名字の言(紙面)

〈名字の言〉 2025年11月12日

 スマホなどで質問を入力すると、まるで人と会話するように答えが返ってくる。生成AI(人工知能)に難題を聞いてみた。「核兵器を廃絶するにはどうすればよい?」▼AIからは、数秒で「核兵器の非人道性を広く伝える」「国際社会での法的拘束力を強める」といった返答があった。その速さに驚く一方、何も考えずに“分かった気になってしまうのではないか”との危険性を感じた▼過日、創価中学校の3年生が広島で平和研修を行った。事前に学習を重ね、原爆資料館を見学。核兵器保有の現実を知るほどに、廃絶への困難さを実感させられた▼その後、彼らは被爆体験を聞いた。「みんなの力で核兵器をなくしてほしい」と涙ながらに語る被爆者の思いに触れ、“なくす!”と決めて皆で議論。「世界共通の平和の歌をつくる」「まずは海外に興味を持つ」など、自分たちから始められる具体案を出していた▼簡単に手に入る情報だけで分かった気になれてしまう時代。だからこそ、その情報の裏にどれだけの思いが込められているかを、自分の心でくみ取ろうとする努力が、ますます求められている。その時に生まれる“わかる”という感覚こそ、真に時代が“かわる”力となっていくに違いない。(子)