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〈贈賞式〉 第42回向田邦子賞 2024年7月11日

 テレビドラマ脚本の質の向上と発展を目的とした「向田邦子賞」。その第42回贈賞式が過日、東京都内で行われた。今回は、昨年放送されたNHKBSプレミアム(現・NHKBS)の連続ドラマ「グレースの履歴」で脚本を担当した源孝志さんが選ばれた。

 本作は、妻を事故で亡くした主人公が、彼女の愛車「グレース」のカーナビに残された検索履歴を基に、各地を訪れながら妻の行動の謎に迫っていくストーリー。選考委員からは、登場人物の心情を丁寧に描くとともに、巧みな構成力で誰もが避けられない情愛と喪失、生と死の問題を昇華したと評価された。
 
 源さんは「(いつも物語を)書いている間は、非常に孤独で苦しくて、最後まで書き終えられるのだろうかと何度も思うことがあります。その分、やり切った時の達成感が大きくて、『グレースの履歴』もそうした作品の一つです。本作で(賞を)頂けたというのは、すごくうれしいです」と喜びをかみ締めた。

 また、会場にはドラマに出演した柄本佑や毎熊克哉、木村祐一、丘みつ子、石橋蓮司などが駆け付け、それぞれが源さんへの祝いの言葉を述べた。主演を務めた滝藤賢一は、「素晴らしい脚本の中で、“源組”の皆さんと“旅”したこと、(ドラマに登場する車)S800で日本の美しい景色の中を旅できたことは私の宝物です。とても幸せな時間でした」と感謝を伝えた。
 
 【記事・写真】鈴木将大