日本屈指の鍾乳洞「秋芳洞」。今回、小学校以来行ったことがない記者が、数十年ぶりに訪れた。一歩足を踏み入れると、そこは別世界。天井から、つららのように伸びる鍾乳石。削り取られたかのようなゴツゴツした岩肌がある一方で、ヤスリがかけられたように滑らかな岩も。何枚もの皿を重ねたような「百枚皿」。「南瓜岩」「大松茸」といったネーミングもユニークだ。地面の下に、こんな大空間があるのかと思わず感嘆の声が漏れる。
圧巻は「黄金柱」。ネットの情報や、写真では分からない、存在感がそこにある。冒険コースは、整備されてないが故の、自然との一体感を抱く。コース最後には、鍾乳洞を上から見下ろす絶景ポイントも。ワクワクドキドキの鍾乳洞。涼しさもあり、夏のアクティビティに最高だ。
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新幹線「新山口」駅からバスで35分。日本最大級の鍾乳洞・秋芳洞。バス停「秋芳洞」から徒歩5分ほどのところに正面入り口がある。朝8時30分。鍾乳洞のオープンの時間に訪れた。
日本屈指の鍾乳洞「秋芳洞」。今回、小学校以来行ったことがない記者が、数十年ぶりに訪れた。一歩足を踏み入れると、そこは別世界。天井から、つららのように伸びる鍾乳石。削り取られたかのようなゴツゴツした岩肌がある一方で、ヤスリがかけられたように滑らかな岩も。何枚もの皿を重ねたような「百枚皿」。「南瓜岩」「大松茸」といったネーミングもユニークだ。地面の下に、こんな大空間があるのかと思わず感嘆の声が漏れる。
圧巻は「黄金柱」。ネットの情報や、写真では分からない、存在感がそこにある。冒険コースは、整備されてないが故の、自然との一体感を抱く。コース最後には、鍾乳洞を上から見下ろす絶景ポイントも。ワクワクドキドキの鍾乳洞。涼しさもあり、夏のアクティビティに最高だ。
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新幹線「新山口」駅からバスで35分。日本最大級の鍾乳洞・秋芳洞。バス停「秋芳洞」から徒歩5分ほどのところに正面入り口がある。朝8時30分。鍾乳洞のオープンの時間に訪れた。
この日の気温は29度。湿度73%。
この日の気温は29度。湿度73%。
案内所を兼ねる正面入り口から、鍾乳洞へと小川沿いの歩道が続いている。入り口からは、洞窟は見えない。高い木々から漏れる日差しは少し涼しげだ。空気が澄んで、神聖さを感じる。少し進むと、山壁を引き裂いたような、高さ20メートル、幅8メートルのぽっかりとした穴が現れた。洞窟から溢れ出る地下水の勢いが強く、白く泡立っている。
案内所を兼ねる正面入り口から、鍾乳洞へと小川沿いの歩道が続いている。入り口からは、洞窟は見えない。高い木々から漏れる日差しは少し涼しげだ。空気が澄んで、神聖さを感じる。少し進むと、山壁を引き裂いたような、高さ20メートル、幅8メートルのぽっかりとした穴が現れた。洞窟から溢れ出る地下水の勢いが強く、白く泡立っている。
スロープを上がり、鍾乳洞の中へ。朝早いからか、周りに人はいない。一人で、水のごう音にのみ込まれていく。頭上から、キイキイと聞こえる高音。何かの生き物? 暗闇に目が慣れていないせいか、暗い。洞窟の照明って、こんなに暗いの? 非日常を越え、まるで異世界。ぞわぞわと恐怖心が湧き上がる。昨夜、『怪談刑事』なんて読むんじゃなかった。紛らわすための、独り言が止まらない。
スロープを上がり、鍾乳洞の中へ。朝早いからか、周りに人はいない。一人で、水のごう音にのみ込まれていく。頭上から、キイキイと聞こえる高音。何かの生き物? 暗闇に目が慣れていないせいか、暗い。洞窟の照明って、こんなに暗いの? 非日常を越え、まるで異世界。ぞわぞわと恐怖心が湧き上がる。昨夜、『怪談刑事』なんて読むんじゃなかった。紛らわすための、独り言が止まらない。
少し歩くと、「百枚皿」が現れる。自然が作り出す造形。形の面白さに心が動き、いつの間にか、怖さも薄らいでいた。
少し歩くと、「百枚皿」が現れる。自然が作り出す造形。形の面白さに心が動き、いつの間にか、怖さも薄らいでいた。
南瓜岩に、大松茸。食べ物が多い。「確かにそう見える」と、ネーミングについつい顔がほころぶ。
南瓜岩に、大松茸。食べ物が多い。「確かにそう見える」と、ネーミングについつい顔がほころぶ。
余裕が生まれたところで、一度、周りを見渡す。広い。とにかく広い。秋芳洞は、秋吉台国定公園の地下100mにある。総延長11.2㎞で、観光コースはそのうちの1㎞。百万年にわたる地下水による溶食作用と地下水位の低下や洞窟生成物の発達などによって、今の洞窟空間が出来上がったと考えられている。「この上には、大地が乗っているのか」「水だけで、こんなに削れるのか」と、考えを巡らせる。
余裕が生まれたところで、一度、周りを見渡す。広い。とにかく広い。秋芳洞は、秋吉台国定公園の地下100mにある。総延長11.2㎞で、観光コースはそのうちの1㎞。百万年にわたる地下水による溶食作用と地下水位の低下や洞窟生成物の発達などによって、今の洞窟空間が出来上がったと考えられている。「この上には、大地が乗っているのか」「水だけで、こんなに削れるのか」と、考えを巡らせる。
資料によれば、洞内は一年通して平均17度だが、持参した温度計は22.9度。場所によって、違いがあるのか。半袖で、ちょうどよかった。
資料によれば、洞内は一年通して平均17度だが、持参した温度計は22.9度。場所によって、違いがあるのか。半袖で、ちょうどよかった。
正面入り口から入ると、高低差約40メートルの登りコース。途中には、階段が続く場所もある。転ばないように手すりに手を伸ばす。手すりは、水でべちょべちょだった。
正面入り口から入ると、高低差約40メートルの登りコース。途中には、階段が続く場所もある。転ばないように手すりに手を伸ばす。手すりは、水でべちょべちょだった。
足元に視線を落とし、一歩一歩慎重に上がっていく。上がりきったところで、正面に目を移すと、そびえ立つ「黄金柱」。荘厳さに心を奪われる。洞窟探検家の吉田勝次さんは取材時に「ネットを見て抱いたイメージと、現地で見る大きさは違います。狭い通路を通り抜けて出合った空間は、わずか数メートルでも、すごく大きいと感じる」と言っていた。あの感覚はこれかと、独りごちた。
足元に視線を落とし、一歩一歩慎重に上がっていく。上がりきったところで、正面に目を移すと、そびえ立つ「黄金柱」。荘厳さに心を奪われる。洞窟探検家の吉田勝次さんは取材時に「ネットを見て抱いたイメージと、現地で見る大きさは違います。狭い通路を通り抜けて出合った空間は、わずか数メートルでも、すごく大きいと感じる」と言っていた。あの感覚はこれかと、独りごちた。
途中トンネルを進み、本洞から黒谷支洞へ。
途中トンネルを進み、本洞から黒谷支洞へ。
これまでと違った印象のゴツゴツした岩が並ぶ。
これまでと違った印象のゴツゴツした岩が並ぶ。
正面入り口と反対の黒谷入り口まで進むと、湿気がすごく、ついに測定不能になっていた。
正面入り口と反対の黒谷入り口まで進むと、湿気がすごく、ついに測定不能になっていた。
秋芳洞の入り口は、正面入り口と黒谷入り口がある。二つは洞窟内でつながっており、どちらからでも入退場できる。高低差があるので正面からは上り、黒谷からは下りとなる。ただ、それぞれの入り口は離れているので、入った入り口に帰るには、折り返す必要がある。黒谷入り口の受付の人と話をすると、正面入り口近くにバイパスのようにある冒険コースから絶景が望めると教えてくれた。コースを折り返し始める。オープンから時間が経過したからか、洞内にもちらほらと人が増え、帰りのコースでは、たびたび人とすれ違う。人の姿が見えるだけで、こんなに安心するとは。ライトが水蒸気に当たり、幻想的な光の筋が洞窟を演出する。
秋芳洞の入り口は、正面入り口と黒谷入り口がある。二つは洞窟内でつながっており、どちらからでも入退場できる。高低差があるので正面からは上り、黒谷からは下りとなる。ただ、それぞれの入り口は離れているので、入った入り口に帰るには、折り返す必要がある。黒谷入り口の受付の人と話をすると、正面入り口近くにバイパスのようにある冒険コースから絶景が望めると教えてくれた。コースを折り返し始める。オープンから時間が経過したからか、洞内にもちらほらと人が増え、帰りのコースでは、たびたび人とすれ違う。人の姿が見えるだけで、こんなに安心するとは。ライトが水蒸気に当たり、幻想的な光の筋が洞窟を演出する。
正面入り口近くに設置された、冒険コース。看板には「小さな勇気で大きな感動」の文字が躍る。うまく言ったものだ。初手からはしご。これまでのコースとの違いを見せつけられる。
正面入り口近くに設置された、冒険コース。看板には「小さな勇気で大きな感動」の文字が躍る。うまく言ったものだ。初手からはしご。これまでのコースとの違いを見せつけられる。
道なのか、階段なのか。手すりを頼りに岩場を登る。握る手に力がこもる。
道なのか、階段なのか。手すりを頼りに岩場を登る。握る手に力がこもる。
順路の指示がない。果たして、この道で合っているのか。正解が分からないことが最大の恐怖。かがまないと通れない通路。「頭上注意」。高いところに上がってみると、驚くような蒸し暑さ。温度計を取り出してみるが、23度。体感と、温度計との差が激しい。文字では伝わらない空気感がもどかしい。
順路の指示がない。果たして、この道で合っているのか。正解が分からないことが最大の恐怖。かがまないと通れない通路。「頭上注意」。高いところに上がってみると、驚くような蒸し暑さ。温度計を取り出してみるが、23度。体感と、温度計との差が激しい。文字では伝わらない空気感がもどかしい。
大きな洞窟の天井付近からのロケーション。地底空間の高い場所から、全てを見下ろす眺めは絶景だった。下りて、正面入り口から、無事帰還。私の時計は10時を指していた。
上下左右の全てを、自然が作り出した空間に囲まれるというのは、洞窟ならではの経験。巨大なSFのセットの中に立っているような、地球外を訪れた感覚に襲われた。鍾乳洞や海食洞、溶岩洞など、作られ方によって分類分けはあるが、一つとして同じ形はない。次は、はわないと通れないような小さな洞窟や、ケイビング(洞窟探検)にも行ってみたいなと、冒険心がかき立てられた。
大きな洞窟の天井付近からのロケーション。地底空間の高い場所から、全てを見下ろす眺めは絶景だった。下りて、正面入り口から、無事帰還。私の時計は10時を指していた。
上下左右の全てを、自然が作り出した空間に囲まれるというのは、洞窟ならではの経験。巨大なSFのセットの中に立っているような、地球外を訪れた感覚に襲われた。鍾乳洞や海食洞、溶岩洞など、作られ方によって分類分けはあるが、一つとして同じ形はない。次は、はわないと通れないような小さな洞窟や、ケイビング(洞窟探検)にも行ってみたいなと、冒険心がかき立てられた。
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life@seikyo-np.jp
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