聖教ニュース

〈みんなのBOSAIフェスから〉 代表の体験発表(要旨) 2026年6月16日

宮城 石巻市 今野瑠海さん

 震災は、私から兄と祖父を一瞬で奪いました。私には2人と過ごした記憶がありません。それでも、家族が話してくれる2人の姿を思い浮かべるたびに、「もっと一緒にいたかった」「成長した私の姿を見てもらいたかった」と強く思います。
 
 “なぜ2人だったのか”“もし震災がなければ、どんな未来があったのだろう”と、答えのない問いに胸が締め付けられることもあります。
 
 でも私は、ただ悲しみの中で立ち止まっていたくはありません。
 
 兄と祖父が、確かにいたこと、私の中に“2人の愛”が息づいていることを胸に刻み、前を向いて生きていきたいと思います。
 
 私は将来、獣医師になりたいと思っています。その理由の根底には、震災があります。
 
 震災では人間だけでなく、たくさんの動物たちも被害を受けました。津波にのまれて家族とはぐれてしまった動物、けがをした動物などが多くいたことを知りました。動物は、自分の苦しみや恐怖を言葉で伝えることができません。
 
 だからこそ私は、苦しんでいる動物たちを助けられる人になりたいです。また動物だけでなく、その飼い主の心にも寄り添う獣医師になります。
 
 私をかわいがってくれていた兄と祖父、避難所で私の成長を親戚のように見守ってくれた人たち、たくさんの人の思いと愛が、今の私を強く支えてくれています。
 
 震災の悲しみを忘れることはありません。しかし、その悲しみを未来へ進む力に変え、これからも夢に向かって努力し続けます。

岩手 陸前高田市 福田光輝さん

 創価大学卒業後、地元・宮城県の大学院で細菌の研究に励んでいた時に、東日本大震災が発生しました。その翌年、復興を支えたい一心で、被災地の自治体の公務員になりました。
 
 就職したものの、震災後の非日常的な暮らしは耐え難いものでした。次第に人と会うことはもちろん、声を聞くことさえも嫌になり、“このままでは自分の人生は終わってしまう”との絶望感に襲われていました。
 
 そんな私を救ってくれたのは、創価学会の先輩たちです。いつも明るい同志の皆さんと接するうちに、気づけば自分の心が前向きに変わっていました。
 
 “状況を変えたい”と、さまざまな挑戦を重ねる中、“生まれ育った東北の地に希望を”との思いが強くなり、報恩の人生を歩む決意が定まりました。約10年勤めた公務員を辞め、2021年、陸前高田市で復興に従事する企画会社に就職。3年後には、大学院時代の研究の知見を生かし、発酵研究所を立ち上げました。こうじづくりを一から学びつつ、地域の素材と微生物の力を掛け合わせた、新たな商品開発に挑んでいます。
 
 人口減少や産業の空洞化などをはじめ、震災後の復興の課題も多い東北は、“課題先進地”といわれています。その中にあって、泥臭く努力し、未来を切り開くことは、今後、同様の困難に直面する別の国や地域の進路を照らす“希望の明かり”になると、私は確信しています。“最も苦労した人が、最も笑顔になれる世界”を目指して、自分らしく「誓いの人生」を歩み抜いていきます!