打にも期待したいと思います。想像を上回る記録を打ち立て続けてきた大谷選手から、今季も目が離せません。
  
  

◇◆MLB開幕戦試合日程◆◇

 カブスvsドジャース
 3月18日(火)午後7時
 日本テレビ系列
(無制限延長・完全生中継)
  
 カブスvsドジャース
 3月19日(水)午後7時
 日本テレビ系列
(無制限延長・完全生中継)
  
 ※2試合ともAmazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)からでも視聴可能

  
  
 ●ご感想や取り上げてほしいテーマをお寄せください。
 life@seikyo-np.jp