東京・八王子市にある東京富士美術館で「ヨーロッパ絵画 美の400年」展が好評開催中です(2026年1月18日まで)。皆さんは、博物館や美術館を見学すると、「何となく気分が落ち着いた」ような感覚になることはありませんか? そうした効果は「博物館浴」とも呼ばれ、最近、注目を集めています。今回は、本社所属のスチューデントリポーター「らおん」(ペンネーム)が、実際に「博物館浴」をして、同展の魅力を紹介。「推し」の作品も見つけてきました。
東京・八王子市にある東京富士美術館で「ヨーロッパ絵画 美の400年」展が好評開催中です(2026年1月18日まで)。皆さんは、博物館や美術館を見学すると、「何となく気分が落ち着いた」ような感覚になることはありませんか? そうした効果は「博物館浴」とも呼ばれ、最近、注目を集めています。今回は、本社所属のスチューデントリポーター「らおん」(ペンネーム)が、実際に「博物館浴」をして、同展の魅力を紹介。「推し」の作品も見つけてきました。
「あ、この絵、すき」
「あ、この絵、すき」
「ヨーロッパ絵画 美の400年」展のキャッチコピーは「あなたをハグしてくれる絵が、きっとある」「あ、この絵、すき」です。東京富士美術館の学芸員・西野正恵さんは「事前に絵画の知識がなかったとしても、絵画と出合った瞬間、人は触発を受けます。とりわけ、絵画と出合う『喜び』を感じてもらえたらと本展を企画しました」と。明るい作風の絵に元気づけられることもあれば、暗い作風の絵に心が重なり共感の中で救われることもある――そんな“心と絵画が響き合う瞬間”を大切にしてほしいという思いが、同展には込められています。
早速、展示を鑑賞しました。今回展示されている西洋絵画のすべてが、同館所蔵の作品です。日本では、「印象派」を中心とした19世紀以降の絵画を所蔵している美術館がほとんどですが、東京富士美術館は「オールドマスター」と呼ばれる16世紀のルネサンス期から18世紀の画家の作品が多く所蔵されています。これらの時代の絵画を持っている美術館は日本国内では珍しく、識者の方からも高い評価を得ています。
「ヨーロッパ絵画 美の400年」展のキャッチコピーは「あなたをハグしてくれる絵が、きっとある」「あ、この絵、すき」です。東京富士美術館の学芸員・西野正恵さんは「事前に絵画の知識がなかったとしても、絵画と出合った瞬間、人は触発を受けます。とりわけ、絵画と出合う『喜び』を感じてもらえたらと本展を企画しました」と。明るい作風の絵に元気づけられることもあれば、暗い作風の絵に心が重なり共感の中で救われることもある――そんな“心と絵画が響き合う瞬間”を大切にしてほしいという思いが、同展には込められています。
早速、展示を鑑賞しました。今回展示されている西洋絵画のすべてが、同館所蔵の作品です。日本では、「印象派」を中心とした19世紀以降の絵画を所蔵している美術館がほとんどですが、東京富士美術館は「オールドマスター」と呼ばれる16世紀のルネサンス期から18世紀の画家の作品が多く所蔵されています。これらの時代の絵画を持っている美術館は日本国内では珍しく、識者の方からも高い評価を得ています。
同展の特色は、すべてが東京富士美術館所蔵の作品であることを生かし、ほとんどの作品を撮影でき、SNSに投稿できること! 撮影禁止のイメージが強い美術館の中で、“撮影が自由にできる”というのは斬新でした。前述の学芸員の西野さんも「ぜひ自由にSNSに投稿してほしいです。必ずしもポジティブな意見でなくても、好みでない作品の感想であっても構いません。他の人の感想を知ることで、自分にない新たな視点に気付き、作品への理解も深まります」と。“若者の芸術離れ”とはいつの時代も耳にしますが、この展示に懸ける人々の思いと、懐の深さを感じる言葉でした。
同展の特色は、すべてが東京富士美術館所蔵の作品であることを生かし、ほとんどの作品を撮影でき、SNSに投稿できること! 撮影禁止のイメージが強い美術館の中で、“撮影が自由にできる”というのは斬新でした。前述の学芸員の西野さんも「ぜひ自由にSNSに投稿してほしいです。必ずしもポジティブな意見でなくても、好みでない作品の感想であっても構いません。他の人の感想を知ることで、自分にない新たな視点に気付き、作品への理解も深まります」と。“若者の芸術離れ”とはいつの時代も耳にしますが、この展示に懸ける人々の思いと、懐の深さを感じる言葉でした。
展示を巡ると、一つの特徴に気付きました。それは、「年代順」ではなく「ジャンル別」に作品が並んでいることです。一般的な美術館の展示は、年代順に構成されていることが多いですが、同展は「歴史画」「肖像画」「風俗画」「風景画」「静物画」というようにジャンル別に構成されていました。
それとともに、時代軸という点でも、16世紀ルネサンスから20世紀初頭までの約400年にわたって、西洋美術の歴史と魅力を理解できるよう工夫されていました。モネ、ルノワール、ゴッホ、シャガールといった人気画家のほか、ティントレット、ヴァン・ダイク、クロード・ロランといった古典的巨匠まで、約80点の名画を通して、西洋絵画400年の道のりを旅することができます。美術に精通していない学生記者にとっても、分かりやすい解説文、ガイドアプリ等があり、まさに“美術の教科書”とも言える展覧会だと思いました。
展示を巡ると、一つの特徴に気付きました。それは、「年代順」ではなく「ジャンル別」に作品が並んでいることです。一般的な美術館の展示は、年代順に構成されていることが多いですが、同展は「歴史画」「肖像画」「風俗画」「風景画」「静物画」というようにジャンル別に構成されていました。
それとともに、時代軸という点でも、16世紀ルネサンスから20世紀初頭までの約400年にわたって、西洋美術の歴史と魅力を理解できるよう工夫されていました。モネ、ルノワール、ゴッホ、シャガールといった人気画家のほか、ティントレット、ヴァン・ダイク、クロード・ロランといった古典的巨匠まで、約80点の名画を通して、西洋絵画400年の道のりを旅することができます。美術に精通していない学生記者にとっても、分かりやすい解説文、ガイドアプリ等があり、まさに“美術の教科書”とも言える展覧会だと思いました。
五感と想像力を
五感と想像力を
鑑賞に際して、学生記者が心がけたのは、「五感と想像力を働かせて観察すること」でした。学芸員の西野さんのアドバイスの受け売りですが(笑)。
例えば、いろいろな角度から、もしくは一点からじっくり観察する。想像力を巡らせて、どんな音が聞こえるか、どんな匂いか、季節はいつか、身にまとう衣服の質感はどういったものか――その作品に思いをはせました。
先ほども紹介したように、同展では、「推し」の作家や作品を見つけてSNS上でシェアする「#コレ活」が展開されています。「推しコレ(推しのコレクション)」を見つけるポイントは「自分の感覚を信じる」こと。想像力を働かせるきっかけとして、「この色が好き」「この人物の表情が気に入った」というワンポイントがあれば十分なのだとか。そこで足を止めて、「なぜこの画家はこう描いたのだろう」と想像してみると、作品との距離がさらに縮まるそうです。
鑑賞に際して、学生記者が心がけたのは、「五感と想像力を働かせて観察すること」でした。学芸員の西野さんのアドバイスの受け売りですが(笑)。
例えば、いろいろな角度から、もしくは一点からじっくり観察する。想像力を巡らせて、どんな音が聞こえるか、どんな匂いか、季節はいつか、身にまとう衣服の質感はどういったものか――その作品に思いをはせました。
先ほども紹介したように、同展では、「推し」の作家や作品を見つけてSNS上でシェアする「#コレ活」が展開されています。「推しコレ(推しのコレクション)」を見つけるポイントは「自分の感覚を信じる」こと。想像力を働かせるきっかけとして、「この色が好き」「この人物の表情が気に入った」というワンポイントがあれば十分なのだとか。そこで足を止めて、「なぜこの画家はこう描いたのだろう」と想像してみると、作品との距離がさらに縮まるそうです。
アドバイスも踏まえ、私が展示を巡る中で、一目ぼれした作品がありました。ウィリアム・アドルフ・ブーグローが描いた「漁師の娘」。魚をとるためのものか、網をかついだ女性の絵画です。
女性の強さと美しさを感じて、見た瞬間、絵に引き寄せられるように感じました。目線の先には何があるのだろう。穏やかで、でも、力のある表情からすると、心を許した友人か、恋人に会ったのだろうかとも思いました。肌のあでやかさは、若いエネルギーを象徴しているのか、目線の先にある人への好意を表しているのか……そのどちらでもあるような気もするし、考えると楽しい気持ちになりました。服の質感、背景の自然に至るまで、2次元の絵の中に、躍動を感じました。
アドバイスも踏まえ、私が展示を巡る中で、一目ぼれした作品がありました。ウィリアム・アドルフ・ブーグローが描いた「漁師の娘」。魚をとるためのものか、網をかついだ女性の絵画です。
女性の強さと美しさを感じて、見た瞬間、絵に引き寄せられるように感じました。目線の先には何があるのだろう。穏やかで、でも、力のある表情からすると、心を許した友人か、恋人に会ったのだろうかとも思いました。肌のあでやかさは、若いエネルギーを象徴しているのか、目線の先にある人への好意を表しているのか……そのどちらでもあるような気もするし、考えると楽しい気持ちになりました。服の質感、背景の自然に至るまで、2次元の絵の中に、躍動を感じました。
その後でホームページの解説を見たところ、「ウィリアム・ブーグローは、マネや印象派の画家たちの絵画を拒否した保守派の人物」「漁村の若い娘。海辺の場所や着衣などは地味で、頭に被ったスカーフの色と模様がこの絵で唯一の華やかな部分である。それゆえに顔や首すじ、腕や手といった露出した肌の部分の生々しさ、また磁器のように滑らかでみずみずしい描写に、自然と見る者の目は導かれる。ある意味で写真的ともいえる人体の描写は、ブーグロー特有の表現法でもある」と。なかなか難しい解説。でも、私が率直に感じたことは解説にも通じているかな、という気もしました。
ぜひあなたも、東京富士美術館で「推しコレ」を見つけてみてください。
その後でホームページの解説を見たところ、「ウィリアム・ブーグローは、マネや印象派の画家たちの絵画を拒否した保守派の人物」「漁村の若い娘。海辺の場所や着衣などは地味で、頭に被ったスカーフの色と模様がこの絵で唯一の華やかな部分である。それゆえに顔や首すじ、腕や手といった露出した肌の部分の生々しさ、また磁器のように滑らかでみずみずしい描写に、自然と見る者の目は導かれる。ある意味で写真的ともいえる人体の描写は、ブーグロー特有の表現法でもある」と。なかなか難しい解説。でも、私が率直に感じたことは解説にも通じているかな、という気もしました。
ぜひあなたも、東京富士美術館で「推しコレ」を見つけてみてください。
学芸員の西野正恵さん 「鑑賞は人々を結ぶ“対話の場”」
学芸員の西野正恵さん 「鑑賞は人々を結ぶ“対話の場”」
芸術に「正解」はありません。美術鑑賞は、自分のペースで考えを深め、自分の内面を知ることができます。若い世代の方々には、作品を通じて「自分はこう思う」「相手は違うように見るんだ」という多様な視点に触れ、違いを面白いと思える柔軟さを育んでもらえたら幸いです。
東京富士美術館は、誰もが安心して集い、作品と“語り合える”美術館を目指しています。創立者・池田大作先生が示された「世界を語る美術館」として、文化を通じて平和の「架け橋」となることを目指し、国内外の美術館や各国の在日大使館との交流に取り組んできました。
現代は、情報や価値観が交錯し、分断が生まれやすい時代と言えるかもしれません。だからこそ、美術館は作品を展示するだけでなく、他者への理解や尊重を育む“対話の場”でありたい。
アートには、言語や国境、世代を超えて人々をつなぐ力があります。美術鑑賞は、他者の痛みや喜びを想像し、自分とは異なる世界を理解しようとする心を育ててくれます。その営みが、平和の文化を築く一歩になると信じています。
芸術に「正解」はありません。美術鑑賞は、自分のペースで考えを深め、自分の内面を知ることができます。若い世代の方々には、作品を通じて「自分はこう思う」「相手は違うように見るんだ」という多様な視点に触れ、違いを面白いと思える柔軟さを育んでもらえたら幸いです。
東京富士美術館は、誰もが安心して集い、作品と“語り合える”美術館を目指しています。創立者・池田大作先生が示された「世界を語る美術館」として、文化を通じて平和の「架け橋」となることを目指し、国内外の美術館や各国の在日大使館との交流に取り組んできました。
現代は、情報や価値観が交錯し、分断が生まれやすい時代と言えるかもしれません。だからこそ、美術館は作品を展示するだけでなく、他者への理解や尊重を育む“対話の場”でありたい。
アートには、言語や国境、世代を超えて人々をつなぐ力があります。美術鑑賞は、他者の痛みや喜びを想像し、自分とは異なる世界を理解しようとする心を育ててくれます。その営みが、平和の文化を築く一歩になると信じています。
●案内
●案内
会期=2026年1月18日(日)まで。月曜休館(祝休日は開館し、翌火曜休館)。年末年始の12月25日(木)~26年1月5日(月)は休館。
開館時間=午前10時~午後5時(入館は同4時半まで)。
入場料=一般1000円(800円)、大学・高校生600円(500円)、中・小学生300円(200円)、未就学児は無料。土曜は中・小学生無料。※カッコ内は20人以上の団体、65歳以上の方、東京富士美術館のLINE公式アカウント登録者等の各種割引料金。
会期=2026年1月18日(日)まで。月曜休館(祝休日は開館し、翌火曜休館)。年末年始の12月25日(木)~26年1月5日(月)は休館。
開館時間=午前10時~午後5時(入館は同4時半まで)。
入場料=一般1000円(800円)、大学・高校生600円(500円)、中・小学生300円(200円)、未就学児は無料。土曜は中・小学生無料。※カッコ内は20人以上の団体、65歳以上の方、東京富士美術館のLINE公式アカウント登録者等の各種割引料金。
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