新・人間革命に学ぶ

小説「新・人間革命」に学ぶ 第18巻 解説編 池田主任副会長の紙上講座 2020年4月22日

連載〈世界広布の大道〉

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第18巻の「解説編」。池田博正主任副会長の紙上講座とともに、同巻につづられた珠玉の名言を紹介する。
  

紙上講座 池田主任副会長
ポイント
①危機に立ち向かう
②聖教の使命と役割
③「師恩」を報ずる

 「前進」の章では、「オイルショック」(石油危機)について詳しく触れられています。1973年(昭和48年)10月、第4次中東戦争が勃発し、石油価格が高騰しました。買いだめやモノ不足をはじめ、日本社会に混乱が広がり、世界は不況に陥りました。
  
 山本伸一は、こうした社会の混乱の根本原因について、御書の「諫暁八幡抄」を拝しながら、「その背後には、欲望に翻弄され、便利さや快適さばかりを求める人間の生き方がある」(272ページ)と洞察します。
  
 そして、「法華経の行者・日本国に有るならば其の所に栖み給うべし」(御書588ページ)との一節を拝し、諸天善神は、私たちの実践によってその働きを示すのであり、「どこまでも唱題第一に、広宣流布の使命を断じて忘れることなく、智慧を絞り、活路を開くために努力し抜いていくこと」(275ページ)を強調しました。
  
 今、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は大きな危機に直面しています。国連のグテーレス事務総長は、「第2次世界大戦以降で最も困難な危機」との認識を示しました。
 こうした状況の中、医療に従事するドクター部・白樺の友をはじめ、多くの同志が地域・社会のために奮闘してくださっています。
  
 青年部は、新たな“活路を開く”取り組みを開始しました。不要不急の外出を控えることを訴える「stayhome(ステイホーム)プロジェクト」や、青年部と医学者による「オンライン会議」が反響を呼んでいます。さらに、“歌の力”で困難を乗り越えようと、歌づくりのプロセスを共有する参加型プロジェクト「うたつく」(歌をつくろう)の輪も広がっています。
  
 「飛躍」の章は、世界経済の激動の中で幕を開けた74年(同49年)元日から始まります。
  
 当時の同志は、「“今こそ、私たちが立ち上がるのだ。試練の時代だからこそ、仏法を持った私たちが、希望を、勇気を、活力を、社会に発信していくのだ!”」(291ページ)と誓い合いました。私たちの信仰は、逆境を“前進のバネ”へ転じていく力なのです。
  

混迷の社会の羅針盤

 新型コロナウイルスによる活動自粛が続く局面において、聖教新聞が果たす役割は大変に大きい。
  
 池田先生は随筆「生命凱歌の言論城」(本紙20日付)で、「『変毒為薬』と『価値創造』の英知を発信する」聖教の使命を述べられ、「人間への『励まし(エンカレッジ)』と『内発的な力の開花(エンパワーメント)』を促す言葉を紡ぎ、苦難に負けない民衆の心と心をつなぐ柱とならねばならない」と強調されました。
  
 「師子吼」の章では、伸一が、聖教に携わる関係者に対し、時に指針を示し、時に万感の励ましを送る模様が描かれます。
  
 73年5月3日に開催された「全国通信員大会」では、聖教新聞は「読者を『彼』として扱わず、親しい『あなた』として呼びかける新聞である」(68ページ)と確認。記者に対しては、「全読者に対して、喜んでいたら共感を表明し、悲しんでいたら勇気づけ」「混乱したら整理し、弱ったら守る」(同)と具体的にアドバイスをしました。
  
 第18巻につづられる通り、聖教新聞の土台と発展は、師匠の手作りで築かれたものなのです。
  
 昨年9月、「創価学会 世界聖教会館」が竣工し、池田先生は足を運ばれ、聖教の歴史に新たな一ページが刻まれました。そして今月20日、聖教新聞は創刊69周年を迎えました。
  
 世界聖教会館の正面玄関に、「聖教新聞 師弟凱歌の碑」が設置されています。先生は「聖教の使命はあまりにも深く、重い」「此の地から、永久に師弟共戦の師子吼が放ちゆかれることを信ずる」と碑文にとどめられました。
  
 不安が覆う時代だからこそ、「混迷する社会の羅針盤」(204ページ)である聖教新聞は、“人間の機関紙”として、勇気と希望の大師子吼を轟かせてほしいと思います。
  

求道の心燃やし

 恩を感じ、恩に報いるというのは、人類共通の倫理です。日蓮大聖人は、「いかにいわうや仏教をならはん者父母・師匠・国恩をわするべしや」(御書293ページ)と仰せです。
  
 人間は、“父母”と、生まれてくる“国”を選ぶことはできません。しかし、“師匠”は自ら求め、自分の中に定めることができます。
  
 「師恩」の章では、伸一を人生の師と決めた同志たちの奮闘が描かれます。男子部の人材育成グループ「白糸会」のメンバーは、68年(同43年)の結成以来、長きにわたり、伸一から数々の激励を受け、「一途に求道心を燃やし、仏法の師を求め抜いた」(124ページ)のです。
  
 また、鳥取の女子部員は、小児まひがある中で、「’73山陰郷土まつり」で、リズムダンス「梨娘」を披露。「自分の尊き使命を教えてくれた山本会長に、師恩を深く感じながら」(182ページ)練習に励むことで、見事に演じ切ることができました。
  
 同章では、第2代会長・戸田城聖先生の故郷である北海道・厚田村(当時)を舞台にした、伸一の「報恩」のドラマもつづられています。
  
 伸一は、60年(同35年)の第3代会長就任直後、厚田村を訪問。この時、恩師・戸田先生に対する伸一の“師への報恩の思い”に触れた厚田の同志たちは、「山本先生に代わって、戸田先生の故郷を守り抜こう」(137ページ)と立ち上がりました。
  
 そして、“山本先生ならどうされるか”を真剣に考え、師匠と心を合わせ、地域広布に走り抜きました。
  
 厚田の友の地道な行動によって、信頼が大きく広がりました。73年9月には、伸一を招いて「村民の集い」が開催され、戸田先生の思いを受け継いだ「図書贈呈」も行われました。
  
 厚田村の広布の伸展は、伸一の戸田先生に対する、そして厚田の友の伸一に対する報恩の証しでもありました。
  
 「心に師をもって戦う人は強い」「師の心をわが心とする時、弟子もまた師の大境涯に連なり、無限の力が湧く」(140ページ)のです。
  
 師弟不二の道こそ、学会の魂であり、広宣流布の生命線です。池田先生は、戸田先生の「師恩」に報いる行動に徹し抜かれました。
  
 「師恩」とは、弟子が「師匠以上に成長し、法のため、社会のために尽くし抜く」(198ページ)ことにほかなりません。創価三代の師弟の精神を胸に、弟子の道を貫く――それが、私たち池田門下の実践です。
  

名言集
●新たな長所

 自分のハンディや欠点を自覚し、その克服のために、懸命に挑戦を開始する時、それは新たな長所となって輝く。そこに信心の力がある。(「師子吼」の章、14ページ)

●主体者として

 自分は傍観者となり、ただ批判をしているだけでは、破壊ではないか。主体者となって立ち上がろうとしなければ、自分の成長も広宣流布の建設もない。(「師子吼」の章、98ページ)

●自身の跳躍台

 人生には必ず悩みはある。大変だな、辛いなと思うことも、題目を唱え抜いていくならば、むしろ、成長のための養分とし、自身の跳躍台にすることができる。(「師恩」の章、122ページ)

●無明を打ち破れ

 自身の宿命の転換は、人頼みではできないのだ。自らが真剣に信心に励み、無明の雲を破って、わが胸中に仏性の太陽を赫々と輝かせてこそ、可能となるのである。(「前進」の章、220ページ)

●本当の信仰

 本当の信仰は努力の原動力となるものだ。いかなる人生の試練にも屈せぬ自身の力を引き出し、人間を強くするためのものだ。(「前進」の章、228ページ)

●広布を決するもの

 広宣流布は状況のいかんが決するのではない。同志に脈打つ使命感と確信と歓喜ある限り、前進の大道は開かれるのだ。(「飛躍」の章、336ページ)