東京・創価高校(小平市)の生徒の代表が、文部科学省等が主催する「2022年度全国高校生フォーラム」に出場。同校の生徒が制作した「核廃絶カードゲーム」について研究発表し、参加した国内外の122校の中から、生徒の投票によって上位4校に贈られる「生徒投票賞」を受賞した。今回の「創価学園NAVI」では、このゲームの制作と研究を進めた、同校の選抜プログラム「GLP(グローバル・リーダーズ・プログラム)」の取り組みを取材した。
東京・創価高校(小平市)の生徒の代表が、文部科学省等が主催する「2022年度全国高校生フォーラム」に出場。同校の生徒が制作した「核廃絶カードゲーム」について研究発表し、参加した国内外の122校の中から、生徒の投票によって上位4校に贈られる「生徒投票賞」を受賞した。今回の「創価学園NAVI」では、このゲームの制作と研究を進めた、同校の選抜プログラム「GLP(グローバル・リーダーズ・プログラム)」の取り組みを取材した。
“保有国”を疑似体験
“保有国”を疑似体験
国内外の高校生が、グローバルな社会課題の解決に向けた提案を英語で発表する「2022年度全国高校生フォーラム」(主催=文部科学省、筑波大学)が昨年12月18日、オンラインで開催された。
発表者は、122校の高校生たち。文科省がイノベーティブ(革新的)なグローバル人材の育成を目指して進めている教育事業「スーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワーク」と「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」に参加する高校の生徒だ。
“未来を担う若き英才”が一堂に会する全国高校生フォーラムにおいて、東京・創価高校は、「核廃絶カードゲームの効果とその検証」をテーマに研究発表。参加した生徒の投票によって上位4校に贈られる「生徒投票賞」を受賞した。
「自分たちで主体的に学び、導き出した核廃絶への提案が、多くの高校生から評価されて、とてもうれしい」と、プレゼンテーションを行った宮原釉香さん(2年)は、目を輝かせる。
創価高校では、フォーラムに向けて、生徒の代表11人がチームを結成。昨年度、同校の生徒が制作した「核廃絶カードゲーム」を題材に、分析班と発表班に分かれて準備を進めてきた。約50人の友人から協力を得て、実際にゲームを実施する前と後でどのような意識の変化があったのか、調査・分析を行った。
「核保有国の心理状態を疑似体験できることや、核兵器に関わる条約の意味、核使用におけるコスト面の負担など、客観的な知識が増えることも、このゲームの特長です」と、分析班を担当した加藤大輝さん(2年)。
フォーラムでは、カードゲームを通して、多角的な視点から核兵器の問題を学ぶことで、より具体的に核兵器廃絶への行動を起こせるようになることを訴え、審査員からも「論拠を持って、よく分析している」と、高い評価を得た。
国内外の高校生が、グローバルな社会課題の解決に向けた提案を英語で発表する「2022年度全国高校生フォーラム」(主催=文部科学省、筑波大学)が昨年12月18日、オンラインで開催された。
発表者は、122校の高校生たち。文科省がイノベーティブ(革新的)なグローバル人材の育成を目指して進めている教育事業「スーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワーク」と「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」に参加する高校の生徒だ。
“未来を担う若き英才”が一堂に会する全国高校生フォーラムにおいて、東京・創価高校は、「核廃絶カードゲームの効果とその検証」をテーマに研究発表。参加した生徒の投票によって上位4校に贈られる「生徒投票賞」を受賞した。
「自分たちで主体的に学び、導き出した核廃絶への提案が、多くの高校生から評価されて、とてもうれしい」と、プレゼンテーションを行った宮原釉香さん(2年)は、目を輝かせる。
創価高校では、フォーラムに向けて、生徒の代表11人がチームを結成。昨年度、同校の生徒が制作した「核廃絶カードゲーム」を題材に、分析班と発表班に分かれて準備を進めてきた。約50人の友人から協力を得て、実際にゲームを実施する前と後でどのような意識の変化があったのか、調査・分析を行った。
「核保有国の心理状態を疑似体験できることや、核兵器に関わる条約の意味、核使用におけるコスト面の負担など、客観的な知識が増えることも、このゲームの特長です」と、分析班を担当した加藤大輝さん(2年)。
フォーラムでは、カードゲームを通して、多角的な視点から核兵器の問題を学ぶことで、より具体的に核兵器廃絶への行動を起こせるようになることを訴え、審査員からも「論拠を持って、よく分析している」と、高い評価を得た。
高校生ができること
高校生ができること
宮原さんや加藤さんをはじめ、今回のフォーラムへの取り組みに携わったのは、創価高校が実施する、選抜型教育プログラム「GLP(グローバル・リーダーズ・プログラム)」の生徒たちである。
GLPでは、主に2・3年生の希望者を対象に、核廃絶に関する先進的な授業を実施。核兵器に関する基礎知識、研究や分析の手法を学ぶことに加え、国内外の識者との懇談会なども行い、“核廃絶のために何ができるのか”を生徒同士で議論する。
こうした学びの中で、昨年度、GLPの生徒たちによって制作されたのが、「核廃絶カードゲーム」だった。
制作の中心者を務めた前田将太さん(3年)は語る。
「GLPで議論する中で、高校生の立場でできる核廃絶への挑戦は、“多くの高校生に核に関する知識や興味を持ってもらうことではないか”という結論に至ったんです」
核問題に関する主張大会や意識啓発のためのTシャツ作りなど、さまざまなアイデアが出る中で、核兵器の持つ複雑な問題をより身近に考えられる「カードゲーム」が良いと、意見がまとまった。
「ゲームの中に核兵器に関するクイズを取り入れ、核問題について関心を持って学べるよう工夫しました。また、SDGs(持続可能な開発目標)カードや、ヒューマンエラー(人為的ミス)カードなども加え、核兵器の使用による環境面への影響や、核を保有することの不安定さも実感できるゲームにしました」
GLPを担当する石野正好教諭は振り返る。
「当初、“発想はおもしろいが、ルール設定が難しいのでは”と心配していましたが、生徒たちは何度も議論を重ねて、自分たちで、このゲームを作り上げました。この自発的な行動がきっかけとなって、同世代の高校生に核廃絶への意識を広げられたことは、素晴らしいことです」
宮原さんや加藤さんをはじめ、今回のフォーラムへの取り組みに携わったのは、創価高校が実施する、選抜型教育プログラム「GLP(グローバル・リーダーズ・プログラム)」の生徒たちである。
GLPでは、主に2・3年生の希望者を対象に、核廃絶に関する先進的な授業を実施。核兵器に関する基礎知識、研究や分析の手法を学ぶことに加え、国内外の識者との懇談会なども行い、“核廃絶のために何ができるのか”を生徒同士で議論する。
こうした学びの中で、昨年度、GLPの生徒たちによって制作されたのが、「核廃絶カードゲーム」だった。
制作の中心者を務めた前田将太さん(3年)は語る。
「GLPで議論する中で、高校生の立場でできる核廃絶への挑戦は、“多くの高校生に核に関する知識や興味を持ってもらうことではないか”という結論に至ったんです」
核問題に関する主張大会や意識啓発のためのTシャツ作りなど、さまざまなアイデアが出る中で、核兵器の持つ複雑な問題をより身近に考えられる「カードゲーム」が良いと、意見がまとまった。
「ゲームの中に核兵器に関するクイズを取り入れ、核問題について関心を持って学べるよう工夫しました。また、SDGs(持続可能な開発目標)カードや、ヒューマンエラー(人為的ミス)カードなども加え、核兵器の使用による環境面への影響や、核を保有することの不安定さも実感できるゲームにしました」
GLPを担当する石野正好教諭は振り返る。
「当初、“発想はおもしろいが、ルール設定が難しいのでは”と心配していましたが、生徒たちは何度も議論を重ねて、自分たちで、このゲームを作り上げました。この自発的な行動がきっかけとなって、同世代の高校生に核廃絶への意識を広げられたことは、素晴らしいことです」
こうした自発的な学習を促すため、GLPでは、現地を訪れて研究を深めるフィールドワークや、国際会議などへの参加にも取り組んでいる。
2年生の終わりには、日米露の高校生による核兵器廃絶問題に関する国際会議「クリティカル・イシューズ・フォーラム」(主催=米国ミドルベリー国際大学院モントレー校ジェームズ・マーティン不拡散研究センター)に、代表者が参加してきた。
同研究センターの研究員を務める土岐雅子氏は語る。
「軍縮や核廃絶に関する分野の一番の問題点は、議論が複雑で難しいため、世界的に若い世代の関心が薄くなっていることです。だからこそ高校生の若い発想で、同世代に核廃絶の意識を啓発する今回の『カードゲーム』は、良い意味で、核兵器を学ぶハードルを下げることができる、非常に価値のある取り組みです。特にSDGsの内容をゲームに加えたことは、核兵器と人種差別、核兵器とジェンダーなど、近年、さまざまな問題と合わせて核問題を考える世界の潮流とも合致しており、とても感心しました」
こうした自発的な学習を促すため、GLPでは、現地を訪れて研究を深めるフィールドワークや、国際会議などへの参加にも取り組んでいる。
2年生の終わりには、日米露の高校生による核兵器廃絶問題に関する国際会議「クリティカル・イシューズ・フォーラム」(主催=米国ミドルベリー国際大学院モントレー校ジェームズ・マーティン不拡散研究センター)に、代表者が参加してきた。
同研究センターの研究員を務める土岐雅子氏は語る。
「軍縮や核廃絶に関する分野の一番の問題点は、議論が複雑で難しいため、世界的に若い世代の関心が薄くなっていることです。だからこそ高校生の若い発想で、同世代に核廃絶の意識を啓発する今回の『カードゲーム』は、良い意味で、核兵器を学ぶハードルを下げることができる、非常に価値のある取り組みです。特にSDGsの内容をゲームに加えたことは、核兵器と人種差別、核兵器とジェンダーなど、近年、さまざまな問題と合わせて核問題を考える世界の潮流とも合致しており、とても感心しました」
人生をかけて挑む
人生をかけて挑む
こうしたGLPの学びは、生徒たちのその後の人生にも大きな影響を与えている。
19年度卒業生の舞大樹さんも、GLPの学びを原点に平和のために奮闘する一人。
「学園時代に、アメリカやロシアの高校生と意見交換し、核軍縮の第一線で活躍する識者や研究者の話を直接聞けた経験は、大きな財産になっています。またGLPの生徒同士で、“どうしたら核軍縮ができるのか”と何度も議論したことも、現在の学びの原動力になっています」
現在、早稲田大学政治経済学部で国際安全保障を専門に研究を進める舞さん。昨年には、スウェーデンのストックホルム大学に留学。国際平和の分野で影響力を持つ「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」の研究者たちにインタビューを行うなど、交流を重ね、早稲田大学とのネットワーク構築に貢献した。
それをきっかけに、舞さんが調整役を担う形で、SIPRIと早稲田大学の学術的な交流に発展。世界各国の軍事費、兵器の生産・移転、軍縮状況などが載る『SIPRI年鑑』を要約した「日本語版」を早稲田大学が発刊する運びになり、舞さんも翻訳に携わった。
「『SIPRI年鑑』の日本語版が完成したことで、これまで英語文献が苦手で核の問題に深く踏み込めなかった方々にも、世界最新の研究の門戸を開くことができました。うれしく思います」
舞さんは今夏、パリ政治学院に交換留学し、同学院の核兵器のリサーチセンターで学びを深める予定だ。
「創立者の池田先生が呼びかけ続ける核なき世界の実現に貢献できる“大樹”へと成長していきます!」
こうしたGLPの学びは、生徒たちのその後の人生にも大きな影響を与えている。
19年度卒業生の舞大樹さんも、GLPの学びを原点に平和のために奮闘する一人。
「学園時代に、アメリカやロシアの高校生と意見交換し、核軍縮の第一線で活躍する識者や研究者の話を直接聞けた経験は、大きな財産になっています。またGLPの生徒同士で、“どうしたら核軍縮ができるのか”と何度も議論したことも、現在の学びの原動力になっています」
現在、早稲田大学政治経済学部で国際安全保障を専門に研究を進める舞さん。昨年には、スウェーデンのストックホルム大学に留学。国際平和の分野で影響力を持つ「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」の研究者たちにインタビューを行うなど、交流を重ね、早稲田大学とのネットワーク構築に貢献した。
それをきっかけに、舞さんが調整役を担う形で、SIPRIと早稲田大学の学術的な交流に発展。世界各国の軍事費、兵器の生産・移転、軍縮状況などが載る『SIPRI年鑑』を要約した「日本語版」を早稲田大学が発刊する運びになり、舞さんも翻訳に携わった。
「『SIPRI年鑑』の日本語版が完成したことで、これまで英語文献が苦手で核の問題に深く踏み込めなかった方々にも、世界最新の研究の門戸を開くことができました。うれしく思います」
舞さんは今夏、パリ政治学院に交換留学し、同学院の核兵器のリサーチセンターで学びを深める予定だ。
「創立者の池田先生が呼びかけ続ける核なき世界の実現に貢献できる“大樹”へと成長していきます!」
今回、取材の中で、記者も宮原さん、加藤さんと一緒にカードゲームを行ってみた。その中で聞いた、2人の言葉が忘れられない。
「核について学べば学ぶほど池田先生が訴える『核兵器の先制不使用』の重要性を深く実感するんです。また同時に、同世代に意識をもってもらうことの難しさも感じます。だからこそ、“僕たちがやらなきゃ、誰がやるんだ”と思います」(加藤さん)
「学ぶ中で『平和な世界はつくれるのか』という疑問に、はっきりとした答えを出せず悩んできました。だけど、平和はつくろうとする人がいなければ、絶対に実現しない。学園の校歌には〈平和をめざすは何のため 輝く友の道拓く〉とあります。大切な友のために理想を目指そうと決意した時、困難な課題に挑むことが楽しいと思えるようになりました。人生をかけて、喜んで、平和建設への挑戦を続けます」(宮原さん)
創立者の思いは、学園生の胸に、しっかりと受け継がれている。
※ご感想をお寄せください。
kansou@seikyo-np.jp
※創価学園NAVIのバックナンバーが無料で読めます(会員登録は不要です)
https://www.seikyoonline.com/rensaimatome/gakuennavi.html
今回、取材の中で、記者も宮原さん、加藤さんと一緒にカードゲームを行ってみた。その中で聞いた、2人の言葉が忘れられない。
「核について学べば学ぶほど池田先生が訴える『核兵器の先制不使用』の重要性を深く実感するんです。また同時に、同世代に意識をもってもらうことの難しさも感じます。だからこそ、“僕たちがやらなきゃ、誰がやるんだ”と思います」(加藤さん)
「学ぶ中で『平和な世界はつくれるのか』という疑問に、はっきりとした答えを出せず悩んできました。だけど、平和はつくろうとする人がいなければ、絶対に実現しない。学園の校歌には〈平和をめざすは何のため 輝く友の道拓く〉とあります。大切な友のために理想を目指そうと決意した時、困難な課題に挑むことが楽しいと思えるようになりました。人生をかけて、喜んで、平和建設への挑戦を続けます」(宮原さん)
創立者の思いは、学園生の胸に、しっかりと受け継がれている。
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kansou@seikyo-np.jp
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●核廃絶カードゲームをやってみよう
●核廃絶カードゲームをやってみよう
以下の創価高校のサイトにアクセスすると、「核廃絶カードゲーム」のルールの詳細が閲覧でき、カードのデータファイルをダウンロードできます。印刷してご使用ください。
https://tokyo-senior.soka.ed.jp/sgh/nuke-cardgame.html
以下の創価高校のサイトにアクセスすると、「核廃絶カードゲーム」のルールの詳細が閲覧でき、カードのデータファイルをダウンロードできます。印刷してご使用ください。
https://tokyo-senior.soka.ed.jp/sgh/nuke-cardgame.html
●今月、東西学園でオープンキャンパス
●今月、東西学園でオープンキャンパス
今月(2023年3月)、東西の創価学園でオープンキャンパスが行われる。キャンパスツアーや体験授業、クラブ見学、教員・生徒らによる相談コーナーなど、各校で工夫を凝らした企画が準備されている。日程は次の通り。
◇
〈創価高校・中学校・東京創価小学校(東京・小平市)〉
◎オープンキャンパス=2023年3月26日(日)
〈関西創価高校・中学校(大阪・交野市)〉
◎オープンキャンパス=2023年3月19日(日)
〈関西創価小学校(大阪・枚方市)〉
◎オープンスクール=2023年3月26日(日)
※各行事の詳細の確認、申し込み等は、各校のホームページを参照してください。
今月(2023年3月)、東西の創価学園でオープンキャンパスが行われる。キャンパスツアーや体験授業、クラブ見学、教員・生徒らによる相談コーナーなど、各校で工夫を凝らした企画が準備されている。日程は次の通り。
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〈創価高校・中学校・東京創価小学校(東京・小平市)〉
◎オープンキャンパス=2023年3月26日(日)
〈関西創価高校・中学校(大阪・交野市)〉
◎オープンキャンパス=2023年3月19日(日)
〈関西創価小学校(大阪・枚方市)〉
◎オープンスクール=2023年3月26日(日)
※各行事の詳細の確認、申し込み等は、各校のホームページを参照してください。