初夏の季語である「薫風」とは、青葉の香りを運んでくるような、爽やかな風を表現したもの。この「薫」という字は、花や香水のように、実際に匂いを感じる「香」とは違い、比喩的・抽象的な言葉として用いられる▼かねてから人々は、人生の折々に匂いを感じてきた。「その人の足あとふめば風薫る」（正岡子規）、「押さへてもふくらむ封書風薫る」（八染藍子）と。それは人が人と交わる時の“薫り”だろう▼広島のある壮年部員は、毎年5月の大型連休に友の元へ足を運ぶ。親戚や同窓生、元同僚……。70歳を過ぎ、「訪ねてくるのはお前くらい」と、皆が心待ちにしてくれる。元々は引っ込み思案な性格で、今でも会う前は緊張するという。だからこそ「真剣に祈ってから行くんじゃ」と。誠実に語る中で、皆が学会の理解者となり、「心薫る交流が続いている」と言う▼仏法には、生命の内側から仏性が薫り出ることで、それに引かれて他の生命の仏性が働き始め、外から守る働きが現れる「内薫外護」の法理がある。それは、自分自身が信心の実践をすることから始まる▼友の幸福を真剣に祈り、勇気を出して対話の風を起こす。その挑戦の中で、薫り豊かな心の交流が織り成されていく。（子）

　初（しょ）夏（か）の季（き）語（ご）である「薫（くん）風（ぷう）」とは、青葉の香（かお）りを運んでくるような、爽（さわ）やかな風を表現したもの。この「薫」という字は、花や香（こう）水（すい）のように、実際に匂（にお）いを感じる「香」とは違い、比（ひ）喩（ゆ）的（てき）・抽（ちゅう）象（しょう）的（てき）な言葉として用（もち）いられる▼かねてから人々は、人生の折（おり）々（おり）に匂いを感じてきた。「その人の足あとふめば風薫（かお）る」（正岡子（し）規（き））、「押さへてもふくらむ封（ふう）書（しょ）風薫る」（八（や）染（そめ）藍（あい）子（こ））と。それは人が人と交（まじ）わる時の“薫り”だろう▼広島のある壮年部員は、毎年5月の大型連休に友の元へ足を運（はこ）ぶ。親（しん）戚（せき）や同（どう）窓（そう）生（せい）、元（もと）同（どう）僚（りょう）……。70歳を過ぎ、「訪（たず）ねてくるのはお前くらい」と、皆（みな）が心待ちにしてくれる。元々は引（ひ）っ込（こ）み思（じ）案（あん）な性格で、今でも会う前は緊（きん）張（ちょう）するという。だからこそ「真（しん）剣（けん）に祈（いの）ってから行くんじゃ」と。誠（せい）実（じつ）に語る中で、皆が学会の理解者となり、「心薫る交流が続いている」と言う▼仏法には、生命の内側から仏（ぶっ）性（しょう）が薫り出ることで、それに引かれて他の生命の仏性が働き始め、外から守る働きが現れる「内（ない）薫（くん）外（げ）護（ご）」の法（ほう）理（り）がある。それは、自分自身が信心の実（じっ）践（せん）をすることから始まる▼友の幸福を真剣に祈り、勇気を出して対話の風を起（お）こす。その挑（ちょう）戦（せん）の中で、薫り豊（ゆた）かな心の交流が織（お）り成（な）されていく。（子）