仏が衆生を成仏に導くさまを植物の種まき・育成・収穫に譬えた種熟脱の三益[さんやく]のうち、最後の脱を促す利益。仏が種々の教えを説いて衆生の機根を調えた後、最後に苦悩から根本的に脱出して覚りを得る(得脱[とくだつ])ことを促す教えの利益が脱益である。法華経本門では、釈尊が久遠実成を説いて自身の本地を明かすことにより、衆生が久遠の下種を覚知して得脱することを示しているので、法華経本門の教説は脱益の法門と位置づけられる。