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〈創価学園Pick up〉 関西高「情熱の日」競技大会から 真剣勝負の舞台裏 2025年10月28日

 「情熱の日」を記念する競技大会や学園祭が9、10月に、東西の創価学園で開催された。ここでは、関西創価高校の競技大会の舞台裏について紹介する。

“本気”だから“本音”でぶつかり合う

 関西創価高校の競技大会は、学年混合で生徒が“赤・黄・青”の三つの梯団に分かれ真剣勝負で競い合う。
 
 中でも盛り上がるのは、伝統の「創立者賞レース」。短距離走や中距離走、長距離走で、事前の予選を勝ち抜いたランナーたちが“学園一”を懸けて白熱のレースを展開する。
 
 大会中、印象的な場面があった。
 
 男子の創立者賞レース(長距離)で、一人の生徒がどこかを痛めたのか、足を引きずるようにして最下位を走っていた。その様子を見た各梯団の中心者たちが駆け寄り、声援を送りながら伴走し始めた。敵味方関係なく、頑張る生徒を励ます姿に、胸が熱くなった。
 
 生徒は、無事に完走。会場からの盛大な拍手が、しばし鳴り止まなかった。
 
 伴走した生徒の一人は「とにかく必死で、気づいたら伴走していました(笑)」と。
 
 梯団長や応援団長など各梯団の中心者たちは、“皆が競技大会を楽しめるように”と、数週間前から話し合いを重ね、準備を進めてきた。放課後に集まって応援歌や旗を作成。仲良く団結するために学年を超えた交流会なども企画した。
 
 梯団の中心者といっても、部活との兼ね合いで悩んだり、大会に懸ける気持ちがバラバラだったりと、初めは話し合いもうまく進まなかったという。
 
 「ミーティングで率直な思いをぶつけ合う中で“全力で競技大会に取り組みたい”と、皆の思いが一つになっていきました」と、黄色の女子梯団長を務めた桐谷祐香さん(3年)は振り返る。
 
 「本気だからこそ、本音で語り合える最高の友情が築けたと思います。競技大会を通して、学園がもっと好きになりました!」

友人のために尽くそうとする熱量

 競技大会のスムーズな進行の陰には、裏方で奮闘する生徒たちの姿があった。
 
 反則のチェックを行う「審判部門」や、競技で使用する用具を決められた場所に配置する「用具部門」、競技の実況を務める「アナウンス部門」、全ての競技が円滑に進むように運営全般を担う「競技進行部門」等――。どんなに目立たない役割でも、誇りを持って務めるところに、学園生らしさが光る。
 
 「競技進行部門」の責任者を担った丸嶋麗さん(3年)は、1年生の頃から毎年、同部門に携わってきた。
 
 高校入学とともに広島の親元を離れ、大阪へ。1年時は慣れない寮生活に悪戦苦闘した。そんな中、先輩に「競技進行部門をやってみない?」と誘われた。
 
 準備を進める中で驚いたのは、陰で真剣に準備を進める先輩たちの姿。「言葉だけでなく、他人や友人のために尽くそうとする熱量に感動しました」と目を輝かせる。
 
 丸嶋さんも部門の活動を通して人の役に立つ喜びを感じるように。「誰かの力になりたいとの思いから、将来の夢が見つかりました」
 
 今は、自身も幼少期に経験したぜんそくの治療に貢献できる研究者になることを目指し、勉強に励む。
 
 かつて、池田先生は関西学園の競技大会に参加し、学園生の“「真剣」な姿に深い感銘を覚えた”とたたえた。
 
 “真剣勝負”で取り組む競技大会だからこそ、絆が芽生え、ドラマが生まれ、一生涯の原点が刻まれる。

健康祭と創立者

 10・10「情熱の日」を記念して行われる関西創価学園の競技大会は、1994年まで「健康祭」の名称で親しまれてきた。創立者・池田先生もたびたび訪れ、学園生と幾重にも絆を結んだ伝統行事である。
 
 85年の健康祭で先生は、創立者賞レースのマラソンでピストルを持ち、スタートの号砲を鳴らした。
 
 男子マラソンで脇腹を押さえながら懸命に走る最終ランナーがゴールに飛び込んだ時には、抱きかかえるようにして迎えた。そして、全力を尽くした生徒をたたえ、自身が着けていた白バラの胸章を授けた。
 
 90年のマラソンの最終走者には、本部席でたたいていた太鼓を贈った。
 
 87年の健康祭では、学園生に次のように語った。
 
 「きょうの競技では、負けた人もいるでしょう。しかし、それがすべてではありません。何らかの分野で勝ち、『人生の勝利者』となっていけばよいのです」
 
 91年には健康祭の表彰が行われた友好交歓会で、文豪・アイトマートフ氏の言葉「最も難しい勝利、それは自分に勝つこと」を紹介しつつ、次のエールを送った。「『人と比べる』よりも、『きのうの自分』と比べてどうか。『きのうの自分』より『きょうの自分』、『きょうの自分』より『あすの自分』を見よ――そう生き抜く『向上の人』こそ、偉大なる人生の山を登りきれる人である。『栄光の旗』は『努力の風』にこそ悠々とはためく」
 
 全員が人生の勝利者に――創立者の“勝利の哲学”は、切磋琢磨の青春を送る学園生を鼓舞し続けている。