名字の言(紙面)

〈名字の言〉 2026年6月24日

 座談会の会場に入ると「お邪魔します」よりも「ただいま」と言いたくなる。実家と同じような“匂い”がするからだ。芳香剤などの香りではない。迎える創価家族が醸し出す香気だ▼嗅覚は視覚などに比べ、ほのかで捉え難い。だが人間の内部に訴えてくると、詩人・谷川俊太郎氏は言う。「我々の精神なるものも無臭ではあり得ない。肉体と同じくそれは個々の匂いをもっている」(『「ん」まであるく』草思社)▼吹奏楽部に所属する女子未来部員がいる。同級生が部長などを務める中、彼女には正式な役職はなかった。ただ引退する先輩は、彼女に「皆を和ませるアロマのような存在に」と期待を寄せた▼アロマは英語で「香り」。引っ込み思案な彼女は、その役目を果たそうと勇気を出して後輩に話しかけ、ソロ演奏も率先。気付けば皆も積極的に練習に励むようになり、文化祭で最高の演奏ができたという。彼女は「周囲を薫らせるために自分が薫る。それがアロマの役割なんだと気付きました」と語る▼「向上している人には『努力の香り』がある。『鍛錬の香り』が、若木の香気のように、かんばしく匂ってくる」と池田先生。わが生命の香りで周囲を温かく包み込む。そんな振る舞いでありたい。(子)