名字の言

名字の言 歴史的偉業は垣根を越えた談笑から 2025年10月14日

 問題を一つ。蒸気機関を実用化した発明家のジェームズ・ワット、酸素を発見した化学者のジョゼフ・プリーストリー、天王星を発見した天文学者のウィリアム・ハーシェル。彼らの共通点は?▼答えは「月光会」のメンバーであること。18世紀後半からイギリスで行われていた10人ほどの集いだ。畑違いの人たちが月1回、満月の晩に集まり、自由に談笑した。会場は持ち回りで各人の家で開催されたという▼月光会について、英文学者の外山滋比古氏は、専門分野の垣根を越えた談笑から歴史的な業績が生まれた、と考察。「ものを考える」には、志を同じくする仲間と楽しく、互いを尊敬しながら意見をぶつけ合わせ、頭を刺激することだと述べる(『新版 知的創造のヒント』ちくま文庫)▼“現代の月光会”ともいうべき価値創造の集いこそ、学会の「座談会」だと思った。職業も立場も違う老若男女が、ありのままに語り合う。困難に立ち向かう友の姿に勇気をもらい、喜び光る信仰体験や活動報告に決意を新たにする――池田先生は「座談会自体が各人の人間革命を促す場」とつづった▼今週は「座談会の週」。にぎやかな語らいの場から地域へ、社会へ、希望と幸福の波動を広げていこう。(剛)