創価教育
【電子版先行】なぜ「異学年交流」で子どもは伸びるのか――授業ルポ 東京創価小学校 2026年6月24日
童謡の「一年生になったら」は、小学校で「友達が100人できるといいな」という願いを歌っています。東京創価小学校に入学して待っているのは、友達との出会いだけではありません。学年を超えて支え、遊び、学び合う“きょうだい”のようなつながりが日常に根付いています。創価教育の父・牧口常三郎先生が小学校教育で大切にした異学年交流――東京創価小学校の「図書」や「算数」の授業から、子どもたちが大きく伸びる理由を探りました。(取材=大宮将之、近藤翔平)
②相手を思いやる心が育つ
③学びがつながり、深まる
先月末に行われた東京創価小学校の授業参観日。保護者向けセミナーの講師として来校した「こどもコンサルタント」の原坂一郎さんは、教室を見て回りながら何度も足を止めました。
「先生たちが、まず明るい。授業も素晴らしい。子どもたちは自信をもって自由に発言し、笑い声も響いている。先生の一言で引き締まるメリハリもある」
全国各地の教育現場を訪ね歩いてきた原坂さんは、異年齢同士の交流の意義にも言及しました。
「上級生は下級生のお世話をしながら、先輩としての誇りと自覚が芽生えていく。下級生は『自分もこうなりたいな』という憧れを抱く。交流を一時的なイベントとして行う所は多いですが、創価小学校は日常的な取り組みとしている点に大きな意味がありますね」
そうした光景が今月4日に見られました。図書室なのに、にぎやかです。2年生が1年生に読み聞かせをしています。両者は「なかよし学年」。決まったペアで1年間、主に授業や行事の時間に交流しています。
「どれを読もうかな」。本選びもペアで相談です。2年生は1年生の「読書の記録」をのぞき込みながら「どれがいい?」「これはおもしろかったよ」と声をかけます。各学年には「推薦図書50冊」があり、その中から本を選ぶのです。
どの棚にどの本があるのか、先輩たちはよく知っています。読み聞かせるのも上手です。中には、絵本の言葉のリズムが心地よく、2人で体を左右に揺らしながら“唱和”しているペアもいました。楽しさのうちに「推薦図書が、1冊読めた!」という“挑戦の手応え”を、1年生は得ます。その横顔を見る2年生も、どこか誇らしげ。
交流は、子どもたちの心にも確かな変化をもたらしています。後日取材した2年生の保護者が、わが子の成長を語ってくれました。
「1年生の頃は人見知りが激しくて、友達ともうまく話せず……。しばらくの間は、登校にも不安がありました」。それが図書交流を重ねる中、読書が大好きに。進級すると自ら「読み聞かせをしたい」と言い、準備を始めたそうです。
実際、その児童が1年生に読み聞かせる姿は印象的でした。表情を確かめながら、語りかけるように本を読む。ページをめくるしぐさにも、“伴走”するような温かさがありました。
1年生と5年生が一緒に「算数」の授業をやると聞いて、「本当にできるの?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。「5年生が1年生に教えるだけなら、5年生自身の学びにはならないのでは?」。そんな声も聞こえてきそうです。
答えは、6月10日の2限目の教室にありました。双方の学びがつながって、深まるように――。両学年の算数担当教員が練り上げた合同授業です。
5年生と1年生は「きょうだい学年」としてペアをつくり、入学式から交流しています。5年生は、1年生が学校生活を送るための手伝いをして、休み時間や行事の間も一緒に過ごします。そのため、互いのこともよく知っています。
5年生に与えられたミッションは二つ。一つ目は授業の冒頭、5年生だけで取り組みます。「小数点のある割り算の問題」を解き、「なぜその答えになるのか」を自分の言葉で説明できるようにするのです。もう一つのミッションが1年生と合流後、後輩が取り組む問題のサポートです。
まず一つ目の課題。「2.5メートルのリボンを、0.7メートルずつ切り分けます。何人に配れて、何メートル余るでしょう?」。5年生はワークシートに鉛筆を走らせます。
この間、1年生は別のスペースで、教員から“物語風”の問題を出されていました。
「ここに宝箱が二つあります。それぞれ10個ずつお星さまが詰まっています。そのお星さまが夜空に飛び出しました。あとから5個の星も加わりました。7個ずつ手をつないで、天の川をつくることになりました。天の川は、いくつできるかな? それを、絵に描いてみましょう」
ここで、5年生が合流。1年生が絵のイメージを持てるよう、適切な言葉を探します。東京創価小学校では「答えが分かるためにも絵や図で表すことが大事」と教えています。数字だけで考えるのではなく、問題が示す状況を具体的にイメージする力を育てるためです。基礎・基本の力を大切に、その力を生かせる場を工夫してつくっています。
1年生が思い思いの絵を描いていきます。すると、5年生のある児童がつぶやきました。「あれ? これって、さっき自分たちがやった問題と同じじゃん」
実は、5年生と1年生の問題はどちらも「いくつのグループができて、いくつ余るか」を考える問題でした。合計25個の星を7個ずつ手をつながせて天の川をつくることも、2.5メートルのリボンを0.7メートルずつ切り分けることも、考え方は同じだったのです。
1年生は、まだ割り算を習っていません。しかし1年生が描いた絵には、“物語”からイメージされる光景が、しっかり表現されていました。5年生は1年生に分かる言葉に置き換えて説明する中で、自分たちが学んだ割り算の意味を捉え直していたのです。
双方から声が上がりました。
「おもしろいねえ」