エンターテインメント

〈舞台〉 井上芳雄主演「大地の子」 共演に奈緒、上白石萌歌ら 2025年12月18日

2026年2月26日(木)から東京・明治座で

 舞台「大地の子」は、『白い巨塔』『沈まぬ太陽』などの名作を世に送り出してきた山崎豊子による同名小説を原作に、栗山民也が演出を担当。キャストに井上芳雄、奈緒、上白石萌歌、山西惇、益岡徹らを迎え、2026年2月26日(木)から東京・明治座で上演される。過日行われた会見にはキャスト陣が登壇し、作品への意気込みを語った。

 第2次世界大戦後、中国で戦争孤児となった勝男(井上)は、7歳の時、人身売買されていたところを助けられ、陸一心として新たな人生を歩み始める。
 
 井上「(“山崎作品”であり)今回はこれまでにない緊張感があります。大切なものを確実に届けなければという“見えない重責”を感じていますし、私にとって奇跡のような巡り合わせを頂いたので、自分にできることを皆さんと全力でやりたいです」
 
 5歳で一心と生き別れた実妹の張玉花(日本名‥あつ子)を演じる奈緒は、栗山からのオファーを受けた時の心境を振り返った。
 
 奈緒「最初は“本当に私へのオファーなのか”と驚きましたが、栗山さんとお話しして、実感が湧きました。物語は自由に受け取っていただくのが理想ですが、この作品には私たちが強く持つべき一種の“正しさ”があると思っています。その答えを稽古場で探したいです」
 
 一心の妻・江月梅に扮する上白石の言葉からは、傑作に挑む不安と喜びを感じながらも、物語と真摯に向き合っている様子が伝わってきた。
 
 上白石「壮大な世界に飛び込む不安はありますが、“演劇の神様”のような栗山さんと稽古できるのが楽しみです。原作は心が痛む場面が多い一方、読み終えると温かさも残りました。一心は過酷な運命に翻弄されつつも、支えてくれる人に助けられながら真っすぐ生きています。その姿に感銘を受けました」

◆井上「我が事にできるのが演劇の魅力」

 会見では「戦争を体験していない世代に、戦争の物語をどう伝えていくのか」という質問も。
 
 井上「例えば、モーツァルト本人には会えませんが、演じることは最も近づける体験だと思います。彼そのものは見せられなくても、演じる僕を通して何かのエッセンス(本質的要素)を身近に感じていただける。演劇はそうした体験ができるジャンルで、目の前で見ることにより“人ごとではなく、自分と同じ人間の物語なんだ”と実感してもらえます。だからこそ、たとえ実体験がなくても、僕たちなりに伝えられるものがあると信じています。ぜひ劇場でお待ちしております」
 
 演劇が持つ魅力について熱く語る、井上の言葉がとても印象的だった。

◆ストーリー

 妹のあつ子(奈緒)と生き別れてしまった勝男(井上)。彼を助けてくれたのは、陸徳志(山西)だった。一心と名付けられ、愛情をこめて育てられた彼は、優秀な青年に成長していく。
 しかし、一心は、戦争孤児であるという理由から、無実の罪で捕らえられてしまう。病にかかり、生命の危機にさらされるが、看護師・江月梅(上白石)に命を救われる。
 時が過ぎ、中国での高炉建設の日中共同プロジェクトに参加することになった一心は、日本企業の東洋製鉄所長の松本耕次(益岡)という男性と対面することになる。耕次は、一心の実の父親だった。

◆公演情報

【日程・会場】2月26日(木)~3月17日(火) 東京・明治座 ※3月5日(木)、13日(金)は休演。3月1日(日)、3日(火)、12日(木)は貸切のみ。日により公演回数は異なる
 
【料金】S席1万3000円、A席8000円、B席5000円(税込み)※土日・祝日は各1000円増し
 
【問い合わせ】東宝テレザーブ 0570(00)7777、ないし明治座チケットセンター 03(3666)6666
 
 
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