名字の言(紙面)

〈名字の言〉 2026年1月30日

 寒風にさらされた梅の古木も、春の陽光が降り注げば凜とした花を咲かせる。人もまた、励ましの光を浴びると限りない可能性が開花する▼吉田松陰がつづった新たな史料が見つかり、注目を集めている。山口・萩博物館の特別学芸員を務める作家の一坂太郎氏によると、新発見の書簡には、松陰が野山獄の囚人仲間に「秋茄子」を送り、心を寄せていた様子が記されている(「第三文明」2月号)▼特筆すべきは、松陰は囚人たちを「先生」と呼び、彼らから俳句や書を学んだこと。彼らの多くは長期間、獄に収監され、心はすさむ一方だった。その一人一人に松陰は粘り強く声をかけ、それぞれの長所を尊び、互いに学び、高め合う“相互教育の場”を築いた▼松陰が「福堂策」と題して書いた一文にこうある。「人は賢い者も愚かな者もいますが、おのおの一つか二つの才能は持っています。そこを伸ばせば、必ず人材になれるのです」(趣意)と。この揺るがぬ信念を貫き、松陰は殺伐とした獄中さえ、人間を蘇生させる場所に変えていった▼人は皆、限りない力を秘めている。その可能性を励まし合いながら、共に輝かせていくのが創価のスクラムである。この麗しい絆を一段と広げ、社会を照らそう。(訫)