「夏は麦茶」が定番ですが、奥深い味わいの「冷たい緑茶」もまた格別。ちょっと一手間かけて“自分が好きな味”で楽しむ緑茶の淹れ方について、日本茶インストラクターの岩井利恵さんに聞きました。(7月14日付)
「夏は麦茶」が定番ですが、奥深い味わいの「冷たい緑茶」もまた格別。ちょっと一手間かけて“自分が好きな味”で楽しむ緑茶の淹れ方について、日本茶インストラクターの岩井利恵さんに聞きました。(7月14日付)
日本茶インストラクター
日本茶インストラクター
岩井利恵さん
岩井利恵さん
ゆったりした時間を楽しむ
ゆったりした時間を楽しむ
■摘んだ時期で味が変化
日本茶は種類が多いので、緑茶の中でもご家庭でよく使われる「普通煎茶」を中心にお話します。
昔は、茶摘みは八十八夜(5月2日ごろ)でしたが、近年はどんどん暑くなっているため、特に九州などでは4月中旬ごろから新茶の季節が始まり、価格の高いお茶から順に新茶として出回ります。
4月は太陽の光がやわらかく、この時期に摘まれた茶葉はアミノ酸を多く含み、うま味たっぷりで、まろやかな味。新茶は低温でゆっくりと淹れるのがお勧めです。その後、日の光が強くなるに従いアミノ酸は減り、カテキンが増え苦みが出てきます。5月ごろはバランスの取れた味に、6月以降はさっぱりとした味に変わり、この頃には高温でさっと淹れるのがお勧めです。
高価格帯から中価格帯(100グラム千円くらい)の茶葉は、水出しでもうま味を抽出できます。日本列島は長いので、同じ日本茶でも取れる地域、淹れ方(温度、時間)など、さまざまなかけ算で味が変わるのも、緑茶の魅力の一つです。
また、緑茶には抗酸化作用などさまざまな健康効果が期待できるカテキン、ビタミンCなどが含まれ、風邪の予防に役立つといわれています。
日本茶専門店に足を運ぶと、これらの話を教えてくれます。意外と専門店の方が、仲介手数料が入っているスーパーなどより安いことがあるんですよ。
■保存には注意が必要
保存をする際、茶葉が最も嫌うのは、光、湿気、においです。私はお茶を買ってきたら、10日分ほどの量を茶筒に移し、残りはジッパー付き密閉袋を二重に使い、冷蔵庫に入れます。
保存は冷凍庫でも冷蔵庫でも構いませんが、きちんと密封しないと、お茶が持つ消臭パワーで庫内のにおいを吸ってしまい、茶葉が劣化します。逆にそれを利用して、古くなった茶葉を小皿に入れて庫内に置くと消臭剤代わりになります。
また、冷蔵庫から出して使う時も注意が必要です。空気に触れた途端、温度差により湿気を吸収するので、中の茶葉が常温になるまで待ってから開封して茶筒に移します。
常温保存には、直射日光や湿気を避けられるので、やはり昔ながらの茶筒が適していると思います。
■飲みたい状況で淹れ方を変える
私は緑茶の味が好きというより、日本茶を取り巻く時間や空間が好きです。ペットボトルのお茶も便利でいいのですが、ゆっくりとお茶を淹れる時間は、心が落ち着きます。
食事とともにゴクゴク飲みたい時は、さっぱりした味になるお湯出しで。お茶そのものの味を楽しみたい時は、まろやかなうま味の水出しで。ぜひご自宅の煎茶で、淹れ方による苦み、渋み、うま味のバランスの違いをお楽しみください。
■摘んだ時期で味が変化
日本茶は種類が多いので、緑茶の中でもご家庭でよく使われる「普通煎茶」を中心にお話します。
昔は、茶摘みは八十八夜(5月2日ごろ)でしたが、近年はどんどん暑くなっているため、特に九州などでは4月中旬ごろから新茶の季節が始まり、価格の高いお茶から順に新茶として出回ります。
4月は太陽の光がやわらかく、この時期に摘まれた茶葉はアミノ酸を多く含み、うま味たっぷりで、まろやかな味。新茶は低温でゆっくりと淹れるのがお勧めです。その後、日の光が強くなるに従いアミノ酸は減り、カテキンが増え苦みが出てきます。5月ごろはバランスの取れた味に、6月以降はさっぱりとした味に変わり、この頃には高温でさっと淹れるのがお勧めです。
高価格帯から中価格帯(100グラム千円くらい)の茶葉は、水出しでもうま味を抽出できます。日本列島は長いので、同じ日本茶でも取れる地域、淹れ方(温度、時間)など、さまざまなかけ算で味が変わるのも、緑茶の魅力の一つです。
また、緑茶には抗酸化作用などさまざまな健康効果が期待できるカテキン、ビタミンCなどが含まれ、風邪の予防に役立つといわれています。
日本茶専門店に足を運ぶと、これらの話を教えてくれます。意外と専門店の方が、仲介手数料が入っているスーパーなどより安いことがあるんですよ。
■保存には注意が必要
保存をする際、茶葉が最も嫌うのは、光、湿気、においです。私はお茶を買ってきたら、10日分ほどの量を茶筒に移し、残りはジッパー付き密閉袋を二重に使い、冷蔵庫に入れます。
保存は冷凍庫でも冷蔵庫でも構いませんが、きちんと密封しないと、お茶が持つ消臭パワーで庫内のにおいを吸ってしまい、茶葉が劣化します。逆にそれを利用して、古くなった茶葉を小皿に入れて庫内に置くと消臭剤代わりになります。
また、冷蔵庫から出して使う時も注意が必要です。空気に触れた途端、温度差により湿気を吸収するので、中の茶葉が常温になるまで待ってから開封して茶筒に移します。
常温保存には、直射日光や湿気を避けられるので、やはり昔ながらの茶筒が適していると思います。
■飲みたい状況で淹れ方を変える
私は緑茶の味が好きというより、日本茶を取り巻く時間や空間が好きです。ペットボトルのお茶も便利でいいのですが、ゆっくりとお茶を淹れる時間は、心が落ち着きます。
食事とともにゴクゴク飲みたい時は、さっぱりした味になるお湯出しで。お茶そのものの味を楽しみたい時は、まろやかなうま味の水出しで。ぜひご自宅の煎茶で、淹れ方による苦み、渋み、うま味のバランスの違いをお楽しみください。
《 水出し VS お湯出し 》
《 水出し VS お湯出し 》
同じ煎茶で飲み比べてみよう♪
同じ煎茶で飲み比べてみよう♪
【水出し(苦み成分が抑えられ、甘み、うま味がある)】
【水出し(苦み成分が抑えられ、甘み、うま味がある)】
①容器に常温の水(日本は水道水でOK。ミネラルウオーターなら軟水)に煎茶をお好みの量(目安は1リットルに15~20グラム)入れて冷蔵庫へ。
★容器を横に寝かせて置くと、茶葉が広がりやすい!
①容器に常温の水(日本は水道水でOK。ミネラルウオーターなら軟水)に煎茶をお好みの量(目安は1リットルに15~20グラム)入れて冷蔵庫へ。
★容器を横に寝かせて置くと、茶葉が広がりやすい!
②4~5時間(6~7時間の場合も)かけて、お茶のうま味たっぷりの水出し緑茶の完成。
茶こしでガラス瓶などへ移し、使いたい器へ。
②4~5時間(6~7時間の場合も)かけて、お茶のうま味たっぷりの水出し緑茶の完成。
茶こしでガラス瓶などへ移し、使いたい器へ。
【お湯出し(スッキリとした味わいに)】
【お湯出し(スッキリとした味わいに)】
①沸かしたお湯を、湯冷ましの器へ(注ぎ口が付いているものが使いやすい。自分が好きな器を見立て使いでOK)。
①沸かしたお湯を、湯冷ましの器へ(注ぎ口が付いているものが使いやすい。自分が好きな器を見立て使いでOK)。
②急須に茶葉を入れ、①のお湯を注ぐ。ティーバッグよりも、茶葉が膨らむスペースがある急須がベスト。
②急須に茶葉を入れ、①のお湯を注ぐ。ティーバッグよりも、茶葉が膨らむスペースがある急須がベスト。
③1分弱蒸らし、急須から湯冷ましへ。最後の1滴まで落とすのがポイント。
このお茶をもう1度急須に戻し、再び湯冷ましへ。
★氷を入れると薄くなるので2度出しする。
★2回目は茶こしを使ってもOK。
★深蒸し煎茶なら、蒸らし時間は半分以下で調整。
③1分弱蒸らし、急須から湯冷ましへ。最後の1滴まで落とすのがポイント。
このお茶をもう1度急須に戻し、再び湯冷ましへ。
★氷を入れると薄くなるので2度出しする。
★2回目は茶こしを使ってもOK。
★深蒸し煎茶なら、蒸らし時間は半分以下で調整。
④氷を入れた器に③を注ぎ、使いたい器へ。
④氷を入れた器に③を注ぎ、使いたい器へ。
★水出し、お湯出しともに、陶磁器やワイングラスなど、好きな器で楽しみましょう。
★お客さまの目の前で淹れると、「おいしそう!」と、視覚から味わいも倍増します!
★水出し、お湯出しともに、陶磁器やワイングラスなど、好きな器で楽しみましょう。
★お客さまの目の前で淹れると、「おいしそう!」と、視覚から味わいも倍増します!
岩井さんの写真は本人提供
●ご感想や取り上げてほしいテーマをお寄せください。
life@seikyo-np.jp
岩井さんの写真は本人提供
●ご感想や取り上げてほしいテーマをお寄せください。
life@seikyo-np.jp