くらし・教育

〈暮らし〉 イルミネーション 2024年12月15日

 すっかり冬の風物詩となったイルミネーション。各地でどんどん趣向を凝らしたものへと進化を続けている。では、どんな点に注目したら、よりいっそう楽しむことができるか。日本イルミネーション協会会長の西村圭司さんに聞いた。

ロマンチックなだけじゃない
心にともす楽しいきらめき

 イルミネーションのルーツは、何か。一説によると、16世紀、宗教改革で知られるドイツの聖職者マルティン・ルターが木にたくさんのろうそくを飾ったことだといわれています。夜空の星々のきらめきを地上で再現できないかと思ってのことだそうです。
 この季節、空気が澄んで、星もイルミネーションもきれいに輝きます。私が、初めてイルミネーションを意識したのは、1970年代、ハワイで大学生活を送っていた時のことです。日本ではまだ室内装飾としてクリスマスツリーを飾る程度で、屋外の装飾としてはイルミネーションを見かけたことはありませんでした。ところが、ハワイでは、夜道を照らし、道ゆく人々を楽しませるように、個人の家々が室外に電飾を施していたのです。私は、日本でもこうした文化を取り入れられないかと思案しました。

 2011年、私たちは、大きな震災を経験した神戸から東北へ復興の励ましの明かりを送りたいと考え、「希望のHIKARIを神戸から! KOBE光の都ひまわりプロジェクト」を立ち上げました。被災地の方々は無料招待とし、3カ月で16万8千人もの入場者数を記録。この他にも、長崎のハウステンボスをはじめ、今注目を集めている各地のイルミネーションの立ち上げの企画、運営に携わってきました。
 うれしいことに、青色発光ダイオード(LED)が発明され、今まで出せなかった美しい青を使えるようになりました。また、それによって、消費電力も今までの10分の1に。日本でも住宅をライトアップする個人宅を見かけるようになりました。

 各地でのイルミネーションは、プロジェクションマッピングやたくさんのドローンを使い、ショーとして大がかりになりつつあります。そうした中で、日本イルミネーション協会としては、今一度原点に立ち返り、なんとなくロマンチックなだけじゃなくて、鑑賞した方々の心に明かりをともせるような楽しい企画を展開していきたいと考えています。
 現在、私たちは、地元である大阪城西の丸庭園で、大阪にちなんだ歴史と文化をテーマにイルミナージュを行っています。大阪弁の光のメッセージを配していますので、ご家族やお友達へ口に出して言えないことを伝えるいいチャンスになるかもしれません。

 私たちに限らず、近年、光のトンネルをくぐったり、展示の中に入るなどの鑑賞者参加型のものが増えています。ぜひ、大人の方にも童心に返って楽しんでいただけたらと思います。
 最後に、一番のおすすめを申し上げます。それは、点灯の瞬間に立ち会うこと。点灯時間は、それぞれのイルミネーションの紹介ホームページに記載されているかと思います。事前に調べて、点灯開始時間よりも少し早くに到着しましょう。仲間たちと時計を見ながらカウントダウン。まるで自分たちが、大きなイルミネーションに魂を吹き込んだかのような感動を味わえるはずです。

〈楽しむポイント〉
☆暖かい服装で
☆メッセージを見逃さない
☆ただ眺めるだけでなく企画に参加して楽しむ
☆点灯の瞬間に立ち会う

 【写真提供:日本イルミネーション協会】

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