企画・連載
◆価値創造への挑戦 文理融合の学びでAI時代をリードする データサイエンス教育 2025年1月19日
課題の本質を見極め理想の未来へと導く
近年、デジタル技術の急速な進展によって、私たちの生活は大きな変革期を迎えている。そうした中、注目されているのが、「データサイエンス教育」である。今回は、この分野の教育に先駆的に取り組み、AI(人工知能)時代をリードする創価大学「データサイエンス教育推進センター」を取材した。
グループワークが始まると、教室に活気が満ちていく。学生たちはパソコンに映した数値を読み解き、大胆にアイデアをぶつけ合う。“今あるデータから、新たな未来をつくる”――その挑戦に、皆が瞳を輝かせていた。
取材したのは、創大のデータサイエンスの授業。AI、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)等、デジタル技術が急速に進展する今、最も注目される学問の一つだ。
「データサイエンス」とは、膨大なデータを分析し、新たな知見を生み出す学問のこと。
医療データを解析して病気のリスクを示したり、GPSの位置情報から交通ルートを探したりと、活用の幅は広い。
その名前から、理系の学問かと思っていたが、受講する学生の多くが文系の学部だった。
授業を担当していた「データサイエンス教育推進センター」の浅井学センター長(経済学部教授)が解説してくれた。
「データサイエンスは、他分野と“かけ算”することで可能性が広がります。文系と理系が融合し、協働しながら、多様な課題解決を目指す。そんなデジタル人材が求められています」
政府でも、次代を担うデジタル人材の育成を視野に、内閣府・文部科学省・経済産業省が連携して「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」を創設。大学等の優れた教育プログラムを「リテラシーレベル」「応用基礎レベル」等に分けて認定し、取り組みを後押しする。
2021年6月に発表されたリテラシーレベルの第1回認定では、全国の国公私立大学など11校が選ばれ、東京都内で唯一、創大が選出。翌22年8月の応用基礎レベルの第1回認定でも、全国27校(うち私立大学は9校)の一つに創大が選ばれた。
創大では19年度に、副専攻としてデータサイエンスを設置。各学部の学びを主専攻としながら、希望者は学部の枠を超えてデータサイエンスを学ぶことができ、修了すれば卒業証明書等にも記載される。さらに22年度には、「データサイエンス入門」を全学必修化。全学生が1年次にリテラシーレベルのデータサイエンスを学ぶ。
「データサイエンス入門」を担当する、学士課程教育機構の服部南見講師が語る。
「学生の理解度に差がある中で、質の高いグループワーク中心の授業が実施できるのは、“互いに高め合おう”という学生自身の意欲のたまものです。また、先輩が後輩に寄り添い、授業をサポートするスチューデントアシスタント(SA)も大きな力となっています。創大の人間教育の伝統が、価値的な授業の実現を支えています」
経済学部4年の松永隆之介さんは、「創大でなければ、文系の私が、ここまで深くデータサイエンスを学ぶことは、なかったと思います」と実感を込める。
勉強、留学、就職活動など、学生生活の万般を先輩が支えてくれた。興味のあった観光業のデータ分析に取り組む傍ら、自身も後輩に尽くそうと、昨年度、データサイエンスの授業でSAに志願した。恩返しの思いで就職活動にも全力を注ぎ、世界有数の外資系金融機関から内定を得た。卒業後は、海外オフィスでの勤務が決まっている。
「“大学の真価は卒業生で決まる”との創立者・池田先生の指針を胸に、社会で活躍し、後輩の道を開いていきます」
また副専攻には、企業と協力して行われる産学連携科目「データサイエンス演習」を設置。協力企業に勤める卒業生を講師に迎え、学生たちは、今の学びが社会でどのように生かせるかを実感できるという。
「この授業を受けたことで、将来への道が開けました」
こう語るのは、三宅藍子さん(49期)。2年前に理工学部を卒業し、現在は、世界的なテクノロジー企業の日本法人に、データサイエンティストとして勤務している。
実験や分析から一つの結果を導き出す理系の学びに多く触れてきた三宅さんにとって、そのデータを社会のために生かすデータサイエンスの学びは、大きな刺激だった。社会で活躍する卒業生の講義で、データサイエンスの魅力や可能性を聞き、現職を目指すきっかけとなった。
「将来の進路があいまいだった私でしたが、“これをやりたい!”と思うものが見つかりました。思った以上の自分になれるのが、創大の魅力です!」
「データサイエンス演習」で講師を務める寒川明彦さん(36期)は、グローバルITコンサルティング企業に勤めている。
現在の会社に就職後、情報システム管理の分野で世界屈指の実績を誇る米カーネギーメロン大学に留学し、修士号を取得。最高峰の学びの中で実感したのは、“テクノロジーを正しく使うことの重要さ”だったという。
「例えば生成AIは、利便性が注目されがちですが、事実と異なる表現や、大量のデータを用いた学習による環境への影響が問題視されています。責任あるAI活用の実現には、包括的な理念を持つことが大切です。人間主義の哲学を持つ、創大生の役割は大きいと思います」
最後に浅井教授が、データサイエンス教育の使命を語った。
「創価大学では、『価値創造を実現するためのデータサイエンス教育』を掲げています。データの背後に隠れた一人一人に思いをはせ、課題の本質を見極め、未来を理想的な方向へと導く。そうした『創造的人間』が、今こそ世界に求められています。創大生の成長のために、私も全力を尽くします」
締め切り迫る!
創価大学 入試出願を受け付け中
一般入試は今月30日まで
創価大学が、2025年度の入学者を募集中。入試の出願受け付けの日程は次の通り。
全学統一入試=1月20日(月)まで。
一般入試=1月30日(木)まで。
一般入試(後期)=1月31日(金)から2月20日(木)まで。
大学入学共通テスト利用入試(後期)=2月21日(金)から3月7日(金)まで。
※全て締め切り日の消印有効。詳細はホームページを参照。その他の入試および創価女子短期大学の入試の出願受け付けは終了しました。お問い合わせは、「創大アドミッションズセンター」〈042(691)4617〉まで。
創大入試情報はこちらから
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