エンターテインメント
〈シネマ〉 柴咲コウ主演「兄を持ち運べるサイズに」 2025年12月4日
これまで一貫して、心温まる“家族の物語”を描き続けてきた中野量太監督の最新作「兄を持ち運べるサイズに」が全国公開中だ。彼の代表作である映画「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)は、日本アカデミー賞優秀作品賞を受けた。先ごろ行われたプレミア上映会に、主演の柴咲コウ、共演のオダギリジョー、満島ひかりらが参加し、見どころなどを語った。
本作は、作家・村井理子のノンフィクションエッセー『兄の終い』が原作。絶縁状態にあった兄の突然死をきっかけに再会した妹とその家族が、兄の遺品整理などをしながら“家族とは何か”を見つめ直す4日間を描写している。
柴咲が扮する妹の理子は、幼い頃から自分勝手で母に溺愛されてきた兄(オダギリ)に振り回されてきた。大人になってもなお、金を無心する兄の姿に嫌気が差す。そんな中、彼の訃報を受ける。
柴咲「自分の家族のことを考えるきっかけになる作品です。家族の死というのは、どうしようもない歯がゆさがあるもの。今作は、それを埋めるための想像力に変化をもたらす内容になっています」
“ダメ兄”を演じたオダギリのキャスティングについて、中野監督は「僕が知る限り、“ダメ男”を一番よく演じられるのはオダギリさん。今回はダメなところだけではなく、最後にすてきな温かさを表現したかった。彼はその両方をできる役者です」と信頼を寄せた。
それに対し、オダギリは「私自身もダメなところはたくさんあるし、監督のおっしゃることは納得できます(笑)。ただ、こういう役だからこそ、そのダメな部分を許してもらいたいと思いながら演じました」と、はにかんだ。
理子と同様に、“兄”の身勝手な姿に愛想を尽かせ、離婚した元妻・加奈子役は満島が担う。
満島「監督が、一人の人を思う気持ちを妹、元妻、娘、息子の視点で多面的に描いているところに魅力を感じる作品。皆さんの感想を読むのが楽しみです」
たとえ今、家族に対してどんな感情を抱いていても、自分の素直な気持ちを伝えたいと思わせてくれる、そんな心が満たされる作品だ。
作家の理子(柴咲=写真㊥)は、突如、警察から兄(オダギリ)の急死を知らされる。兄が住んでいた東北へと向かいながら、理子は兄との苦い思い出を振り返っていた。
警察署で7年ぶりに兄の元嫁・加奈子(満島=同㊧)、その娘の満里奈(青山姫乃=同㊨)と再会し、兄を火葬する。そして、兄が住んでいたアパートを片付けていた三人は、壁に貼られた家族写真の数々を目にする――。
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