エンターテインメント
〈授賞式〉 第32回橋田賞 2024年5月16日
日本人の心や、人と人との温かい触れ合いを取り上げ、感動を呼び起こした作品や人物を顕彰する「橋田賞」。第32回授賞式(橋田文化財団主催)が5月10日、東京都内で行われ、神木隆之介、北川景子、相葉雅紀ら、今をときめく豪華俳優陣が出そろった。
NHK連続テレビ小説「らんまん」で主人公を感情豊かに演じ、視聴者を引き付けた神木は、「名誉ある賞を受けることができて光栄に思っています。『らんまん』の監督をはじめ、スタッフの皆さま、キャストの皆さまに支えていただいて走り切ることができました」と謝辞を。
続けて、「(脚本を務めた)長田(育恵)さんの描いた物語の中で、槙野万太郎という一人の人生を生き抜くことができて本当に幸せ」と笑みをたたえた。
北川は、NHK大河ドラマ「どうする家康」で、お市の方とその娘・茶々の二役を演じ分け、ドラマ「女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~」(フジ系)では、主人公の新米教師を人間味豊かに表現した。
「自分の娘や息子に、いつか“これが自分のお母さんなんだ”と誇れるような表現をしたいと思って頑張ってきました。演じたお市の方も茶々も、命懸けで娘や息子を育てた母親でありました。その二役から大きな学びや励みを頂いて、私も強くなれたような気がします」と晴れやかな表情を浮かべた。
相葉は「ひとりぼっち ― 人と人をつなぐ愛の物語 ― 」(TBS系)で、心を閉ざしていた青年が、周囲の人と触れ合う中で前向きに生きていく姿を好演し、視聴者を魅了した。
「(主人公の青年の)役以上に、スタッフの皆さん、監督さんや(プロデューサーの)石井ふく子先生が温かく接してくださって、毎日が楽しく、充実した撮影の日々を送れました。この受賞を力に変えて、これからも一つ一つ真摯に一生懸命に向き合っていきます」と言葉に力を込めた。
このほか、お笑いタレントでありながら、脚本家としての活躍も目覚ましいバカリズムも同賞の栄誉に輝いた。
「『ブラッシュアップライフ』は、最高のスタッフの皆さんと、一流の役者さんに囲まれて、これで脚本が面白くなかったらバチが当たるんじゃないかと思うぐらいに、本当に恵まれた環境で伸び伸びと書かせていただきました。いろんな方に共感してもらい、このように評価していただいて非常に良かったです」と感謝の言葉を伝えた。
今回の「橋田賞」に選ばれた受賞者たちは、実力もさることながら、人柄にも優れた顔ぶれ――。そんな印象から、大正に生まれ、昭和・平成・令和と、四つの“時代”にわたり、家族のぬくもりある物語を紡いできた脚本家の橋田壽賀子さん(故人)の姿を思い起こした。
橋田さんの手がけた数々の名作のように、時代がいかに変遷しようとも、心に潤いと感動を届けるテレビ作品が、数多く誕生していくことを期待したい。
趣里「(主演の連続テレビ小説『ブギウギ』では)いろんな気持ちになることもありましたが、エンターテインメントの持つ力を信じ、視聴者の皆さまの声に支えられて、一年間、走り抜けられたことは人生の財産です」
浜辺「台本のページをめくるたびに愛があふれてきて、(連続テレビ小説『らんまん』の)世界で過ごす時間は、役の人生を生きているとは思えないほど、本当に幸せな時間を過ごさせていただきました」
【橋田賞】
・連続テレビ小説「らんまん」(NHK)
・「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ)
・「ひとりぼっち ―人と人をつなぐ愛の物語―」(TBS)
・神木 隆之介(俳優)
・北川 景子(俳優)
・相葉 雅紀(俳優)
・バカリズム(脚本家)
・大下 容子(アナウンサー)
【橋田賞新人賞】
・趣里(俳優)
・浜辺 美波(俳優)
【記事】木村英治 【写真】鈴木政己